カルチュア・コンビニエンス・クラブが6日発表した2009年4~6月期連結決算の経常利益は前年同期比16%減の29億円だった。連結子会社が減ったことに加え、映像・音楽ソフトのレンタルや販売を手掛ける「TSUTAYA」事業が振るわなかった。
売上高は同17%減の469億円。昨年9月にアイ・エム・ジェイが子会社から持分法適用会社に、今年5月には子会社だったデジタルスケープが連結対象から外れた。両社で計59億円の減収要因。さらに「CDやDVDの販売の落ち込みが大きかった(柴田励司最高執行責任者)。
既存店でのレンタルも同2%減った。4月の子会社との統合に伴う税負担軽減で、純利益は同81%増の35億円だった。
(日本経済新聞 2009年8月7日 14面)
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「4月の子会社との統合に伴う税負担軽減」というところが気になったので、少し調べてみました。
平成21年4月1日付で、CCCの直接又は間接の完全子会社(完全孫会社等を含む)11社の事業を、株式会社CCC(旧商号:株式会社TSUTAYA)に再編・統合しています。
組織再編の概要は次の通りです。

「当社のグループ内組織再編(子会社間の吸収合併、会社分割、 事業譲渡に伴う子会社の解散及び子会社の商号変更等)のお知らせ」 4ページ
合併対象となる子会社

「当社のグループ内組織再編(子会社間の吸収合併、会社分割、 事業譲渡に伴う子会社の解散及び子会社の商号変更等)のお知らせ」 1ページ
会社分割対象となる子会社

「当社のグループ内組織再編(子会社間の吸収合併、会社分割、 事業譲渡に伴う子会社の解散及び子会社の商号変更等)のお知らせ」 3ページ
事業譲渡・解散の対象となる子会社

「当社のグループ内組織再編(子会社間の吸収合併、会社分割、 事業譲渡に伴う子会社の解散及び子会社の商号変更等)のお知らせ」 3ページ
商号変更の対象となる子会社

「当社のグループ内組織再編(子会社間の吸収合併、会社分割、 事業譲渡に伴う子会社の解散及び子会社の商号変更等)のお知らせ」 4ページ
2009年度第1四半期のPL末尾は次のようになっています。
税金等調整前四半期純利益 |
2,287百万円 |
法人税、住民税及び事業税 |
368 |
法人税等調整額 |
△1,757 |
法人税等合計 |
△1,389 |
少数株主利益又は少数株主損失 |
152 |
四半期純利益 |
3,524 |
法人税等調整額は、繰延税金資産の増加によるものです。前期末比で
繰延税金資産(流動)2,281百万円→3,811百万円
と大きく増加しています。
原資は繰越欠損金でしょう。前期末の税効果の注記を見ると繰延税金資産の内訳の中で繰越欠損金が12,842百万円もあります。
これは内訳項目の中で突出して大きな金額です。一方評価性引当額12,734百万円計上されており、繰越欠損金部分に見合う繰延税金資産の資産性を否認しています。
つまり繰越欠損金を抱える子会社単体では将来的に繰越欠損金を使い切るだけの収益性が見込めないため、合併により繰越欠損金を存続会社に引継ぎ、これを使い切ろうということなのです。
では繰越欠損金を抱える子会社とは?
おそらくそのひとつはTSUTAYA STORESホールディングス(及びTSUTAYA STORES)でしょう。
前期末の有報の関係会社の状況に、TSUTAYA STORESホールディングスの債務超過額3,215百万円(TSUTAYA STORESの債務超過額は2,583百万円)と記載されています。
TSUTAYA STORESホールディングスは、もともとユーファクトリーという会社で昨年8月に商号変更するとともに、TSUTAYA STORESの店舗事業に関する権利義務を吸収分割により承継しています。
また、今年1月1日にはヴァージン・メガストアーズ・ジャパンを吸収合併しています。
TSUTAYA STORESをめぐる再編で繰越欠損金がどう引き継がれたか不明ですが、数社の繰越欠損金がこの会社に集約されている可能性もあります。
今回の再編のひとつの理由が、この繰越欠損金の有効利用にあると推測されます。
なお、今年10月1日にホールディングス(カルチュア・コンヒ゛ニエンス・クラフ゛株式会社)と4月1日の再編の存続会社である100%子会社である株式会社CCCを合併することが8月5日に開示されています。
【リンク】
平成21年2 月12日「当社のグループ内組織再編(子会社間の吸収合併、会社分割、 事業譲渡に伴う子会社の解散及び子会社の商号変更等)のお知らせ」カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社[PDF]
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