脱デフレと景気回復に伴い、お金を借りて起業に踏み切る人が増えている。日本政策金融公庫の起業向け融資件数は2013年4~12月期に7年ぶりの高水準に回復。信用保証協会による起業関連の保証件数も下げ止まり傾向が鮮明。お金の価値が高まるデフレ期には借金の負担が重くなるため起業に踏み出しにくかった。脱デフレの進展とともに起業しやすい環境が整いつつある。
(日本経済新聞2014年3月14日5ページ)
【CFOならこう読む】
「国内の起業家の2割が利用する政策金融公庫の融資は、起業の動向を測る先行指標とされる。
同融資の件数は13年4~12月期に1万7304件と、前年同期に比べ14・3%増えた。06年4~12月期(1万6843件)を上回り、リーマン危機前の水準に7年ぶりに戻った。4~12月期の融資金額も1343億円と8年ぶりの高水準だった。」(前掲紙)
起業を爆発的に増やすには、チャレンジする人をリスペクトする社会に変わる必要があります。
そして起業してその後また会社に勤めたり、民間と公を行き来したり、人がもっともっと自由に仕事の場を選択できるようにならなければいけません。
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日本の開業率(一定期間に生まれた新たな事業所の割合)が低い理由と、引き上げるヒントを論じてきた。アイデア、意欲、資金があれば起業すること自体はそれほど難しくない。開業後の拡大で真価を問われる。
(日本経済新聞2013年10月3日24ページ)
【CFOならこう読む】
「企業の成功例を増やせば、ベンチャーに投融資するリスクマネーの供給増につながる可能性がある。開業後の支援の充実は当該ベンチャー企業だけでなく、日本の開業率を引き上げて「起業社会」を実現するためにも欠かせない」(前掲紙)
私はこの「支援」という言葉が嫌いです。
ヒトはみな得意なところも不得意なところもあります。
だから企業は多くのヒトによって営まれるのです。
経営者は、自分に足りないところを他者に補ってもらわなければなりません。
従業員として雇用するか、外部のリソースを利用するか、いずれにしても何らか手当をする必要があります。
外部のリソースを利用するのであれば、いくつかの業者の中からフィーとサービス内容を検討し、適当なところを選択します。
業者は支援をするわけでなく、ビジネスをするのです。
「支援」というと「弱いものを助けてあげる」といったニュアンスがありますが、経営者は必要なサービスを適切な価格で購入するだけのことで、決して「支援」を受けるわけではありません。
業者の方も「支援」をしてあげるために善意で近づいてくるわけでありません。
むしろ多くの業者は、創業者が大成功する可能性に乗っかろうと思っているのです。
そのこと自体は悪いことではありませんが、「支援」というと本質を見失うことになります。
ユニクロの現監査役で上場コンサルタントだった安本隆晴さんが書いた「ユニクロ監査役が書いた 伸びる会社をつくる起業の教科書」の中に柳井社長と安本さんの対談が載っています。その中で柳井さんが、上場前の自分は経営を知らなかったが、安本さんは商売がよくわかっていなかった、と指摘しています。
安本さんは、プロフェッショナルとして、柳井さんが不案内であった数値面を中心とした経営管理の手法についてコンサルティングサービスを提供したのであって、決して善意で助けてあげたわけではありません。
柳井さんにとって安本さんとの出会いは決定的に重要だったことは間違いありません。
しかし、それは柳井さんが自分に足りないところを知り、自ら動いて柳井さんが見出したのです。
待っていれば良い人が現れて助けてくれるわけでは決してありません。
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フライトのキャンセルや遅延が当たり前のインドの航空業界で「定時発着」を打ち出し初就航から6年で国内線シェア首位になった航空会社がある。37歳のアディティア・ゴーシュ社長が率いる格安航空会社インディゴだ。2013年に1億ドル(約100億円)の黒字を確保する見込みで、価格競争と燃料高の逆風に苦しむ世界の航空会社の羨望の的という。
(日本経済新聞2013年7月19日9ページ)
【CFOならこう読む】
アディティア・ゴーシュ社長が取り組んだのは、定時発着と客室清潔さです。
「ビジネスに必要なのは一般常識。経験は必要条件ではない」(前掲紙)
法律家であったゴーシュ氏に航空ビジネスの経験はなかったということです。
しかし経験がないことが、業界の因習に染まらないという意味で大きな強みになり得るということです。
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