法人税減税と賃金の増加

・財政赤字の一因に過去の裁量的な厳正政策
・楽観的見通しによる財政政策は失敗が多い
・「法人税減税で経済成長し増収」には疑問も
(日本経済新聞2013年10月11日29ページ 経済教室 国枝繁樹一橋大学准教授)

【CFOならこう読む】

「理論的に、法人税減税の利益は短期的には株主が享受するが、中長期的には投資増加により生産性が向上し、賃金上昇や雇用増加を通じて労働者にも恩恵が及ぶとされる。グローバリゼーションの進展の下、最近の研究では法人税減税の効果の相当部分は最終的に労働者に帰着するとの見方が増えてきている。

 ただし、そうした効果はあくまで投資の増加を通じて実現されるもので、投資の増加なしにいきなり賃金が増加するわけではない。法人税減税の検討を受けた政府の賃上げ要請に経営者の間で戸惑いが見られるのも無理はない。資本課税の一部である法人税の減税が直接、賃金の増加をもたらすかのような主張は、経済学的には奇妙に思われる。」(前掲紙)

この議論は従業員とか賃金についての本質を見誤っていると思います。

経営者にとって賃金とは、インセンティブであり投資であり利益の分配であるのです。
法人税減税により投資を増加させる経営者がいるのと同様、投資としての賃金を増加させる(又はインセンティブとしての賃金を増加させる)経営者も存在すると思います。

経済学的に奇妙という経済学者が、私には奇妙に思えます。

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