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やまや、居酒屋チムニーを買収へ

酒類販売のやまやは7日、東証2部上場の居酒屋大手、チムニーを買収すると発表した。やまやが8日から実施するTOB(株式公開買い付け)に対し、チムニーの筆頭株主で47・97%を出資する米投資ファンド、カーライル・グループが応募する。
(日本経済新聞2013年11月8日12ページ)

【CFOならこう読む】

「やまやは出資比率を50%以上に高める意向だ。買収額は最大で約140億円。」(前掲紙)

2009 年 11 月 7 日「チムニーMBO」

2012 年 12 月 11 日「【資本政策詳解】チムニー」

の続報です。

2009年12月に当時東証2部上場会社であったチムニーはMBOにより非上場化し、カーライル・グループの傘下に入った。

その後2012年12月に東証2部に再上場しています。そのときの公募価格は1,000円でした。再上場後も50%近くの持分を保有していたカーライル・グループは、やまやのTOBによりExitを果たすことになります。

ただし、カーライル・グループが保有する株式数9,365,200 株に対し、本公開買付の買付予定の株式数は9,500,000株なので、これを超える応募があった場合はあん分比例により買付けが行われるため、カーライル・グループの保有株式数のうち相当数がTOBの買付対象とならない可能性があります。

【リンク】

2013年11月7日「チムニー株式会社株式(証券コード3178)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」株式会社やまや [PDF]

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アジアグロースキャピタル、大黒屋を傘下に

アジアグロースキャピタルは19日、中古品ブランド販売の「大黒屋」の持株会社で、非上場のディーワンダーランドの株式をTOBで取得すると発表した。
(日本経済新聞2013年9月20日15ページ)

【CFOならこう読む】

対象者であるディーワンダーランドは、旧ジャスダック証券取引所に上場しておりましたが、対象者が大黒屋の株式を取得し、子 会社化した際に、旧ジャスダック証券取引所株券上場廃止基準第2条第1項第8号 a(不適当な合併 等)に該当したため、平成 22 年2月9日付けで上場廃止となっています。

アジアグロースキャピタルは、旧社名森電機、平成24年12月31日に社名変更しています。

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なし

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日本証券業協会、大規模増資なら株主総会決議

日本証券業協会は19日、公募増資制度の改革に向けた提言を公表した。情報開示の徹底を促すとともに、既存株主の利益を損なう可能性のある大型増資には「発行企業に対して株主総会での決議を義務付けることも考えられる」などと明記。経団連や金融庁、日本取引所グループにも実現を働きかける。大幅な株価下落や不公正取引が発生しにくい市場を目指す。
(日本経済新聞2013年6月20日15ページ )

【CFOならこう読む】

「報告書は日本の公募増資制度について「株主の理解を得るための方策や投資家への情報開示の促進を検討すべきだ」と強調。1株利益の希薄化率が2割を超すような大規模増資を念頭に、株主総会などで株主の賛同を得ることが必要だとした。」(前掲紙)

報告書のこの部分の提言は次の通りです。


■前述の、大規模な希釈化を伴う公募増資が既存株主の権利を著しく損なってきたと の見方に対しては、論点として、例えば、一定の割合を超える希釈化を伴う公募増 資を実施する場合には、発行企業に対して株主総会決議を義務付けることも考えら れる。
■米国においては、株主総会決議要件は現金を対価とした公募増資には課されてい ないことから、この施策を実施した場合、我が国だけ規制上の制約が課されることと なる。しかしながら、後述((1)5)の事実関係とおり、日米間には市場を取り巻く環 境に相違がある可能性があることから、我が国における株主の理解を得るための 方策については柔軟に考えていくことが適当である。
■なお、英国においては、株主割当増資(ライツ・オファリング)以外の方法によりエク イティ調達を行おうとする場合、発行株式数等の条件に応じて株主総会決議が必要 となるが、英国では企業の主なエクイティ調達の手段としてライツ・オファリングが確 立しているのに対し、我が国でライツ・オファリングは未だ主要な資金調達手段とは なっていない状況である。こうした状況の差異を踏まえると、英国のみを参考として 我が国の公募増資に株主総会決議要件を設けていくことについては、慎重に考え ていく必要がある。」http://www.jsda.or.jp/katsudou/kaigi/senryaku/files/130619houkokusyo.pdf

