上場企業は2010年3月期の有価証券報告書から、年に1億円以上の報酬を支払っている役員について個別に情報を開示することが義務付けられた。株主総会でも、株主から役員報酬についての質問が相次いでいる。開示の変更点などについてポイントをまとめる。
(日本経済新聞2010年6月25日17面)
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「ソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長への現金支給は基本報酬と賞与の合計約4億1千万円。さらに前期分として付与された50万株分のストックオプションを理論値で計算した評価額が4億円。合計で約8億1000万円が役員報酬して開示される」
(前掲紙)
CFOの役員報酬の水準はどんなものでしょうか?
ソニー 大根田伸行氏(但し、2010年6月18日をもって任期満了により退任)
基本報酬 5,000万円 賞与 4,000万円 株式退職金 5,000万円
ストックオプション 3万株(会計上の価値@813円を用いて計算すると約2,400万円)
(株式会社ソニー 第93回定期株主総会)
HOYA 江間賢二氏
固定報酬 4,800万円(内執行役報酬4,000万円)業績報酬による報酬4,400万円
ストックオプション 800万円(公正価値により計算された会計上の費用計上額)
(HOYA株式会社 「第72期 有価証券報告書」[PDF])
退職金を除くと約1億円というところです。
【リンク】
株式会社ソニー 第93回定期株主総会
HOYA株式会社 「第72期 有価証券報告書」[PDF]
吉永 コーポレートガバナンス コーポレートガバナンス
経済産業省は23日、法制審議会(法相の諮問機関)会社法制部会に、会社法の見直し案を提示した。社外役員や独立役員の選定基準を緩和するのが柱で、社外・独立役員が過半数を占める企業には株主総会の手続きの簡素化などの特典を付与するよう記した。株式を対価とするTOB(株式公開買付)の促進策や、完全子会社化の際に少数株主から株式を買い取りやすくする手続きも規定するよう求めた。企業の成長を促す企業組織再編法制の実現を見直す。
(日本経済新聞2010年6月24日4面)
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「社外役員や独立役員について、企業が選ぶ際の要件の見直しを提案。現行法ではその企業の経験者や取引先にいた場合は、原則就任できない。だが企業からは要件が厳しすぎて、社外・独立役員が確保できないとの不満の声があがっていた。経産省はこの現状を改め、役員経験者などでも退任から数年間たてば、就任できるようにする必要があると判断した」(前掲紙)
現行の社外・独立要件は甘いという声もある中、逆にこれを緩和しようという見直し案です。
今年から役員選任を含む全議案を対象に議決権行使結果の開示が義務付けられていますが、次のように独立性に抵触すると思われる役員の議決権行使結果は厳しいものとなって
います。
「バンダイナムコHDは同日提出した臨時報告書で、21日に開いた総会の投票結果を公表した。反対票が多かったのは社外監査役候補の弁護士。子会社のバンダイから法的業務にかかわる報酬を受け取っており、米議決権行使助言会社が「社外といえるか疑問」などと事前に意見表明をしていた。
(中略)
KDDIでは京セラの川村誠会長とトヨタ自動車の佐々木真一副社長を社外取締役に選ぶ議案への賛成票も約65%にとどまった。京セラとトヨタがKDDI の大株主であることが影響したとみられる」(日本経済新聞2010年6月24日9面)
経産省にはこの6月の株主総会の結果を詳細に分析して頂きたいものです。
【リンク】
なし
