新株予約権で資金調達急増

バイオベンチャーや新興ゲーム会社で、新株予約権を証券会社に割り当てる形の資金調達が急増している。13年度は32件と12年度と比べ3.2倍に拡大し、過去最高を更新。株高を追い風に、野村証券やメリルリンチ日本証券などの大手が営業に力を入れている。
(日経ヴェリタス2014年3月23日15ページ)

【CFOならこう読む】

証券会社割当型の新株予約権を発行した主な企業は次の通りです。
(発行額は決議日の株価で算出)

業態 発行額(億円) 発行決議日
クルーズ ゲーム 62 2014年2月
日本風力開発 再生エネ 26 2014年2月
リプロセル バイオ 100 2014年1月
KLab ゲーム 23 2013年11月
アンジェスMG バイオ 40 2013年10月
UNMファーマ バイオ 42 2013年9月
テラ バイオ 31 2013年5月
新日本科学 バイオ 100 2013年5月

(出所:前掲紙)

リプロセルはプレスリリースの中でスキームの特徴とデメリットを次のように説明しています。

【本スキームの特徴】

  1. 当社の資金需要や株価動向を総合的に判断したうえで、柔軟な資金調達が可能であること。
  2. 本新株予約権の目的である当社普通株式数は 6,000,000 株で一定であるため、株価動向によらず、最大増加株式数は限定されていること(平成 25 年 11 月 30 日現在の総議決権数に対する最大希薄化率は、13.09%)。
  3. 当社普通株式の終値が下限行使価額の 120%に相当する金額を下回る場合、割当予定先に対して本新株予約権の行使を指定することはできず、また、当社普通株式の終値が下限行使価額 を下回る場合、割当予定先が本新株予約権の取得を請求する権利を有することになるという デメリットはあるが、本新株予約権の行使価額には上限が設定されていないため、株価上昇 時には調達金額が増大するというメリットを当社が享受できること。
  4. 本新株予約権の払込金額と同額の金銭を支払うことにより、本新株予約権の全部又は一部を 取得することができること。

【本スキームのデメリット】

  1. 市場環境に応じて、行使完了までには一定の期間が必要となること。
  2. 株価が下落した場合、実際の調達額が当初の予定額を下回る可能性があること。
  3. 株価が下限行使価額を下回って推移した場合、調達ができない可能性があること。

権利行使価額は効力発生日の前日の株価の90%に修正されます。
株式の終値が下限行使価額の120%を下回る場合、新株予約権の行使を指定することができないため、下限行使価額をどのレベルに設定するかによってスキームの設計が全く異なることになります。リプロセルの下限行使価額は、1,162円です。

【リンク】

2014年1月8日「行使価額修正条項付き第9回新株予約権(第三者割当て)の発行及びコミットメント条項付き第三者割当て契約に関するお知らせ」株式会社リプロセル [PDF]