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日本電産CB1000億円発行

2010年 9月 3日

日本電産は2日、海外市場でCBを発行し、最大で1000億円調達すると発表した。調達資金は短期借入金の返済に充て、今後のM&Aなどに向けて財務をあらかじめ強化しておく狙いがある。
(日本経済新聞2010年9 月3日)

【CFOならこう読む】

「CBは2015年満期で払込日は21日。転換価額は未定だが、株式への転換の場合は保有する自己株式を(約578万株、発行済み株式の約4%)を活用する方針」(前掲紙)

本日付けのプレスリリースで発行条件を次のように決定したと公表されました。

1.本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額 本社債の額面金額と同額とする
2.転換価額 10,626円

転換価額は9月2日の大証の終値7,590円に対しアップ率40%となっています。

【リンク】

2010年9月3日「2015 年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行条件等の決定に関するお知らせ」日本電産株式会社 [PDF]

吉永 資金調達

上場企業の4~6月期のフリーキャッシュフローは1兆5000億円のプラス

2010年 9月 2日

ニッポン株式会社が手元に資金を残す姿勢を強めている。営業活動で稼いだお金から差し引いたフリーキャッシュフローは、2010年4~6月期に大幅に改善した。余剰資金を財務改善に充てる傾向が強く、成長投資をためらう姿も浮かび上がる。
(日本経済新聞2010年9月2日15面)

【CFOならこう読む】

「この結果、フリーCFは約1兆5000億円のプラスと大幅に改善した。景気後退懸念がくすぶるなか、成長投資に積極的な企業は一部にとどまる。資金調達や借金の返済による現金の増減を示す財務CFは約1兆7000億円のマイナスとなり、フリーCFのプラスはほぼ財務改善に充てられた形だ」(前掲紙)

昨日のポストでもお話したように、身を縮めるばかりでは未来は開けません。この点今日の記事は次のようなHOYAの江間CFOのコメントを紹介しています。

「ほかの人が意気消沈している時こそチャンス」

その通りだと思います。

【リンク】

なし

吉永 業績評価

上場会社平均ROE7.1%

2010年 9月 1日

2010年4~6月期に4.1倍の大幅経常増益を果たした「ニッポン株式会社」。ROEは製造業を中心に回復し金融危機前の水準に近づいた。だが売上高は危機前の9割に届かない水準。過去最大級のコスト削減で収益を回復させたニッポン株式会社の姿を「筋肉質」と表現するか、過激なダイエットによる「不健康体」と見るか。そこへ15年ぶりの円高水準という逆風が迫っている。
(日本経済新聞2010年9月1日)

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「3月期決算企業(金融、新興市場除く1757社)の4~6月期のROEは7.1%。前年同期の0.8%から回復し、危機前の8.1%に1ポイント差まで近づいた。けん引役は製造業で、7.5%まで回復。国内のデフレに苦しむ非製造業の6.5%を逆転した」(前掲紙)

ROE回復の主要因は危機後の赤字幅が大きく自己資本が減少していることにあるということです。今日の記事のとなりには、「TDK、負債削減を加速」という記事が踊っています。

自己資本も負債も減らして、投資も先延ばしにし、それで一時的に財務数値を改善させても将来の展望は開けないと思います。

【リンク】

なし

吉永 業績評価

Uアローズ自己株TOB、エービーシー・マート保有株全株売却へ

2010年 8月 31日

靴専門店大手のエービーシー・マートは30日、発行済株式の24.3%を保有する若者向け衣料品専門大手、ユナイテッド・アローズ(UA)の全株を売却すると発表した。UAが31日から実施する自己株式のTOBに応じる。売却額は最大約107億円となる見込み。一部業務の共通化など連携を模索したが、UAの抵抗が強く資本関係を解消する。
(日本経済新聞2010年8月31日13面)

【CFOならこう読む】

当ブログでは、2009年6月4日のポスティングでABCマートのUA買収
はうまく行かないであろうことを指摘していました。
http://www.cfonews.jp/2009/06/04/abcマート、uアローズ株23取得/

「UAの公開買付価格は1株1000円で、30日終値1132円を11.66%下回る。ABCマートのUA株の取得価格は1株当たり約670円で、保有株をすべて売却した場合には単純計算で約34億円の利益が発生する」(前掲紙)

ディスカウントTOBですね。UAの自己株TOBには上限25%が設定されているため、ABCマート以外の株主が応募してきた場合、あん分比例方式により買付されるため、ABCマートの保有株の一部が売却されないことになることを避けるため、市場価格を下回る価格をTOB価格として設定するのです。