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富士通が21日に横浜市内で開いた株主総会は、野副州旦元社長の辞任問題に株主の質疑が集中した。「企業イメージが下がった」「同じ問題を起こさないでほしい」などと厳しい声が相次いだ。今回の騒動で同社は辞任理由を半年後に訂正するなど情報開示で不備もあり、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化が課題となりそうだ。
(日本経済新聞2010年6月22日9面)
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「取締役選任議案では、株主から間塚会長ら3人の除外を求める緊急動議が提案されたが否決され、原案通り承認された」(前掲紙)
株主総会議決権行使結果(賛成の割合)は以下の通りでした。
第1号議案 取締役10 名選任の件
間塚道義 86.57%
大浦溥 85.36%
伊藤晴夫 89.34%
山本正已 98.68%
石田一雄 98.73%
藤田正美 98.41%
加藤和彦 98.73%
肥塚雅博 98.46%
石倉洋子 99.01%
国分良成 99.25%
第2号議案 役員賞与支給の件 72.47%
(2010年6月21日プレスリリースより)
1号議案では、間塚氏、大浦氏、伊藤氏の賛成の割合が90%を割っています。しかしそれ以上に、2号議案(役員賞与支給の件)の賛成の割合が低いことが目を惹きます。
【リンク】
2010年6月21日「第110 回定時株主総会議決権行使結果について」富士通株式会社[PDF]
吉永 コーポレートガバナンス コーポレートガバナンス
SBSホールディングスは16日、年内をメドに信託の仕組みを使った従業員持株制度を導入すると発表した。5年間の信託期間中に株価が上昇すれば従業員が値上り益を享受できる。福利厚生を拡大して従業員の士気を高めるほか、安定株主を増やす狙いがある。
(日本経済新聞 2010年6月17日 13面)
【CFOならこう読む】
SBSホールディングスの従業員持株制度の仕組みは下図の通りです。

「『従業員持株会信託型 ESOP』の導入に関するお知らせ」より
プレスリリースを見る限り、信託のリスクは会社が留保しており、会社が自己株式を保有しているのと実質的には異なりません。
自己株式では議決権がないのに、信託なら議決権が生じるということであるなら、それはおかしいと思います。
少なくともこの信託は連結対象にすべきでしょう。
【リンク】
2010年6月16日「『従業員持株会信託型 ESOP』の導入に関するお知らせ」SBSホールディングス株式会社[PDF]
会計
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今週後半から3月期決算企業の株主総会が本格化する。上場企業の2010年3月期決算は2期ぶりに経常増益に転じ、業績を巡る企業と投資家とのせめぎ合いは一服。代わって、役員報酬などに広がる情報開示の動きが企業に変革を迫る。株主を納得させられない経営者には総会で反対票が集まりかねず、今年からそんな不都合な投票結果も公表を求められる。総会の”見える化で、企業と投資家に新たな緊張関係が生まれそうだ。
(日本経済新聞2010年6月15日11面)
【CFOならこう読む】
「役員選任を含む全議案を対象に議決権行使結果の開示が義務付けられた。たとえ議案が可決しても、反対票の数が多ければ、経営者への圧力となりそうだ。
経営陣からの独立性が低いと疑われる社外取締役の選任や、株式持ち合いを巡り企業の姿勢を追求する株主が現れる可能性がある。2月期決算で5月に総会を開いたローソンの場合、筆頭株主の三菱商事に籍を置く社外監査役候補者への賛成率は61.8%にとどまった。外国人株主が反対に回った公算が大きい」(前掲紙)
ローソンの議決権行使結果は、ウェブサイトに開示されています。
「株式会社ローソン第 35 回定時株主総会の議」
