中小企業庁の再生支援 第2会社方式

法的整理でスポンサー探しが難航するなか、私的整理では事業再生を後押しする新制度が始まった。中小企業庁が創設した新第2会社方式だ。破綻企業から収益性のある事業を切り出した第2会社の再生計画を経産相などが認定する。6月22日施行の改正産業活力再生法で開始。旧会社の営業上の許認可を引き継げる。具体的案件はまだない。
(日本経済新聞 2009年7月1日 14面)

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以下、中小企業庁のウェブサイトから制度の概要を抜粋します。

「中小企業承継事業再生計画」を作成し、その計画が一定の基準を満たせば、計画の認定を受けることができます。
「中小企業承継事業 再生計画」の作成にあたっては、中小企業再生支援協議会からの支援を受けられます。
中小企業承継事業再生計画の認定を受けると下記の3つの支援が受けられます。

(1)営業上必要な許認可を承継
第二会社が営業上の許認可を再取得する必要がある場合には、旧会社が保有していた事業に係る許認可を第二会社が承継できます。

承継の対象となる許可

・旅館業許可(旅館業法第3条)
・一般建設業許可、特定建設業許可(建設業法第3条)
・一般旅客自動車運送事業許可(道路運送法第4条)
・一般貨物自動車運送事業許可(貨物自動車運送事業法第3条)
・火薬類製造・販売業許可(火薬類取締法第3条及び第5条による許可)
・一般ガス事業、簡易ガス事業の許可(ガス事業法第3条及び第37条の2)
・熱供給事業許可(熱供給事業法第3条)

(2)税負担の軽減措置
第二会社を設立した場合等の登記に係る登録免許税、第二会社に不動産を移転した場合に課される登録免許税及び不動産取得税が軽減されます。

(3)金融支援
第二会社が必要とする事業を取得するための対価や設備資金など新規の資金調達が必要な場合、金融支援を受けられます。

中小企業承継事業再生計画の認定を受けるためには、下記の9つの要件を満たすことが必要になります。

1.計画申請時点で、有利子負債/CF(キャッシュフロー) > 20

2.計画終了時点で、①有利子負債/CF≦10、②経常収支≧0

3.既存又は新設する事業者への吸収分割又は事業譲渡、及 び新設分割により特定中小企業者から承継事業者へ事業を承継するとともに、事業の承継後、特定中小企業 者を清算するものであること

4.債権者調整が適切になされているものを認定するため、公正性が担保されている以下手続を経ていることを要件とする。

再生支援協議会
RCC企業再生スキーム
事業再生ADR
企業再生支援機構
私的整理ガイドライン
民事再生法等

5.第二会社の事業実施における資金調達計画が適切に作成 されていること

6.営業に必要な許認可について、第二会社が保有、又は取得 見込みがあること

7.承継される事業に係る従業員の概ね8割以上の雇用を確保

8.従業員との適切な調整が図られていること

9.取引先企業への配慮

計画の申請をする場合には、申請書の様式や添付書面について、経済産業局又は中小企業再生支援協議会に事前の相談を行ってください。計画の申請には、中小企業再生支援協議会等を通じた公正な債権者調整プロセスを通じ、金融機関の合意を得ることが必要になります。

【リンク】

「第二会社方式による中小企業の事業再生を支援します!」中小企業庁[PDF]