ディスカウントTOBの場合、価格の算定根拠を説明するのが難しいのですが、UAは次のような説明を行っています。

「当社普通株式を保有し続ける株主の利益にも配慮し、資産の社外流出をできる限り抑えるべく、当社普通株式の市場価格に一定のディスカウントを行なった価格により買い付けることにいたしました」

なお本件ではGCAサヴィアンが第三者機関として株価算定をおこなっていますが、市場価格法では1093円〜1148円、DCF法では1167円〜2737円と評価されており、1000円というTOB価格はサポートされていません。

【リンク】

2010年8月30日「自己株式の取得および自己株式の公開買付けに関するお知らせ」株式会社ユナイテッドアロース [PDF]

吉永 M&A ,

【資本政策詳解】FPG

2010年 8月 30日

FPGの株式上場の概要は次の通りです。

FPGは、船舶・海上輸送用コンテナを対象とし、主に投資家が税の繰り延べ効果を享受できるオペレーティング・リース事業のアレンジメントを行っている企業グループです。

公募価格は3,300円、、予想PER8.0という水準での株式公開となりました。

FPGの主な資本政策は (表2)の通りです。

2009年9月の第三者割当増資は外部に対し行なわれたものですが、その発行価格600,000円は2009年9月末時点の1株当たり純資産価額555,000円にほぼ見合うものになっています。
DCF法を採用することにより、今回のIPO公募価格3,300,000円(分割前に調整)に近い価格で増資することも可能であったと思いますが、引受人の多くが税理士等SPC投資家か又はその紹介者であることから、関係強化のためにディスカウントした価格で増資を行なったのかも知れません。

上場後時点で谷村尚永社長単独で2/3の持分を確保する資本政策となっています。

従業員に対するインセンティブはストックオプションによっています。

FPGの直近の財務諸表をざっと見てみましたが、気になるところが一つあります。それは営業キャッシュフローの年度のブレが大きい点です(2008年9月期は△666百万円、2009年9月期は676百万円)。

その主な原因は商品出資金勘定という一般的ではない勘定科目の増減にあります(2008年9月期は△1,085百万円、2009年9月期は616百万円)。この商品出資金について会社は【事業等のリスク】として次のような開示を行なっており留意が必要です。

「当社は、当社子会社(SPC)に係る有価証券(匿名組合契約に基づく権利)について投資家にこれを譲渡することを前提に一時的に取得する場合があり、当該有価証券を貸借対照表の「流動資産の部」に通常の「出資金」とは区別して「商品出資金」として取得価額で計上しております。
従って、当社が当該商品出資金を保有している間に、リース物件の価値の下落、賃借人の信用の悪化、為替相場が円高になるなどの事由により当該商品出資金の価値が取得価額を下回った場合には、当社は当該商品出資金について評価損または譲渡損を計上することになり、当社の業績に影響を与える可能性があります。
また、当社が保有する商品出資金を譲渡する投資家を最終的に見つけることができなかった場合には、当社が当該商品出資金の譲渡に伴い受け取ることを見込んでいた業務受託手数料を受け取ることができず、また、かかる場合には、当該商品出資金に係る持分について、当社が投資家として、オペレーティング・リース事業に関与することになるため、リース物件の価額の下落等の事情が生じることにより、当該持分への出資金の全部または一部を回収できなくなる可能性があり、これらの場合、当社の業績に影響を与える可能性があります」

その他2010年8月10日にポスティングしたように、国際会計基準をつくる国際会計基準審議会(IASB)はオペレーティングリースについてもオンバランス化を要求する公開草案を公表しており、これがFPGの事業に今後どのような影響を与えるのかも不透明であると言えます。

【リンク】

「新株式発行並びに 株式売出届出目論見書 平成22年8月」株式会社FPE [PDF]

吉永 資本政策詳解

子会社化に伴い連結貸借対照表に計上される無形固定資産 – キヤノン・オセ

2010年 8月 28日

キヤノンがオランダのプリンターが大手、オセの買収に伴い約900億円の「のれん」を計上する見通しとなった。オセ買収で新たに発生したのれんに加え、過去にオセが米社買収で計上したのれんを引き継いだ。オセの年金積立不足なども響き、今回計上するのれんの額は買収総額の9割の水準に達する。
(日本経済新聞2010年8月28日15面)

