株式贈与により留保金課税回避ーザインエレクトロニクス

ファブレス型の半導体開発会社のザインエレクトロニクスは23日、税法上の同族会社に該当しなくなったと発表した。利益が予想通りならば、税負担が軽くなり2009年12月期の純利益を押し上げる効果がある。現行の税法ではオーナー企業に対して税負担が重くなっているが、同社は飯塚哲哉社長が一部株式を贈与したため、課税対象にならなくなった。
(日本経済新聞2009年6月24日17面)

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会社のプレスリリースの概要は次の通りです。

「当社主要株主である代表取締役社長飯塚哲哉は個人で保有する株式のうち 1,220 株を当社取締役他に贈与することにより、持株比率を19.6%(変更前は 20.6%)としました。同氏は当社の筆頭株主である有限会社豊人(持株比率は 29.1%)の取締役を兼務し、これらを合計した議決権比率が 50%を超えていましたが、今回の贈与により議決権比率が 50%未満となり、留保金課税の潜在的対象企業ではなくなりましたのでお知らせいたします。 」

留保金課税とは、同族会社の留保金課税制度は、特定同族会社利益を一定以上留保した場合に通常の法人税とは別に特別税率(10%〜20%)を課すものです。

留保金課税の対象となる特定同族会社とは、筆頭株主(特殊関係者を含む)が保有する株式割合が50%を超える会社を言います。

ザインは、従来、飯塚氏の議決権比率が50%を超えていたので特定同族会社に該当していましたが、今般の株式贈与により特定同族会社ではなくなったということです。

資本政策上、オーナー経営者が50%超の議決権比率を確保するケースが多いと思いますが、その場合留保金課税を覚悟しなければなりません。

留保金課税の計算上、一定の控除が認められているので、思ったほど実効税率への影響が無い場合も多いのですが、それでも数%実効税率が押し上げられることになり、出来れば回避したいところです。

【リンク】

2009年6月23日「主要株主の持ち株比率の変更に関するお知らせ」ザインエレクトロニクス株式会社[PDF]