東洋電機製造副社長インタビュー

日本電産が買収断念「予想外」 東洋電副社長「深まった溝、やり方強引」

日本電産が仕掛けた東洋電機製造買収劇は、TOB提案の期限切れという形で幕を閉じた。90日間の攻防は東洋電機に何をもたらしたか。最前線で交渉にあたった田中啓資副社長がその裏側を語った。
(日経ヴェリタス2008年12月21日 21面)

【CFOならこう読む】

以下上記記事からの抜粋です。

-鉄道事業に強い関心を示した電産の当初の意気込みからすると、あっけない結末だった。
田中
予想外だった。買収提案の期限だった15日は当然、条件を変えて再提案するか期限延長だろうと思っていた。しかし、電産の発表資料には再提案はしないと書いてある。年末年始、休日返上で臨戦態勢を敷くつもりだったので、安堵したと同時に、正直言って拍子抜けした。
-情報交換の時間は十分あったが理解が深まらなかった。
田中
逆に溝が深まった。5日の面談では両社長は言葉すら交わさなかった。電産の情報提供は不十分。シナジー効果の根拠を何度も問い合わせたのに明確に示さない。労働条件についても同様で、労働強化は確実だと思った。この業界は技術者の引き抜きも多い。労働強化されたら人材も流出する。取引先も大株主も労働組合も反対だった。」
(前掲紙)

要するに、永守流の効率性を追及する経営に、東洋電機の従業員は耐えられず、人材流出が止まらなくなって企業価値を毀損する、と言っているのです。それが真実なら過去電産が買収した会社が業績を劇的に改善している事実を田中福社長はどう説明するのでしょうか?

TOB価格635円に対し、12月22日終値は245円。本来なら電産による買収を進められなかった経営陣の責任が問われてしかるべき、と私は思います。

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