非上場の持株会社傘下の企業の上場の条件

コードネーム「JOE」。2010年5月、サントリーホールディングス(HD)で飲料子会社、サントリー食品インターナショナル(SBF)の上場に向けた研究会が始まった。上場と、ボクシング漫画「あしたのジョー」にかけた。
(日本経済新聞2013年8月14日2ページ)

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「持株会社傘下に置かれたままでのSBF上場が認められるかどうかだ。少数株主ら投資家保護を重視する東京証券取引所の意向をチームは見極めようとした。「どうしたら認めてもらえるか」。証券会社を通じて探りを入れるうち、東証は子会社上場を望ましいものの、独立性の担保を条件としていることが見えてきた。」(前掲紙)

SBFは、独立性を確保するために、本社の移転、従業員の転籍、グループからの情報システムの遮断を実行します。

しかし、SBFの社長である鳥井氏がHD社長佐治信忠氏の後継者であることを佐治氏が示唆すると、東証は親会社の意向で上場子会社となるSBFの社長人事が決定するのは問題があると判断しました。

「5月、佐治は東証の担当者から直接説明を求められて、「経営の独立性には十分配慮する」と強調した。担当者は早急な社長交代はないと受け取った。同月29日に上場は正式に認可された」(前掲紙)

持株会社傘下にある子会社が、人事も含めて持株会社の意向に従うのは当然のことです。
上場時の審査時点のみ、経営の独立性を確保している外形を形式的に整えれば上場が認可されるというのでは、審査の意味がありません。

重要なことは少数株主や一般投資家をいかに保護するかです。
そう言う意味では実質面の審査が求められるところです。

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