中小企業者等の法人税率の特例

政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)と産業競争力会議(同)は6月の新成長戦略の策定の議論を始める。諮問会議では法人税負担の業種ごとの偏りなどを洗い出す。首相が意欲を示す実効税率の引き下げに向けて、代替財源を確保する議論の布石となりそうだ。雇用改革や対日投資促進策なども両会議で検討する。
(日本経済新聞2014年1月9日3ページ )

【CFOならこう読む】

「諮問会議は税率引き下げの財源確保をにらみ、業種ごとの税負担格差を調査。過去の政策減税(租税特別措置)で、役割を終えているものを検証する。
 財務省によると、租特による法人税の減税額は9000億円(11年度)で、法人税収全体の約1割にのぼる。
(中略)
仮に租特を全廃すれば、法人実効税率2・5%分を捻出できる。首相は復興特別法人税を今年度末に1年前倒しで廃止するのに続き、15年度からの法人実効税率引き下げを探っている。」(前掲紙)

法人税関係の租税特別措置には中小法人の軽減税率の特例を始めとした中小企業対策や、退職年金等積立金に対する法人税の課税停止措置等が含まれていることから、これを廃止するのは現実的に困難であると思われます(平成24年度適用措置ベースで、中小企業者等の法人税率の特例の減税額は1,044億円、退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止の減税額は2,730億円)。

ただし中小企業の多くは個人企業であり、法人といっても名ばかりのものが多いと思われるので、LLC(合同会社)については構成員課税(法人段階の所得を個人所得に合算し所得税として課税するパススルー課税)を認めた上で、中小企業のLLCへの移行を促し、一方、中小法人の軽減税率の特例を廃止するという方向性が良いと私は思います。

【リンク】

なし