少数株主保護の観点から、TOB規制と絡めて議論を整理することも必要であると思います。

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なし

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TOBによる買収の不可能性

米投資会社サーベラスは17日都内で、西武ホールディングス(HD)に対するTOBの終了後
初めて記者会見した。
(日本経済新聞2013年6月18日11ページ )

【CFOならこう読む】

「同社の西武HD株の持株比率はTOBを経て35.48%になったが、買い取り上限である44%に届かなかった。「西武HD株主からの問い合わせの中には『(サーベラス主導の改革で)企業価値が向上するなら株式を持ち続ける』と当社に期待する声もあった」(サーベラス鈴木社長)という。」(前掲紙)

サンフォード・グロスマンとオリバー・ハートが1980年に発表した、「TOBによる敵対的買収の不可能性」という有名な論文があります。

この論文は、敵対的買収者の見通しが正しければ、その会社の株価は将来必ずそれ以上に上がることになるので、買収を仕掛けられた会社の株主はTOBに応じないのが合理的、と論じています。

この理論に従えば、サーベラスのTOBに応じなかった株主が必ずしも現経営陣支持というわけではないので、今後の動向はまだまだ不透明ということになります。

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なし

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サーベラス、西武株へのTOB締め切り延長

米投資会社サーベラスは16日、西武ホールディングス(HD)へのTOBの締め切り期日を2週間延ばし、5月31日にすると発表した。売却を希望する株主からの応募手続きの事務処理が期限内に終わりそうにないため。
(日本経済新聞2013年5月17日11ページ)

【CFOならこう読む】

「西武HD株は非上場のため保有株数の確認などに時間がかかるという。買取価格は1株1400円で変更はない。」(前掲紙)

非上場会社特有の事情があるのは理解できますが、別の理由もあるのかも知れません。

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西武HD・サーベラス その4

西武ホールディングス(HD)にTOB(株式公開買い付け)を実施中の米投資会社サーベラスは、買い付け株数の上限を従来の4%から10%程度に引き上げる方針を固めた。現在保有する約32%と合わせて4割を超える株式の取得を目指す。
(日本経済新聞2013年4月5日1ページ)

【CFOならこう読む】

「株式上場を巡り対立する西武HD経営陣へ圧力を高める。また、サーベラス幹部のダン・クエール元米副大統領らを取締役として推薦する見通しだ。」(前掲紙)

今後、委任状争奪戦に発展する可能性が高いと思われます。

ここ数日のマスコミ報道は、外資だハゲタカだ、不採算5路線の廃止や埼玉西武ライオンズの売却などとんでもない、といった扇情的な報道が目立ち、いつか見た光景がまたぞろ繰り返されています。

しかし、委任状争奪戦に発展するのであれば、そこで価値創造のコンテストが行われれば良いわけで、マスコミが現時点では公式には提示されていない価値創造プランについてその優劣を論じることに何の意味もありません。

いずれの経営陣を選択するのか、これは十分な情報に基づき株主が決めることです。

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なし

西武HD・サーベラス その3

2013 年 3 月 27 日 コメント 1 件

西武ホールディングス(HD)は26日、筆頭株主の米投資会社サーベラスによるTOBに反対すると発表した。同社が求める元金融庁長官の五味広文氏ら3人を取締役に追加選任する提案にも反対。東京都内で記者会見した西武HDの後藤高志社長は「(TOBに至るまでに)実質的な議論もなく、適切な過程を踏んでいない」と強調した。
(日本経済新聞2013年3月27日11ページ)

【CFOならこう読む】

「西武HD株の32.44%を保有するサーベラスは最大4%分を追加取得するとして今月12日からTOBを開始した(期間は4月23日まで)。後藤社長はTOBに反対する理由について「早期に良い形での株式上場を阻害する。企業価値を損なう恐れがある」(前掲紙)

サーベラスは、西武HDのガバナンス強化を目的に五味氏らを取締役に推薦する方針も発表しています。これに対し、後藤社長は、

「内部管理体制などは既に上場の要件を満たす水準にある」(前掲紙)