「代表的な国内機関投資家の企業年金連合会は2月、社外取締役・監査役の独立性に対する判断基準を盛り込んだ議決権行使の指針を公表。条件に合わない選任議案には反対票を投じる方針だ」(前掲紙)
企業年金連合会は、社外役員本人及び本人が帰属する企業・団体と社外役員に就こうとする企業との間に次のような関係が認められる場合には「独立性」があるとは認められないとしています。
①当該企業の大株主又は主要取引先企業の役員又は業務執行者として勤務経験を有する者。ただし、退任後5年を経過している場合には個別に判断する。
(注1) 大株主とは、総議決権の10%以上の株式を保有する者をいう。
(注2) 主要取引先とは、当該企業に影響を及ぼしうる、あるいは当該企業から影響を受けうる程度の重要な取引先であり、例えばメインバンク、下請企業、株主上位10社に含まれる金融機関や事業会社等が該当するものとみなす。
②当該企業との間で役員を相互に派遣している企業の役員または業務執行者。
③当該企業から役員報酬以外に報酬を受けている者(報酬を受けている者が法人、組合等の団体である場合は、その団体に所属する者をいう)。
(注) 報酬とは、例えば顧問弁護士料、コンサルタント料等が該当する。
④当該企業の役員または業務執行者と親族関係にある者。
(注) 親族関係とは、3親等以内の親族をいう。
⑤その他、当該企業との間に利害関係を有しているなど、独立性に疑いがあると認められる者。
独立役員の制度概要については、4月6日のエントリー「東証の上場会社、独立役員187社が未確保」をご参照ください。
【リンク】
「企業年金連合会 コーポレート・ガバナンス原則」[PDF]
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米国で普及している独立取締役(社外取締役)制度は日本には不要だ。株主総会より取締役会の権限が強い「間接民主制」の米国と異なり、欧州や日本は株主の「直接民主制」で、効果がないことは歴史が証明している。企業統治の改善には、株主提案権や議決権行使の活発化こそが必要だ。
(日経ヴェリタス2010年5月2日 異見達見 藤田勉)
【CFOならこう読む】
「日本では一般に、社長が独立取締役候補を指名し、持ち合い株式を保有する株主などの賛成を得て、株主総会で選任される。これに加えて、多くの会社では取締役の責任限定契約を締結し、かつ1000万円前後の年間報酬を支払う場合もある。
つまり、監視される人(社長)が、監視する人(独立取締役)の人事権を持ち、同時に多額の報酬を支払っているのである。だからこそ、巨額の赤字を計上した委員会設置会社において、独立取締役が過半数を占める指名委員会が、社長を会長に昇格させる人事を決定するようなことが起きる。最近の大手電機会社による過年度決算の大規模な訂正や社長交代理由の虚偽の公表などにも見られるように、独立取締役の経営監視機能の効果が乏しい例は多い」(前掲稿)
確かにそ藤田氏の言うように社外取締役制度は機能していない、と僕も思います。ですがそれを言うなら監査役会も外部監査人も機能していないから、全部止めてしまえということになってしまいます。
「「直接民主制」をとる日本において、企業統治(コーポレートガバナンス)の改善に不可欠であるのは、独立取締役の増加ではなく、株主による直接的な株主権の行使、たとえば株主提案権や議決権行使の活発化である。加えて、株式対価のTOBを実質的に解禁し、支配権市場の活性化によって、経営規律の向上を目指すことが期待される。
これらが実現すれば、英国同様、独立取締役が経営監視効果を持つことが大いに期待できよう」
(前掲稿)
より本質的な問題として、日本企業は経営者(従業員)による統治されているという事実があります。ここが変わってこない限り、株主提案権の行使は物言う株主として疎んじられ、支配権の移動を伴う敵対的TOBは濫用的買収であるとして、持ち合い株式を保有する株主が鉄壁の防御壁をはりめぐらせます。
