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‘資金調達’ タグのついている投稿

ジャパンディスプレイ、第三者割当増資失権

ジャパンディスプレイは25日、オーバーアロットメントによる売り出しに伴い3月末に予定していた第三者割当増資について、割当先の野村証券から申し込みがなく全株を失権したと発表した。野村が全1800万株を引き受ける権利を放棄した。この結果、約160億円の追加的な調達ができなくなった。
(日本経済新聞2014年3月26日17ページ)

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「Jディスプレ株の終値は東証1部に上場した19日以降、公募・売り出し価格の900円を下回る700円台で推移。25日終値も727円と野村への割当価格(879・75円)を下回っていた。」(前掲紙)

オーバーアロットメントとは、企業が公募・売出しを実施する際において、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、主幹事証券会社が対象企業の株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売することを言います。市場株価が野村証券への第三者割当増資の割当価格を下回っているため、市場買い付けを選択するということです。

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なし

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新株予約権で資金調達急増

バイオベンチャーや新興ゲーム会社で、新株予約権を証券会社に割り当てる形の資金調達が急増している。13年度は32件と12年度と比べ3.2倍に拡大し、過去最高を更新。株高を追い風に、野村証券やメリルリンチ日本証券などの大手が営業に力を入れている。
(日経ヴェリタス2014年3月23日15ページ)

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証券会社割当型の新株予約権を発行した主な企業は次の通りです。
(発行額は決議日の株価で算出)

業態 発行額(億円) 発行決議日
クルーズ ゲーム 62 2014年2月
日本風力開発 再生エネ 26 2014年2月
リプロセル バイオ 100 2014年1月
KLab ゲーム 23 2013年11月
アンジェスMG バイオ 40 2013年10月
UNMファーマ バイオ 42 2013年9月
テラ バイオ 31 2013年5月
新日本科学 バイオ 100 2013年5月

(出所:前掲紙)

リプロセルはプレスリリースの中でスキームの特徴とデメリットを次のように説明しています。

【本スキームの特徴】

  1. 当社の資金需要や株価動向を総合的に判断したうえで、柔軟な資金調達が可能であること。
  2. 本新株予約権の目的である当社普通株式数は 6,000,000 株で一定であるため、株価動向によらず、最大増加株式数は限定されていること(平成 25 年 11 月 30 日現在の総議決権数に対する最大希薄化率は、13.09%)。
  3. 当社普通株式の終値が下限行使価額の 120%に相当する金額を下回る場合、割当予定先に対して本新株予約権の行使を指定することはできず、また、当社普通株式の終値が下限行使価額 を下回る場合、割当予定先が本新株予約権の取得を請求する権利を有することになるという デメリットはあるが、本新株予約権の行使価額には上限が設定されていないため、株価上昇 時には調達金額が増大するというメリットを当社が享受できること。
  4. 本新株予約権の払込金額と同額の金銭を支払うことにより、本新株予約権の全部又は一部を 取得することができること。

【本スキームのデメリット】

  1. 市場環境に応じて、行使完了までには一定の期間が必要となること。
  2. 株価が下落した場合、実際の調達額が当初の予定額を下回る可能性があること。
  3. 株価が下限行使価額を下回って推移した場合、調達ができない可能性があること。

権利行使価額は効力発生日の前日の株価の90%に修正されます。
株式の終値が下限行使価額の120%を下回る場合、新株予約権の行使を指定することができないため、下限行使価額をどのレベルに設定するかによってスキームの設計が全く異なることになります。リプロセルの下限行使価額は、1,162円です。

【リンク】

2014年1月8日「行使価額修正条項付き第9回新株予約権(第三者割当て)の発行及びコミットメント条項付き第三者割当て契約に関するお知らせ」株式会社リプロセル [PDF]

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REIT、債券による資金調達急増

低金利を追い風に、不動産投資信託(REIT)による債券発行を通じた資金調達が急増している。投資法人債の発行額は1~3月、同期間として過去最高となった。
(日本経済新聞2014年3月12日15ページ )

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今年に入って投資法人債を発行した主なREITは次の通りです。

銘柄名 年限 金額(億円) 発行金利(%)
エクセレント 10 80 1.13
GLP 5 60 0.47
Jプライム 10 50 1.11
オリックスF 4.5 50 0.44
森トラストR 3 50 0.241

(出所:前掲紙)

「背景にあるのは金利の低下。不動産市況の復調も支え、REITはより低い金利で債券を発行できるようになった。」(前掲紙)

金利低下は不動産の期待利回りの低下、つまり不動産価格の上昇を意味します。

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なし

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海外子会社の配当最大

日本企業が海外で稼いだ利益を国内に戻して使い始めた。2013年は配当や利子として国内に戻したお金が、前の年より7割多い3・5兆円と過去最大になった。セイコーエプソンやアステラス製薬は一部を株主配当や国内での研究開発投資に回した。円安が進んで外貨を円に替えると有利になったほか、海外から利益を戻しやすくする税制改正も後押しした。
(日本経済新聞2014年3月4日1ページ )