と主張します。ガバナンスについての両者の理解は次のように要約されます。

サーベラス

「サーベラス・グループは、対象者のコーポレート・ガバナンス及び内部統制の強化、並びに企業価値の向上を迅速かつ効果的に実行するための具体的な施策を策定・推進するに際しては、現経営陣がこれまでに培ってきた知見やリーダーシップに加え、多種多様な専門的知見や経験を有する取締役・監査役に新たに経営陣に参加して頂き、その知見や経験に裏打ちされた独自の視点で、現経営陣と是々非々の立場での徹底した議論に基づき、真に対象者の企業価値ひいては対象者の株主、従業員、顧客、債権者等全てのステークホルダーの皆様の利益に資する経営判断を行うことが最善の方法であり、そのためには、本定時株主総会において、かかる専門的知見及び経験を有する取締役・監査役を対象者の現経営陣に追加して選任することが有益かつ適切であると考えるに至りました。」(公開買付届出書 3【買付け等の目的】)

経営陣

「当社は、早期における良い形での株式上場を実現する ために、金融商品取引法が上場会社に求める内部統制 (評価)に向けた対応、反社会的勢力排除への取り組み、 グループ企業の整理・統廃合、コンプライアンスの浸透、 コーポレート・ガバナンス強化を実施し、上場適格要件を 十分に満たし得る内部管理体制を確立してまいりました。
さらに、当社はこれらへの取り組みを強化するため、 当社の株式上場に向けたコーポレート・ガバナンスの 一層の推進その他の課題について、社外有識者等より 豊富な知見・見識を活かした助言等を当社取締役会に いただくことを目的に、「上場に向けたガバナンス推進 有識者会議」を設置いたしました。」(「サーベラス・グループの関連事業体であるエスーエイチ ジャパン・エルピーによる公開買付け」 及び「当社取締役・監査役の追加選任等の提案」 に対する当社の意見 2013年3月26日)

ガバナンスというものの理解において、両者の考え方が大きくくい違っています。
サーベラスは、ガバナンス=企業統治と捉えているのに対し、経営陣は、ガバナンス=内部管理体制と捉えています。

サーベラスにより取締役に推された五味氏は、日経ビジネスのインタビューに答えて西武HDのガバナンスの脆弱生について
次のように述べています。

「私は経営の現場を見ているわけではないので、細かな状況についての解説はできません。ですが、今表面化している事態を見る限り、問題があるように感じます。

 西武鉄道が上場廃止に陥り、資金が足りない状況になった。そこで事業再生を進めるためにファンドの出資を仰いだ。その上で、後藤さんという有能な銀行マンを招いて着実に事業を再生してきた。ここまでは物事が順調に進んでいたわけです。

 ところが最後の上場の段階で、本来共同作業をしてきた筆頭株主と経営陣の十分な意思疎通が図れず、身動きできない状況になっている。こうした事態を招くこと事態、経営陣に何らかの問題があるのではないでしょうか。」(日経ビジネスオンライン 2013年3月26日)

つまり五味氏も企業統治に問題があると言っているのです。西武HDのコーポレートガバナンスの脆弱生は、多くの日本企業に共通するものです。そしてオリンパス等の不祥事が起きる根本的な原因も、ここにあるのです。

【リンク】

2013年3月26日「サーベラス・グループによる当社株式に対する公開買付け及び同グループによる当社取締役・監査役の追加選任等の提案に関する意見表明(反対)のお知らせ」株式会社西武ホールディングス  [PDF]

2013年3月26日「『サーベラス・グループの関連事業体であるエスーエイチ ジャパン・エルピーによる公開買付け』及び『当社取締役・監査役の追加選任等の提案」に対する当社の意見』」株式会社西武ホールディングス [PDF]

西武HD・サーベラス その2

2013 年 3 月 21 日 コメント 1 件

西武ホールディングス(HD)は19日、筆頭株主の米投資会社サーベラスによる西武HD株へのTOB(株式公開買い付け)への対応策のために設置した有識者会議の初会合を開いた。
(日本経済新聞2013年3月20日9ページ)

【CFOならこう読む】

「会議ではサーベラスのTOBや取締役選任提案には反対すべきだ、との意見で一致。西武HDはこの助言をもとに取締役会で議論し、サーベラスの提案に対する反対の意見を26日までに表明する見通しだ。」(前掲紙)