僕は以前からお話ししているように、当面は立法と行政の指導によりコーポレートガバナンスを改善していくほかないと考えています。
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吉永 コーポレートガバナンス コーポレートガバナンス
日本板硝子は一時5%高まで上昇。前日に米デュポンの元副社長に就く人事を発表。社長探しの長期化という市場の懸念は払拭できた。とはいえ欧州事業は依然厳しく、新社長による経営戦略はこれからだ。もろ手を挙げた歓迎ではなかった。
(日本経済新聞2010年4月17日16面)
【CFOならこう読む】
とりあえず新社長人事は市場に受け入れられたようです。
しかし日本板硝子が真のグローバル企業に深化できるかは、まだよくわかりません。前社長が辞めた理由も何だかよくわかりませんし。
昨日紹介した岸田秀氏の「ものぐさ精神分析」(中公文庫)では日本国民の集団的気質の特徴として、内的自己と外的自己の分裂を挙げています。
岸田氏的に考えると、外的自己に従いグローバル化を進めてもうまく行かない、ということになります。外国人を社長にしても、社内を公用語にしても、それだけでは駄目だということです。
では、どうしたら良いのでしょう。
岸田氏の「日本近代を精神分析する」では次のように結論づけています。
「ペリー・ショックが日本人に与えた心の傷はまだ癒えていない。それを癒すためには外的自己と内的自己との統一が必要である。この統一が成れば、そこに自己同一性の基盤を見出すことができる。従来の統一の試みが失敗したのは、外的自己と内的自己とのどちらか一方を隠蔽あるいは排除して他方のみを自己と認め、無理やりにその半端な自己を自己の統一的全体と見なそうとしたからである。あるいは、この両自己の対立をいい加減な妥協形成によって糊塗しようとしたからである」
岸田氏がこれを書いたのは1975年ですが、いまだ状況は全く変わっていません。
日本企業がグローバル化するためには、何よりもまず日本人がもう一段成熟し、心を開く必要があると、岸田氏の本を読みながら思いました。
余談ですが、NHKの大河ドラマ”龍馬伝”で武市半平太を演じる大森南朋の人気が沸騰していると聞きます。これも内的自己の象徴とも言える攘夷派に多くの日本人が感情移入している証左と言えるかも知れません。
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吉永 コーポレートガバナンス コーポレートガバナンス, 日本板硝子
日本板硝子は15日、米化学大手デュポン元上席副社長のクレイブ・ネイラー氏(61)を6月29日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に起用すると発表した。藤本勝司社長兼CEO(66)は代表権のない会長兼取締役会議長に就任する。経営トップを外部から迎え入れるのは欧米企業では珍しくないが、日本の大手製造業では異例。
(日本経済新聞2010年4月16日1面)
【CFOならこう読む】
「同社は29カ国に拠点を持ち、社内の公用語は英語。事業部門を統括する取締役執行役4人のうち3人、従業員全体の80%が外国人。「もう日本人の経営者に逆戻りはできない」と指名委員会の一人は解説する」(日本経済新聞2010年4月16日3面)
多くのグローバル企業の進む道は基本的にはこのようになるのでしょう。いやグローバル企業に限らず、内需型企業であっても希少な資源である経営者を世界に求めるというのが普通になるかもしれません。
日本板硝子の外国人株主比率は30%を超えています。こういう会社を見ると、会社はだれのものか、という議論に意味がないことがわかります。にも関わらず、日本企業同士で株式を持ち合い、外資を排除するというメンタリティはどこから来ているのでしょう?
