会社法786条4項- 株式買取価格決定に関する金利

TBSは27日、楽天が保有するTBS株の買い取り価格決定に関する調停手続きを東京地裁で進めているのに伴い、楽天に400億円を仮払いすると発表した。支払い予定日は7月31日。両社が主張する価格の開きが大きく決着に時間がかかりそう。楽天に前払いし、楽天に支払う金利負担を抑える。
(日本経済新聞2009年7月28日11面)

【CFOならこう読む】

「会社法は、株主から買い取り請求を受けた会社は買い取り代金に加え、年6%の利息を株主に支払うと定めている。最高裁まで持ち込まれた場合、決着までに数年かかるとの見方もあり、金利負担がTBSに重しになる可能性があった。TBSは銀行からの借入金を支払いに充てる。」(前掲紙)

会社法786条4項は次のように規定しています。

”消滅株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の年六分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。”

法人株主は、会社に買い取らせることで、税務上、キャピタルゲインをみなし配当に変換することができ、この部分だけキャピタルゲインを減らす(譲渡損失を増やす)ことができます。

さらに、裁判所の価格決定までの年6%もの利息を受け取れるとなれば、法人株主が株式買い取りを請求するのは当然とも言えます。

(この点、昨年12月17日のエントリーで詳述しましたので、興味がある方はご覧になってください)

TBSが買取代金の仮払いを行うことで、仮払金相当部分に対する利息は、発生しないことになります。

【リンク】

2009年7月27日「当社吸収分割に係る反対株主の株式買取請求に関する株式買取代金の仮払いについて」株式会社 東京放送ホールディングス[PDF]