西武ホールディングス(HD)にTOB(株式公開買い付け)を実施中の米投資会社サーベラスは5日、持ち株比率を最大で約44%まで高める方針を正式発表した。サーベラス幹部のダン・クエール元米副大統領ら計8人の取締役選任を、株主総会の議案にすることも西武HDに求めた。取締役会の半数を抑える狙いだ。TOBに反対する西武HDの経営陣との対立が激しくなってきた。
(日本経済新聞2013年4月6日9ページ)
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「クエール氏とジョン・スノー元米財務長官らサーベラス幹部や、五味広文元金融庁長官ら計8人を、6月の株主総会で取締役に選任することも求めた。総会で承認されれば、すでに就任している取締役も含め計9人がサーベラス推薦となり取締役の半数を占める。」(前掲紙)
サーベラス側は、記者会見で、取締役会のマジョリティを持つことを意図したものではないと繰り返したそうですが、
「今回のTOBの締め切りは5月17日。6月の西武HDの定時株主総会で、サーベラスが単独で圧倒的な支配権を持って議決権を行使するには時間的には間に合わない。」(2013年4月5日ロイター)
ため、来年以降の株主総会を実質的に支配するための布石とも考えられます。
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なし
ゴルフ場運営首位のアコーディア・ゴルフは3日、同業2位のPGMホールディングスからのTOBに反対し、対抗策として大幅な増配に踏み切る方針を正式発表した。会見したアコーディアの鎌田隆介社長は「TOB価格は企業価値に照らして不十分だ。断固反対する」と述べた。
(日本経済新聞2012年12月4日13面)
久しぶりの敵対的買収です。
反対の理由は次の通り。
(1) 中期経営計画を遂行し株主還元を行うことが株主のためになる
(2) PGMが提示したTOB価格は低すぎる
(3) PGMがアコーディアの取締役に圧力をかけられる株式を取得して経営統合を協議することになれば、株主利益が不当に害される恐れがある
(4) 現時点でPGMは将来の経営統合に向けた統合比率の条件を明らかにしておらず、強圧的な買収手法にあたる

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2012年11月15日「株式会社アコーディア・ゴルフ株券に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」PGMホールディングス株式会社 [PDF]
東京証券取引所グループは11日、来年1月1日に統合する大阪証券取引所株のTOBを始める。東証は成立に自信を示しており、順調にいけば、大証は東証の子会社になった上で両社は合併し、持株会社の「日本取引所グループ」に移行する。
(日本経済新聞2012年7月11日5面)

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2012年7月10日「株式会社大阪証券取引所株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」東京証券取引所
名証2部上場で業務用インテリア用品を製造・販売するオリバーは、自社株を対象とするTOBを実施する。大川博美社長らが運営する不動産賃貸会社が保有するオリバー株の一部を売る意向であるのに対応する。
(日経ヴェリタス2012年6月17日27面)

買付価格は、平成24年6月14日までの過去3ヶ月間の名古屋証券取引所市場第二部における当社普通株式の終値の単純平均値1,095円(小数点以下四捨五入)に対して10%のディスカウント率を適用し決定したとのことです。
その理由について、オリバーは、
「当社普通株式を引き続き保有する株主の皆様の利益を尊重する観点から、資産の社外流出を可能な限り抑えるべく、市場価格に一定のディスカウントを行った価格で買付けることが望ましいと判断いたしました。ディスカウント率につきましては、過去の自己株式の公開買付けの事例を参考とすることといたしました。」
と説明しています。
大株主(大川株式会社)以外の一般株主が応募してくると買い取りを按分比例で行なわなければならないので、大株主
が売却を予定している株式を残らずTOBにより買い付けるためには一般株主が応募してこない価格、すなわちディスカウントを行った価格で買い付ける必要があるのです。
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株式会社オリバー
日立化成は11月25日、議決権ベースで58.45%の新神戸の保有比率をTOBにより100%まで高めて完全子会社化すると発表し、12月1日からTOBを実施した。成長が見込める電池事業で新神戸の海外進出を加速するなど相乗効果を高めるのが狙いだ。
(日本経済新聞2011年12月2日15面)