岸田秀氏の「ものぐさ精神分析」(中公文庫)を読むと、日本人の精神構造がわかります。
少し長くなりますが、同書の「日本近代を精神分析する」から以下に引用します。
「はじめに結論めいたことを言えば、日本国民は精神分裂病的である。しかし、発病の状態にまで至ったのはごく短期間であって、たいていの期間は、発病の手前の状態にとどまっている。
だが、つねに分裂病的な内的葛藤の状態にあり、まだそれを決定的に解決しておらず、将来、再度の発病の危険がないとは言えない。現在は一応、寛解期にある。
日本国民の精神分析病的素質をつくったのは、1853年のペリー来航の事件である。鎖国していた徳川時代は、個人で言えば、外的世界を知らないナルチシズムの時期に相当する。日本は、極東の島国という得意な地理的条件のため、他の諸民族、とくにヨーロッパの諸民族とくらべると、はるかに長いあいだこのナルチシズムの自閉的状態に安住しつづけることができた。
(中略)
そのような甘やかされた気ままな生活に安住しているときに突如やってきたのが、ペリー率いる東インド艦隊であった。日本は、おとなの人間関係を結べるほど精神的に成熟していなかった。だからと言って、つき合いたくないとペリーを追い返す力はなかった。日本は無理やりに開国を強制された。司馬遼太郎がどこかで日本はアメリカに強姦されたと言っていたが、まさに日本は無理やりに股を(港を)開かせられたのである。別な譬えを用いれば、苦労知らずのぼっちゃんが、いやな他人たちとつき合わなければ生きてゆけない状況に突然投げこまれたのである。それまでの状況とその状況との落差がひど過ぎた。それは日本にとって耐えがたい屈辱であった。このペリー・ショックが日本を精神分裂病質にした病因的精神外傷であった。
(中略)
ペリー・ショックによって惹き起こされた外的自己と内的自己への日本国民の分裂は、まず、開国論と尊王攘夷論との対立となって現れた。開国は日本の軍事的無力の自覚、アメリカをはじめとする強大な諸外国への適応の必要性にもとづいていたが、日本人の内的自己から見れば、それは真の自己、真実の伝統的日本を売り渡す裏切りであり、屈辱であった。この裏切りによって、日本は自己同一性の喪失の危険にさらされることになった。
(中略)
明治維新が成り、開国論(外的自己)と攘夷論(内的自己)との抗争は一応、前者の勝利に終わり、後者は神風連の乱から西南の役に至る一連の事件を通じて散発的にふき出したものの、深く潜行することになった。だがもちろん消滅したわけではない。抑圧されたものは必ずいつかは回帰する。開国は一時の便法であり、本音は攘夷にあった。政治機構から風俗習慣に至るまで、急速な欧米化が実行される。不平等条約の改定をめざして、一方では富国強兵が叫ばれ、他方ではグロテスクなほど卑屈な鹿鳴館外交が展開される。これらのことは和魂洋才というスローガンによって合理化された。
和魂洋才とは外面と内面とを使いわけるということである。これこそまさに精神分裂病質者が試みることである。あるいはこう言った方がよければ、ある危機的状況にあって、外面と内面との使いわけというこの防御機制を用いることが、精神の分裂をもたらすのである。
(中略)
外的自己はますます他者に屈従し、内的自己はますます他者を憎悪するようになる。他者は実際以上に脅威的となる。そうなれば、他者に対しては全面的な服従か全面的な攻撃かの両極端の態度のいずれしかとれなくなる。しかも、その両極端の一方の態度から他方への転化は突然である。もちろん、当人の主観としてはその転化を起こすに当たっては、然るべきいろいろな理由を積み重ねてもっているつもりだが、とにかく相手はいわれのない、だしぬけの変化と感じてびっくりする。
このような分裂病質者の行動特徴は、幕末から現代に至るまで、アメリカをはじめとする欧米諸国に対する日本の対外態度をつらぬいている特徴である。和魂洋才は日本の近代化のためのやむを得ない応急策としてある程度の成功を収めたかもしれないが、それが日本人の人格に残した傷跡は大きい」
いかがでしょうか?
