第三者割当増資 総会決議義務化へ
第三者増資、総会決議を義務化 法務省、会社法改正で検討
法務省は、買収防衛などに活用される第三者割当増資により利益が縮小しかねない既存の少数株主の保護に向け、会社法改正の検討に入った。現行法では事実上、取締役会の判断で新株を発行できるが、株主総会の決議を義務付ける方向。来年秋にも法制審議会(法相の諮問機関)で始める会社法の次期改正論議で論点の1つとし、2011年の通常国会への改正案提出をめざす。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S0600R%2006122008&g=MH&d=20081207
【CFOならこう読む】
「取締役会の決定だけでできる現行の第三者割当増資は「経営者が株主を選べる」という特殊な制度だ。濫用されるケースが目立っており、何らかの弊害防止策が必要になる。
現在の会社法でも、一応の濫用への対応策はある。著しく低い価格なら「有利発行」として例外的に株主総会決議を求め、主に保身目的の増資であれば「不公正発行」として、ライブドア・ニッポン放送事件などのように裁判所で差し止められる。ただ、司法判断を得るには莫大な費用がかかり、少数株主は泣き寝入りすることが多い。また裁判官が経済実態に通じていなければ市場関係者が納得する判断は難し
い。」
(日本経済新聞2008年12月7日3面)
第三者割当増資に何らかの規制が必要なことは、このブログでも何度もお話ししています。ですが、株主総会決議で決めれば良いというのは、本質的な解決策にならず、結局株式持合を促進させるだけのことになると、私は思います。
主要国の第三者割当増資への規制は次のようになっています。
「第三者割当増資への各国の規制例
米国
ニューヨーク証券取引所が、議決権の20%超に相当する新株発行について、株主総会決議を義務付け
英国
会社法により、原則として第三者に新株を割り当てる場合には既存株主にほ引受権を割り当て
ドイツ
株主総会が事前に認めていれば、監査役会の承認のもと議決権の10%以下の新株発行は可能」
経営者が株主を選べない、という意味では英国の規制が優れています。ただし、これを未上場会社にまで適用させるべきではありません。したがって、以前からお話しているとおり、上場会社法を我々は必要としているのだと改めて感じます。
【リンク】
なし
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