東京エレクトロンは買収されたのか、対等合併なのか

サビが目立つ王冠にはめ込まれたダイヤがポロリと落ちた。半導体製造装置業界で起こった東京エレクトロンと米アプライド・マテリアルズの経営統合を、大げさに言えばこんな感じだ。サビが目立つ王冠とは、日本の半導体産業である。
(日経ヴェリタス2013年10月6日61ページ モヤモヤ経済学 西岡幸一専修大学教授)

【CFOならこう読む】

「落ちたダイヤはアプライドのポケットに入るのか、新しい王冠に双子のダイヤとして収まるのか。東哲郎東京エレクトロン会長兼社長は対等の統合を強調し、ディッカーソン・アプライドCEOも同調する。しかし欧米メディアは「アプライド、東京エレクトロンを買収」という論調で足並みがそろった。」(前掲紙)

例えば9月24日のNew York Timesはこのように報じています。

Applied Materials agreed on Tuesday to buy a smaller rival, Tokyo Electron, in an all-stock deal that will create a big new producer of semiconductor and display manufacturing equipment.

株式対価による買収ということですから、合併したのと同じと見ているわけですね。
両社がいかに対等を強調しても、回りはそうは見ていないということです。

例えば会計的には、アプライドによる東京エレクトロンの取得ということになり、のれんが計上されることになるのでしょう。

しかし、本当にそれが正しい見方なのか、という疑問が私には残ります。

誰の立場から見て、アプライドが東京エレクトロンを買ったことになるのか?

アプライドに大株主が存在すれば別ですが、そうでないならアプライドの株主が東京エレクトロンを支配したことにはならないでしょう。

M&Aの本質は売った買ったにあるのではないと私は思うのです。
だとするとのれんが計上される今のM&A会計もさほど根拠があるものではない、ということになります。

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