【資本政策詳解】らでぃっしゅぼーや

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らでぃっしゅぼーやの株式上場の概要は次の通りです。

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らでぃっしゅぼーやは、有機・低農薬野菜、無添加食品などの販売。安全性や環境負荷などを考慮した農産品や畜産品、水産品、加工食品、日用品などを「定期品」「注文品」として会員に対して戸別販売しているほか、百貨店・スーパーなどへも卸売りしている会社です。

キューサイの子会社でしたが、株式会社ジャフコ・エスアイジーNo.7が、MBOを目的とし、2006年3月3日にキューサイ及び大株主であった長谷川和子氏より当社の実質上の存続会社である「らでぃっしゅぼーや株式会社」(旧らでぃっしゅぼーや)の株式の譲渡を受けて、子会社化した後、2006年3月31日にジャフコ・らでぃっしゅMBO株式会社に商号変更し、2006年9月1日を合併期日として子会社であった旧らでぃっしゅぼーや株式会社を吸収合併し、同日にらでぃっしゅぼーや株式会社に商号変更しています。

公募価格は600円、2009年2月期見込みEPSが50.49円なのでPER11.9倍という水準での株式公開となります。

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らでぃっしゅぼーやの主な資本政策は (表2)の通りです。

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2007年2月期に約20億円のれんの一時償却(単体では関係会社株式評価損の計上)を行っており、この欠損金を補填するために、2008年2月期に資本準備金及びその他資本剰余金の取崩しを合計約20億円行っています。何故のれんを一時償却したかについてはよくわかりませんが、プランニングの匂いがしなくもありません。

その他、緒方社長他役員に対し、種類株式(A種株式)を発行しているのが目につきます。

表にはありませんが、2007年12月26日及び2008年2月26日にジャフコのファンドから日本レストランシステム等へ合計1,333,720株の株式移動が行われています。このときの移動価格は1,400円、所有者の取得価格ベースに、当事者間の協議により決定したものです。今回の公募価格が600円なので、この価格には疑問が残ります。

(表3)は、らでぃっしゅぼーやの株主構成です。

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筆頭株主は、ジャフコが運営するファンドですが、同ファンドの運用期間は平成26年12月31日までと限定されており、当該ファンドの所有する株式は、原則同期間内に売却されることになります。したがって今後株主構成が劇的に変化する可能性がある旨、会社はリスク情報に記載しています。

なお、ジャフコの買収価額は64億円(持分比率98.8%)であるのに対し、上場日時点の時価総額が約42億円。このMBOは今のところ成功というにはほど遠い状況です。

しかしその差額約20億円。のれんの一時償却の金額と符合していてビックリ!?

【リンク】

らでぃっしゅぼーや株式会社