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【リンク】
2011年11月25日「上場子会社である新神戸電機株式会社株式に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ 」日立化成工業株式会社 [PDF]
三井住友フィナンシャルグループ(8316)は30日、消費者金融大手プロミス(8574)の完全子会社化に向けた基本契約を締結したと発表した。傘下の三井住友銀がTOBでプロミスの全株式を取得する。
(2011/9/30 16「三井住友FG、プロミスを完全子会社化 増資引き受けも」日本経済新聞 )
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TOB価格は1株780円。さらにSMFGグループはプロミスが実施する第三者割当増資約1,200億円(1株当たり531円)を引き受ける。プロミスはこれにより、過払い返還に向けた引当金を積み増しし、財務体質を強化する。SMFGグループは、TOBと第三者割当増資と合わせて総額2,000億円を投資することになる。

【リンク】
2011年9月30日「三井住友銀行による当社株式等に対する 公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」プロミス株式会社 [PDF]
「三井住友銀行によるプロミスに対する公開買付けの開始及び三井住友フィナンシャルグループ又は三井住友銀行によるプロミスの第三者割当増資の引受けのお知らせ(11/35)」三井住友銀行
雑貨店「フランフラン」を運営するバルスは2日、MBOを実施すると発表した。創業者の高島郁夫社長が設立したTMコーポレーション(東京・渋谷)が約160
億円で全株式を取得、完全子会社化を目指す。
(日本経済新聞2011年9月3日13面)
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【リンク】
2011年9月2日「MBO の実施及び応募の推奨に関するお知らせ」株式会社バルス [PDF]
独立系のDRCキャピタルは21日、ジャスダック上場の登山用品販売、コージツの買収を表明。買い付け株数に上限を設けておらず、応募株数が多いはコージツは上場廃止になる可能性がある。
DRCキャピタルは発行済株式の17.4%を持つ第2位株主。27.8%を持つ筆頭株主で投資事業を手掛けるジャパンファインアーツもTOBに賛同している。コージツはTOBに対し「当社取締役の賛同のないまま実施される」としている。
(日経ヴェリタス2011年7月24日25面)

【リンク】
2011年7月22日「投資事業有限責任組合 DRCKJ 及び投資事業有限責任組合 DRCIIによる 当社株券等に対する公開買付けについて」株式会社コージツ [PDF]
「TSUTAYA」チェーンを運営する映像・音響レンタル最大手のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は3日、創業者の増田宗昭社長がMBOを実施すると発表した。約700億円で全株式を取得し、東証1部の上場廃止を目指す。中高年層を意識した次世代店舗の開発や中国進出、新規事業への積極投資が必要と判断。非上場化で経営の自由度を高め、事業の再構築を急ぐ。
(日本経済新聞2011年2月4日9面)
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開示資料にざっと目を通しました。以下に気付いた点を列挙します。
・会社側意見としては
ⅰ)本公開買付けに賛同
ⅱ)本公開買付けに応募するか否かについては中立
・会社側は取締役会とは別に独立委員会も第三者の株式評価を入手している。その評価も踏まえたうえで買付者と交渉を行い、当初の提案価格575円から600にまで引き上げることに成功したが、当該価格はDCFの評価の下限を下回っており、応募推奨するか否かについては中立の立場を採ることとした。
・公開買付者側は、評価者とは別のコンサルティング会社に収益予想の作成を依頼
・取締役会は算定機関を変更した事実がないことを表明している
・プルータスのDCFで使用した実効税率について、「平成23年度税制大綱を加味した35.59%及び現行の40.64%の2通りの税率を想定」している旨記載あり(平成23年度税制改正において税率が引き下げられることを勘案すると下限666円は引き上げられると考えられます)

【リンク】
2011年2月3日「MBOの実施及び当社株式等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 [PDF]
コンビは9日、MBO(マネジメント・バイアウト)の一環で行われるパインホールディングスによる普通株式と新株予約権に対する公開買い付け(TOB)に賛同の意見を表明すると発表した。TOBの結果次第でコンビは上場廃止となる。TOB価格は1株1000円、買付代金は122億円。
(「コンビ:MBOで非公開化、1株1000円でTOB-買付代金122億円」)

【リンク】
2010年11月9日「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」コンビ株式会社 [PDF]
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