【CFOならこう読む】

「のれんのほかに、オセの持つ顧客名簿や特許権などを時価評価して無形固定資産に計上した。計上額は500億円程度で、こちらは一定年数で償却する。償却年数は未定だが、仮に5〜10年で償却すれば年間で50億円〜100億円程度の減益要因となる」(前掲紙)

米国会計基準では、子会社化に伴い識別できる無形固定資産を取得日の公正価値で認識します。

資産が識別可能であるためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります(SFAS141R P3K)

「(a) 分離可能要件
企業の意図にかかわらず、企業から分離できる、分割でき、個々にまたは関連する契約、識別した思案、または負債とともに、売却、移転、ライセンス付与、貸付け、または交換できる能力がある資産

(b) 契約・法的要件
権利が移転できる、または企業から分離できるかどうかにかかわらず、契約上またはその他の法的権利から発生する資産」
(「M&Aの会計実務」長谷川茂男著 中央経済社)

顧客リストは、(b)の契約・法的要件は満たしませんが、(a)の分離可能要件を満たすので無形固定資産として計上されます。

【リンク】

なし

吉永 会計

エンべディッド・バリュー(EV)

2010年 8月 27日

4月に上場した第一生命保険の株価が低迷している。26日には一時、上場来安値の98,800円を付け、終値でも99,600円と初めて10万円台の大台を割った。世界的な株安基調が続くなかで、市場では「企業の不安材料に目が向かいやすくなっていることが株価の重荷になっている」との指摘が出ている。
(日本経済新聞2010年8月27日4面)

【CFOならこう読む】

「もっとも日本株全体の下落傾向が続くなかで、企業の業績を離れ、不安材料に過剰に反応しやすくなっている面も否定できない。
例えば、一般にはほとんど知られていないが、生保の企業価値を示す独自指標であるエンべディッド・バリュー(EV)をみると、第一生命のEVは2兆1000億円程度。時価総額(9,960億円、26日終値)の2倍以上に上り、EVからみれば、現在の株価は割安とも判断できる」
(前掲紙)

EVとは次のよう価値指標です。

「エンベディッド・バリューは、生命保険会社が現在保有する総資産と保険契約に基づき、株主に帰属すると考えられる配当可能利益の現在価値を計算したものであり、貸借対照表などから計算される「修正純資産(注1)」と保有契約に基づき計算される「保有契約価値(注2)」を合計したものであり、生命保険会社の企業価値を表す指標の一つです。現行の生命保険会社の法定会計では、新契約獲得から会計上の利益の実現までに時間がかかります。一方、エンベディッド・バリューでは将来の利益貢献が新契約獲得時に認識されるため、法定会計による財務情報を補強することができると考えられています。

(注1)修正純資産=純資産の部計(基金、評価・換算差額、社外流失予定額を除く)+負債中の内部留保(価額変動準備金、危険準備金、配当準備金中の未割当額)(税引後)+一般貸倒引当金(税引後)+有価証券等(デリバティブ取引を含む)の含み損益(税引後)+土地の含み損益(税引後)+貸付金の含み損益(税引後)-退職給付の未積立債務(税引後)
(注2)保有契約価値=将来の税引後利益の現在価値-資本コストの現在価値「資本コスト」は前提とするソルベンシー・マージン比率を維持していくために必要な資本等の額に対して割引率と運用利回りの差から生じる利息差です。」(http://www.dai-ichi-life.co.jp/support/glossary/term0194.html

ヨーロッパでは、大手保険会社のCFOから構成されるCFOフォーラムによって2004年5月に制定されたヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)原則があり、これに基づきEEVの計算・開示が行なわれています。

日本でも例えばT&Dホールディングスは、EEV原則に基づきEVを計算し定期的に開示を行なっています。
この開示資料を見るとT&DホールディングスがどのようにEVを計算しているかかなり詳細な説明がなされています。

【リンク】

2010年5月19日「平成 22 年 3 月末ヨーロピアン・エンベディッド・バリューの開示について」株式会社T&Dホールディングス [PDF]

吉永 バリュエーション

野村不動産ホールディングス、新手法で不動産証券化

2010年 8月 26日

野村不動産ホールディングスは、投資家がSPCに出資と社債取得の双方で資金提供する新手法の不動産証券化に乗り出す。従来は投資家はSPCに出資するのみで、貸し付けは金融機関に頼っていたため、借り換えができないとSPCが短期で解散するおそれがあった。
新手法では長期運用がしやすくなり、投資家の需要が見込めるという。

