シャープ増資調整続く

経営再建中のシャープの資本増強策が株式市場などの注目を集めている。6月末の自己資本比率は製造業で健全とされる水準(20~30%)を大幅に下回る6%。14年3月期は企業年金の積み立て不足約1200億円を負債計上する見通しで、さらに財務が悪化する懸念があるためだ。増資の実現には説得力のある業績や成長シナリオの提示が欠かせない。
(日本経済新聞2013年9月6日11ページ)

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「シャープはデンソーとLIXIL、電動工具大手のマキタを引受先とする第三者割当増資と公募増資で1千億円を超える資金を調達しようと青写真を描く。このうち25億円前後の出資要請を受けているデンソーは「提携関係を強化する選択肢の一つ」(加藤宣明社長)と前向き。公募増資も取引金融機関や証券会社などと調整が続いている。」(前掲紙)

当期末より適用される改正退職給付会計基準は、連結財務諸表においてのみ、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用(未認識項目)を税効果を調整の上で、その他の包括利益累計額に計上されるとされています。

シャープは、2013年3月末現在、未認識数理計算上の差異は145,344百万円、未認識過去勤務費用(債務の減額)△20,059百万円あります。2013年3月末の自己資本(純資産−新株予約権−少数株主持分)は124,671百万円なので、これを積み立てると(税効果を勘案しなければ)自己資本はほぼゼロということになります。

その意味で1千億円を超える増資が必須であるものの、増資できたとしても大幅に財政状態が改善するわけではありません。

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