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「国際収支統計などによると、13年に国内の親会社が海外子会社から配当や利子として受け取った額は、68%増の3兆5200億円。海外で稼いだ利益のうち国内に戻した比率も12年の50%から66%に上がった。」(前掲紙)

ペッキング・オーダー理論によれば、必要資金は①内部留保、②負債、③増資の順で手当するとされています。
海外子会社の内部留保を配当として国内に戻して使うというのも①の段階ですね。
とするとこの動きが一巡したあとに、企業は借入による資金調達に向かうことになります。

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なし

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武田薬品、M&Aより財務強化

武田薬品工業は2014年3月期末にも手元資金が有利子負債を上回る見通しだ。約3年ぶりの「実質無借金」となる。業績の回復で手元資金が積み上がり、有利子負債の圧縮も進めて財務を健全化。大型M&A(合併・買収)を含めた将来の成長投資に機動的に対応しやすくする。
(日本経済新聞2014年2月19日15ページ )

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「フランソワ・ロジェ最高財務責任者(CFO)が明らかにした。武田は1990年代後半から実質無借金経営だったが、11年にスイス・ナイコメッドの買収資金約1兆円のうち6000億円を借り入れ、有利子負債から手元資金額を引いた純有利子負債がプラスになっていた。」(前掲紙)

ロジェCFOは2016年3月期までに手元資金を4000億円程度まで積み上げることを明言しており、それまでは大規模なM&Aは行わないということです。

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なし

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中小企業向け融資、反転の兆し

銀行や信用金庫の中小企業向け融資が反転する兆しが出てきた。2007年から減り続けてきた銀行の貸し出しが6カ月連続で前年比プラスとなったほか、信金も不動産や医療分野への融資を増やしている。ただ中小企業の資金需要は運転資金が中心との見方も強く、増加基調が続くか不透明感もある。
(日本経済新聞2014年2月6日1ページ )

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「日銀によると、13年12月末の中小向け貸出残高は173兆円と前年同月比1・8%増えた。6カ月連続のプラスはリーマン・ショック前の07年以来だ。信金の貸出残高も昨年12月に0・8%増と、09年10月以来の高い伸びを記録した。」(前掲紙)

資本金3億円以下または従業員300人以下の企業に対する貸し出しを中小企業融資というそうです。
消費増税前の駆け込み需要等一時的な要因により中小企業の景況感が回復しており、運転資金需要が増えているということです。

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三菱自動車、最大2416億円調達、公募増資など発表、優先株買い入れ

三菱自動車は7日、公募増資と株式売り出しで最大2416億円を調達すると正式発表した。2100億円を上限に優先株の買い入れに充て、残りを設備投資に回す。
(日本経済新聞2014年1月9日9面)

【CFOならこう読む】

「優先株約3800億円のうち、1100億円分は三菱重工業など、優先株を持つ株主が増資後に持ち株比率を維持するため普通株に転換。三菱自が買い入れるのは約2700億円分。さらにここから25%値引きしてもらうため、必要な買い入れ資金は2000億円規模となる。」(前掲紙)

三菱重工業、三菱商事及び三菱東京UFJ銀行の株主3社は、三菱自動車の 34%以上 35%未満の持分を直接又は間接に保有し、かつ、三菱重工業は三菱自動車を引き続 き持分法適用関連会社とするために次のスキームを採用することがプレスリリースの中で説明されています。

「具体的には、株主3社は、その直接保有する優先株式の全部又は一部について普通株式を対価とする取得請求権を 行使して普通株式を取得するとともに、三菱重工業は、当社を引き続き持分法適用関連会社と する目的で、(1)本第三者割当増資の払込期日後遅滞なく、三菱東京UFJ銀行 との間で三菱重工業が三菱東京UFJ銀行の保有する優先株式を譲り受ける株式譲渡契約を締 結するとともに、(2)完全子会社(以下「三菱重工業子会社」といいます。)を設立し、本第三 者割当増資の払込期日後遅滞なく、三菱重工業子会社を営業者とし三菱商事及び三菱東京UF J銀行を匿名組合員として、三菱商事及び三菱東京UFJ銀行からそれぞれの保有する優先株 式の匿名組合出資を受ける匿名組合契約を締結する予定であり、(3)上記株式譲渡契約及び匿名 組合契約に基づき三菱重工業自ら又は三菱重工業子会社が取得する優先株式を、普通株式に転換する予定です。その結果、三菱重工業は、三菱重工業子会社分を含めて、当 社の総株主の議決権の数の 20%以上を保有する予定です。」
(「新株式発行及び株式売出し」並びに 「資本金及び資本準備金の額の減少」に関するお知らせ 10頁を修正 (2014年1月7日「「新株式発行及び株式売出し」並びに「資本金及び資本準備金の額の減少」に関するお知らせ」三菱自動車工業株式会社 [PDF]))

匿名組合を利用し出資持分を確保するスキームです。

【リンク】

2014年1月7日「「新株式発行及び株式売出し」並びに「資本金及び資本準備金の額の減少」に関するお知らせ」三菱自動車工業株式会社 [PDF]

 