日本企業が外資を異常なまでに拒絶する理由がわかるような気がします。
日本企業が真にグローバル化するためにはまずは分裂状態から脱する必要があるのかも知れません。
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吉永 コーポレートガバナンス コーポレートガバナンス, 日本板硝子
「株主軽視」是正こそ急務
・「市場主義の失敗」は改正論拠になり得ず
・日本的経営は従業員の利害を反映しすぎ
・最近の企業買収に投資家利益損なう例も
(日本経済新聞2010年4月14日29面 経済教室 大杉謙一中央大学教授)
【CFOならこう読む】
昨日のエントリーで、日本企業で企業統合が進まない理由として、経営者が村と村人を守ることが一番の仕事だとおもっており、自らの権益の縮小につながるM&Aは是認できないことを指摘しました。
そして有無を言わさず再編を迫れるのは市場をおいて他にないということを書きました。
今日の経済教室の大杉氏の論稿は私とほぼ同じ問題意識からより具体的な結論を導いています。
「欧州型TOBの導入を英国やドイツでは日本とは異なり、上場会社の株式を30%以上取得するには市場取引で買い集めることはできず、必ずTOBによらなければならない。また、このときにはすべての株主に対して買い付けを申し出なければならない(全株買い付け義務)。
株式を30%以上取得した買収者は、他の株主に対して同じ条件で株式を買い取ることを申し出る義務がある(義務的公開買付)。このようなルールにより、投資家に株式売却の機会を与えている」(前掲稿)
もっとも大杉氏は昨日の経済教室の執筆者である上村達男氏が批判するファイナンス至上主義的な商法学者(笑)ですので、経済界はもとより多くの学者も大杉氏の問題意識や提言に必ずしも肯定しないものと思われます。
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吉永 コーポレートガバナンス M&A, コーポレートガバナンス
桜咲くころは「別れと出会いの季節」といわれるが、経済界を見渡すと、今年は「出会い」よりも「別れ」の目立つ春である。ここで論じたいのは、企業統合やその破綻劇のことだ。「日本初の(初)のグローバル食品企業」と期待されたキリンホールディングスとサントリーホールディングスの統合は白紙に戻った。高島屋とエイチ・ツー・オーリテイリングの百貨店再編も頓挫した。
(日本経済新聞2010年4月13日15面)
【CFOならこう読む】
「日本企業にとって再編の原動力は何だろうか。あえて乱暴に言い切ってしまえば、「不況」だと思われる。景気悪化で業績が傾けば、危機感が募って再編機運が高まる。逆に景気が回復し始めると、潮が引くように再編への熱意が薄れ、白紙撤回が相次ぐのは現状が示す通りだ」(前掲紙)
全くもってその通りです。
ですがそれはどこから来ているのでしょう。
一言でいうとコーポレートガバナンスの欠如に起因しているのだと思います。
多くの日本企業の経営者は会社は自分のモノだと考えています。そして会社という村とその村人を守ることが一番の仕事であると信じているのです。
ですから村の勢力が弱くなるような企業統合には極めて消極的です。一方相手が弱っていて丸ごと自らの村に取り込めるような企業統合には積極的なのです。
「有無を言わさず企業に再編を迫る力が、日本では著しく弱い」(前掲紙)
どうすれば日本企業に有無も言わさず再編を迫れるか?政府や官僚にその仕事を委ねても彼らにそれだけの力はありません。
日本企業に再編を迫れるのは市場をおいて他にないと私は思います。
上場企業である限り、株価が下がれば、村長や村人がいかに抵抗しようとも、他者のコントロール下に入ることがあり得ることを当然の前提として法制度や市場ルールを再整備することが緊急の課題であると私は思います。
本日の日経新聞の経済教室で、上村達男教授が「公開会社法」について書いておられます。
「その理念とは、米国流の人民資本主義であり、市民が株主となって企業社会をコントロールするとともに、個人投資家を中心とした証券市場が一体となって機能するような構造、すなわち企業社会と市民社会の結節点としての証券市場を構想するものであった。
(中略)
今こそ、戦後改革の証券民主化の理念を呼び戻し、証券市場と一体の株式会社法制、および企業社会と市民社会の結節点としての証券市場を構想することで、60年遅れの戦後改革を断行し、日本の市民社会の再構築を展望するタイミングだと考えるべきでないか」(日本経済新聞2010年4月13日27面)
至極真っ当な意見です。
しかしその真っ当な試みが法務省やら金融庁やらの縦割り行政のおかげで骨抜きにされる可能性があるようです。
村と村人が小さな権益を巡って争っている場合ではないでしょう。
【リンク】
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