目指すは営業利益の絶対額か営業利益率か

米化学大手ダウ・ケミカルが今月、汎用化学品の一部事業を切り離すと発表した。1897年の創業期の流れを引き継ぐ伝統事業だ。売上高は約50億ドル(約5100億円)と全体の1割弱。高い市場シェアを誇り、赤字でもない。それでもリバリス最高経営責任者(CEO)は「株主利益を最大化するために経営資源の優先順位をはっきりさせる」と宣言した。
(日本経済新聞2013年12月17日17ページ )

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「高収益の川下製品に特化する戦略で、「ケミカル」の社名すら消える可能性もある。発表当日の株価は約2%高。ドイツ銀行のアナリスト、ベグライター氏は「高い成長、高い利益率を実現するための重要な一歩だ」と評価する。」(前掲紙)

高い利益率を確保するために市場シェアが高く成長性が乏しい事業を切り売りする。それは経営上正しい意思決定であるかもしれません。しかし利益率のみを指向する経営は最終的には縮小均衡に向かうことになり、それは必ずしも望ましいことではないと私は思うのです。

今日の新聞には、自動車7社の「稼ぐ力」について分析した記事が載っています。営業利益率1位は車種を絞り込んだ富士重工で12.1%です。フォレスター等のSUVに絞り込むニッチ戦略は称賛に値しますが、だからといってトヨタは駄目ということにはなりません。

重要なのは資本コストを意識した経営を行なっているか、絶対額としての付加価値をどれだけ創造しているか、です。
そうであるなら、今こそEVAこそが最も重視すべき業績評価指標だと私は思います。

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