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日本電産、500億円社債発行

日本電産は18日、普通社債500億円を発行したと発表した。主に国内投資家向けで、調達した資金は短期借入金の返済にあてる。
(日本経済新聞2013年12月18日7ページ )

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社債の概要は以下の通りです。

1. 社債総額 金500億円
2. 振替社債 本社債は、社債、株式等の振替に関する法律の規定の適用を受けるもの とする。
3. 各社債の金額 金1億円
4. 利率 年0.207%
5. 払込金額 各社債の金額100円につき金100円
6. 償還金額 各社債の金額100円につき金100円
7. 償還期限 平成28年12月20日
8. 申込期間 平成25年12月18日
9. 払込期日 平成25年12月25日

株式会社格付投資情報センター及び株式会社日本格付研究所から A+ の格付けを受けています。

【リンク】

2013年12月18日「日本電産株式会社第4回無担保社債(社債間限定同順位特約付)発行に関するお知らせ」日本電産株式会社 [PDF]

 

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日医工ライツイシュー、希薄化懸念で売り相次ぐ

週間で12%下落。11月28日に一時2001円まで下げ、6月末以来ほぼ5ヵ月ぶりの安値を付けた。
(日経ヴェリタス2013年12月1日25ページ )

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11月28日のエントリー「日医工、ライツイシューで128億円調達」の続報です。

「市場では「広く新しい株主を募る公募増資に比べて発行済株式数増による1株利益の希薄化の影響は少ないが、それでも希薄化を嫌気した既存株主が多かった」(資産運用会社の情報担当者)という」(前掲紙)

11月27日ライツイシューによる資金調達を発表した際に、権利行使に係る価額及びその算定根拠を会社は次のように説明しています。

「当社普通株式1株を取得するための行使代金につきましては、676 円(本新株予約権1個 当たり 338 円)、当社普通株式1株当たりの出資価額につきましては、644 円(本新株予約 権1個当たり 322 円)と設定しております(行使代金と出資価額の差額である 32 円(本新 株予約権1個当たり 16 円)がコミットメント会社に対して支払われる手数料となります。)。 これは、上記「4.調達する資金の額及び資金の使途等 (2)調達資金の使途」に記載の 今後の資金使途、本新株予約権の行使により発行される予定の株式の数及び本新株予約権の行使の可能性(本新株予約権が行使されやすいよう、時価を下回る行使代金を設定して おります。)、コミットメント会社に対して支払われる手数料等を総合的に勘案して決定さ れたものです。」
((2013年11月27日「コミットメント型ライツ・オファリング (上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ」日医工株式会社 [PDF]))

11月27日終値が2369円。2株持っている株主は新株予約権行使により676円支払って1株の普通株式を取得します。
そうすると理論株価は

(2369円×2株+676円)÷(2株+1株)=1804円

となります。

行使価格が低いと株価がそこに向けてさや寄せされるのは当然の話です。
株式分割と同じですね。

【リンク】

なし

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日医工、ライツイシューで128億円調達

国内企業の間で「ライツイシュー」と呼ぶ、新株を買える権利(新株予約権)を活用した増資が相次いでいる。27日は日医工が128億円、情報技術専門書出版のSEホールディングス・アンド・インキュベーションズが9億円の調達を発表。
(日本経済新聞2013年11月28日15ページ )

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「日医工は証券会社が未行使の予約権を買い取り、調達額を事前に保証する「コミットメント型」のライツイシューを活用する。」(前掲紙)

日医工のライツイシューのコミットメントに係る引受手数料は費用計上されない旨プレスリリースに次の記載があります。

「これまでのライツ・オファリングのコミットメントに係る手数料は、発行会社が引受人に 支払う方法で行われており、この場合には引受手数料が発行会社の費用として計上される ため、発行会社の経営指標である経常利益や1株当たり当期純利益等に影響を与えること になります。
一方、公募増資では、証券会社は一般投資家の購入価格である発行価格で募集を行い、発 行会社には手数料相当額を差し引いた発行価額が払い込まれるのが一般的であり、この場 合、発行会社は引受手数料を費用計上しません。
このように、ライツ・オファリングと公募増資は、株式の発行による資本調達という経済的効果は同じながら、発行会社における手数料の会計処理が異なることから、投資家にと って財務指標等の比較が困難になる可能性があります。
今回、当社が採用する方式の場合には、投資家の支払う「行使代金」は「出資価額」に「引 受手数料」を加えた金額となり、引受手数料が発行会社の費用として計上されないため、 上記のような会計処理の違いを回避することができます。」
2013年11月27日「コミットメント型ライツ・オファリング (上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ」日医工株式会社 [PDF]

なお、ライツイシューによる発行済株式数の増加を勘案して、期末配当予想1株当たり16.00円を 修正して、12.30 円にすることをリリースしています。

【リンク】

2013年11月27日「コミットメント型ライツ・オファリング (上場型新株予約権の無償割当て)に関するお知らせ」日医工株式会社 [PDF]

2013年11月27日「期末配当予想の修正に関するお知らせ」日医工株式会社 [PDF]

 

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