企業再生支援機構

政府が9月に立ち上げる「企業再生支援機構」の事業内容の全容がわかった。機構を活用しやすくするために、再建対象の企業と取引金融機関には債権放棄などにかかる税負担を軽減する。機構の資本金の半分にあたる100億円は全国100の金融機関に出資を求める方針。公的な企業支援策を拡充し、景気の持ち直しが遅れている地方の雇用維持などにつなげる狙いだ。

(日本経済新聞 2009年8月8日 1面)

【CFOならこう読む】

「取引金融機関から支援企業の債権を買い取って出融資するとともに人材を派遣し、経営再建を進める。再建資金は原則として機構が金融機関から借り入れ、返済を政府が保証する。不採算事業の整理などで3年以内に再生のめどをつけ、あらたなスポンサーに保有株を売却するなどして支援を完了する。」(前掲紙)

なぜこういうことに国庫を投入しなければいけないのかよくわかりません。見込みのある事業であれば、M&Aの対象となるでしょうし、資金を出すヒトもいるでしょう。

つぶすべき会社はつぶさないと、将来性のないビジネスにヒト、モノ、カネがいつまでも縛り付けられることになり、国富の観点から見ると明らかにマイナスです。

「政府は支援企業と取引金融機関に税制上の優遇措置を与え、機構の活用を促す。企業が債務免除を受けると、通常なら免除益が発生して追加の税負担が生じる。税負担を嫌がって企業が機構の支援を拒む恐れがあるため、支援を受けた場合は資産の評価損などと免除益を相殺できるようにして税負担をなくす。
金融機関には、債権放棄した際に発生する損失分を課税所得から差し引く無税償却できるようにし、税負担を軽くする。」

これってすごく不公平です。
私的整理を選択すると、税制上の優遇措置は得られないなら、再生案件のほとんどが政府主導で行われることになります。

しかもこれらは全て税金で賄われるのです。

「金融庁の監督指針も改正し、債権の扱いを優遇できるようにする。支援の前まで「要管理先」として不良債権扱いだった対象企業の債権分類を、支援決定後は「要注意先」として正常債権に引き上げることを認める。取引行は債権を持ち続けても貸倒金(貸倒引当金?)の引当率を下げることができる。」(前掲紙)

地銀って国営企業だったんですか?
債権の評価が官庁の一声で変わるんですね。

なんだか、とっても、息苦しい。

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なし