所得税、抜本改革を議論

所得課税を抜本的に見直す構想が政府・与党内に浮上してきた。少子化対策として子どもが多いほど所得税が少なくなるよう課税対象を今の個人単位から世帯全体にする案を検討。一方、女性を支援するため、働く意欲をそぐとされる配偶者控除の廃止・縮小も目指す。
(日本経済新聞2014年3月6日3ページ )

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「少子化対策として取り組む世帯課税は、夫や妻、子どもら家族全員の所得の合計から世帯の課税額を計算する方式を検討する。所得の総額を家族の人数で割って1人当たりの所得をはじき出し、この額の税率を適用して家族全員分の税額を出すやり方だ。
 すでに導入しているフランスでは、大人を1、子どもは0・5(第3子以降は1)として世帯の人数を計算する。夫婦と子ども2人の4人家族なら3で所得総額を割った額が課税対象になり、個人の所得に課税する場合より低い税率が適用される。」(前掲紙)

フランスでは、45年以来夫婦合算の所得を子どもも加えた世帯人数に分割し課税する、n分n乗方式が採用されています。
この制度は戦後の人口政策のために導入されたようですが、子育て支援という意味では、各種の支援手当が充実していることに加え、幼稚園から大学までの教育は、ほとんど公立学校で行われ、授業料はほとんど無料というように、単に所得税の課税単位の問題ではなく、子育てや女性の就業について明確な国家ビジョンがあり、それを具体化する各種制度が整備されているのです。

こういった仕組みは、少子高齢化が進むほど導入が難しくなると考えられるので、検討するならいましかないと思います。

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