西武HDの事業は鉄道やホテルなど公共性が高く、一部の株主の利益を代弁することはそぐわないというのが反対の理由だそうですが、今論点になっているのは、上場時期と公募・売出価格ですから、公共性うんぬんと関係ありません。言うべきことがあるとすれば、TOB価格がどうかということでしょう。

サーベラスは法制度に従い正々堂々TOBを行えばよいのだと思います。

【リンク】

 

なし

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西武HD・サーベラス

西武ホールディングス(HD)は14日、早期の株式上場を目指すために「上場に向けたガバナンス推進有識者会議」を同日付で設置したと発表した。社外の有識者が同社の取締役会に助言することにより、ガバナンス体制を一段と強化するとしている。
(日本経済新聞2013年3月15日11ページ)

【CFOならこう読む】

「西武HD株式の32%超を保有する筆頭株主米サーベラスがTOBで株式の買い増しを表明しており、当面この課題に対応する。」(前掲紙)

サーベラスは現在の保有比率32.4%を、最大4%引き上げて36.4%を取得することを表明しています。

西武HDは、有識者会議の設置目的について、

「なお、当社は、2013 年 3 月 12 日より開始されたサーベラス・グループの関連事業体で あるエス-エイチ ジャパン・エルピーによる当社株式に対する公開買付けに関する当社と しての意見表明につきましても、当該有識者会議での検討内容および当該有識者会議から の当社取締役会に対する助言等を踏まえ、慎重に検討を重ねて参る所存です。」(2013年3月14日 リンクのプレスリリース)

としており、実質的にはサーベラスのTOBの諮問のために設置されたものと思われます。

サーベラスは2006年に、約1000億円の出資を実施しています。西武HDは昨年中の上場を目指していましたが、サーベラスと現経営陣との間で、IPO価格などの上場条件を巡って意見の相違が深まっていると報道されています。

PEファンドであるサーベラスは、IPOの売出で一部Exit するので、その際の価格が決定的に重要です。TOBによる出資比率引き上げにより、取締役の派遣など経営への影響力を強め、Exitの極大化を図るものと思われます。

【リンク】

2013年3月14日「「上場に向けたガバナンス推進有識者会議」の設置について」株式会社西武ホールディングス [PDF]

 

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北越紀州、大王と対立

北越紀州製紙は14日、大王製紙の関連会社が北越紀州株を取得した経緯があるとして、大王に第三者を入れた特別調査委員会の設置を要請したと発表した。北越紀州は大王の筆頭株主として、企業統治や法令順守の改善を求めている。大王は同日、「弁護士による調査で違法性はなかった」とコメント。両社の対立が深まっている。
(日本経済新聞2013年2月15日9ページ)

【CFOならこう読む】

「北越紀州は、大王経営陣と創業家の対立を収拾する形で大王の筆頭株主になった。ところが同年7月から12月にかけて、大王の関連会社の川崎紙運輸(川崎市)が北越紀州株を約2%まで購入していたことが判明した。2%であれば北越紀州の10位以内に入る株主だ。

川崎紙運輸には大王と大王の子会社が計38%出資し、大王の役員らが非常勤取締役になっている。北越紀州は12年11月に大王との技術提携を発表したが、その交渉中の情報を得て北越紀州株を買ったのではないか、とも指摘。「外形上インサイダーと疑われかねない」(北越紀州)との見方だ。」(前掲紙)

北越紀州は、将来大王製紙と経営統合したいとの思惑がありますが、大王は独立経営を志向しており、北越紀州の資本の論理に抵抗する姿勢を示しているということなのかもしれません。

2006年の王子製紙による北越への敵対的TOBの際に、資本の論理に徹底抗戦したのは北越でした。その北越が今度は資本の論理を振りかざす側に回っています。

この業界はいずれ本当の意味で資本の論理による業界再編が起こるような気がします。その結果、すべて外資の傘下に入るということにならないことを願います。

【リンク】

2013年2月14日「大王製紙に対する特別調査委員会設置等の要請に関するお知らせ」北越紀州製紙株式会社 [PDF]

 

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