(日本経済新聞2010年8月26日13面)

【CFOならこう読む】

今日は備忘記録です。

「具体的には、金融取引業者のDBJ野村インベストメントが組成、運用するSPCに野村不動産がマンションやオフィスビルを売却する。
投資家はSPCに対して社債6割、出資4割の比率で資金を出し、賃料収入を原資にした利息や配当を得る。

(中略)

社債と出資あわせて年4%程度の利回りが期待できるという。」(前掲紙)

【リンク】

なし

吉永 資金調達

住友信託と中央三井、統合比率1.49対1に

2010年 8月 25日

住友信託銀行と中央三井トラスト・ホールディングスは24日、2011年4月に予定する経営統合の最終契約を結んだと発表した。統合比率は住友信託1.49に対し、中央三井1とする。存続会社は中央三井で、持株会社「三井住友トラスト・ホールディングス」に衣替えする。
(日本経済新聞2010年8月25日4面)

【CFOならこう読む】

本経営統合の内容は以下の通りです。

本経営統合は持株会社方式によるものとし、既に持株会社体制となっている中央三井トラスト・ホールディングスが新しい信託銀行グループの持株会社として活用されます。

具体的には、住友信託銀行が中央三井トラスト・ホールディングスと株式交換を行うと共に、中央三井トラスト・ホールディングスは、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社に商号変更します(第一ステップ)。 また、本株式交換後、三井住友トラスト・ホールディングスは、傘下の信託銀行を合併により統合する予定です(第二ステップ)。

従って中央三井トラスト・ホールディングスが住友信託銀行を100%子会社化することになりますが、会計上は住友信託銀行が
中央三井トラスト・ホールディングスを取得した形で処理されることになります(逆取得です)。
昨日の終値ベースで中央三井トラスト・ホールディングスのPBRは0.78倍なので、負ののれんが発生する可能性が高いと思われます。

統合持株会社の概要は次の通りです。

1.商号
三井住友トラスト・ホールディングス株式会社
(英文)Sumitomo Mitsui Trust Holdings, Inc.

2.本店所在地
東京都千代田区
(住友信託銀行が現在他社と共同で開発を進めている「丸の内1-4計画」ビルを本店の所在場所とする予定です。なお、それまでの間は、住友信託銀行の東京本部ビルとする予定です。)

3.代表取締役の役職・氏名
代表取締役会長には常陰 均(現住友信託取締役社長)、代表取締役社長には田辺 和夫(現中央三井取締役社長)が就任する予定です。

4.役員体制
取締役及び監査役の構成は別途協議し合意の上決定されますが、中央三井トラスト・ホールディングスと住友信託銀行がそれぞれ指名する取締役及び監査役は同数となる予定です。

要するに形式的にはあくまで両社対等な経営統合です。

両社のFAは中央三井側がJPモルガン証券と野村証券、住友信託側がUBS証券と大和証券キャピタル・マーケッツで、それぞれからフェアネス・オピニオンを取得しています。

【リンク】

2010年8月24日「中央三井トラスト・グループと住友信託銀行グループの経営統合に関する最終合意等について ~専門性と総合力を併せ持つ「The Trust Bank」の創設に向けて~」中央三井トラスト・ホールディングス株式会社 [PDF]

吉永 M&A

日本企業のM&Aは家を買う感覚に近い?

2010年 8月 24日

「米国ではM&Aは家を買う感覚に近いが、日本では結婚のようなものだ」。米スリーエム(3M)のジョージ・バックレーCEOは23日、こう語った。
(日本経済新聞2010年8月24日11面)

【CFOならこう読む】

「日本では買収する側とされる側の信頼関係が重視されるため、長い時間がかかる」(前掲紙)

いえいえ日本では家を買うのも一生に一回の大仕事です。こういった比喩からして米国とは違うのですね。この相違はどこから来るのかと考えてみると、やはり市場が機能しているかしていないかという点が一番違うと思うのです。

日本で家を買うのが一生の問題なのは、一回買ったものはそう簡単に売れないからです。

日本のM&Aに時間がかかるのは、中堅以上の従業員の再就職が難しいため、雇用が確保される形でないとなかなか従業員の賛同が得られないからです。

いずれも市場の問題です。単純に規制緩和すれば全てが解決するとは思いませんが、政治の役割はとても重要だと思います。

市場原理主義などといって市場を軽視する発言は厳に慎んでもらいたいものです。

【リンク】

なし

吉永 M&A