ポイント引当金の会計処理

家電量販店 ポイント引当金 異なる会計処理

家電量販各社が販促用に発行するポイントの戦略が割れている。ヤマダ電機が顧客の囲い込みのため大量発行しポイント引当金が急増する一方、エディオンなどは引当金がほぼ横ばいで推移している。ポイント引当金の計上方法は企業ごとにばらつきがあり、業績への影響が見極めにくい。透明性を高めるべきだとの指摘もある。
(日本経済新聞2009年2月20日12面)

【CFOならこう読む】

「ポイント引当金ポイントは販促の一環として商品の購入額などの一定割合を利用者に還元する仕組み。引当金はポイントが使われるのを想定し積み立てる。貸借対照表の負債の項目に計上する。日本では会計処理の基準がなく、企業は企業会計原則に基づき処理する。企業間でポイントを融通できるサービスが拡大。項目を設けて計上する企業が増えている。」
(前掲紙)

各社の引当金の計上基準を以下に列挙します。

ヤマダ電機
当社及び当社と同様の事業を営む連結子会社は、将来の「ヤマダポイントカード」の使用による費用発生に備えるため、使用実績率に基づき翌連結会計年度以降に利用されると見込まれるポイントに対し見積額を計上しております。

エディオン
ポイントカード制度において、顧客に付与したポイントの将来の利用に備えるため、連結会計年度末における将来見込み利用額を計上することとしております。

コジマ
顧客に付与したポイントの将来の利用に備えるため、当連結会計年度末における利用実績率に基づき将来利用されると見込まれる額を計上しております。

ベスト電器
顧客に付与されたポイントの使用による費用発生に備えるため、当連結会計年度末において将来使用されると見込まれる額を計上しております。

引当金の計上は、ポイントの使用見込み額を計上する方法と見込み額に原価率を掛けた額を引き当てる方法の2つがありますが、上記の各社の開示を見てもいずれを採用しているのか不明です。

金融庁の「ポイント及びプリペイドカードに関する会計処理について」(平成20年6月18日)の例示は後者を示しているのに対し、税務上は一定の要件のもと前者の処理を容認しており(法人税基本通達9-7-3)、どちらがスタンダードな方法であるか一概に言えません。

IFRSは、引当金を計上せず、ポイント相当分については、将来使用が見込まれる部分について、売上から控除するとともに繰延収益として負債に計上し、実際に利用した際に売上として認識する方法を採用しています(IFRIC13 「カスタマー・ロイヤリティ・プログラム」)。

「日本基準を国際基準と共通化すれば、一時的に売上高が急減し投資家が混乱する可能性もある」(前掲紙)

後者の方法を採用している会社は売上高だけでなく利益に与える影響も少なからずあると思われます。

【リンク】

「第31期 有価証券報告書」株式会社 ヤマダ電機[PDF]
「第7期 有価証券報告書」株式会社エディオン[PDF]
「有価証券報告書」株式会社コジマ
「IR情報」株式会社ベスト電器
平成20年6月18日「ポイント及びプリペイドカードに関する会計処理について」金融庁