法人税パラドックス

投資減税の議論が進んでいるが、一部の製造業に恩恵が偏る投資減税の経済効果は限定的である。成長戦略に欠かせないのは抜本的な法人税改革だが、そこに踏み込めない最大の理由は財源問題だ。財政再建・社会保障充実のために消費税を増税する一方で法人税を減らすというのは、国民の理解を得られない。そこで税制全体を見直して財源を確保しながら法人税改革の道を探る必要がある。
(日本経済新聞2013年7月5日19ページ大機小機 )

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「モデルとなるのは、税制改革の金字塔といわれる米レーガン政権2期目の法人税改革(1987年)である。
加速度消却の縮減、投資税額控除の廃止などによって課税ベースを拡大しつつ、所得税改革も含めて
税収中立のもとで法人税率は46%から34%へと大幅に引き下げられた。」(前掲紙)

法人税率を引き下げた結果、GDPに占める法人税収の割合は逆に上昇することを「法人税パラドックス」
といいます。

「我が国の実効税率を高止まりさせている最大要因が地方税であることを考えれば、固定資産税や個人住民税の課税ベース拡大によって地方税の引き下げを行うべきである。」(前掲紙)

経済同友会が7月3日に公表した”法人実効税率25%への引き下げの道”(「法人実効税率 25%への引き下げの道~成長戦略を強固にする税制~」)でも、

「法人実効税率の構成要素としては、国税である法人税と、地方税である法人住民税(法 人税割)、法人事業税(所得割)、地方法人特別税に分けられる。最終的には、これら の地方税部分を他の税に代替させることで、法人実効税率の引き下げを図る。具体的に は、その創設の経緯から地方法人特別税並びに法人事業税については地方消費税による 代替を、法人住民税については個人住民税(所得割)及び固定資産税(土地)による 代替が考えられる。」

との提言が行われています。

【リンク】

2013年7月3日「法人実効税率 25%への引き下げの道~成長戦略を強固にする税制~」公益社団法人 経済同友会 [PDF]