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Archive for the ‘コーポレートガバナンス’ Category

東証の上場会社、独立役員187社が未確保

2010年 4月 6日

東京証券取引所は5日、一般株主の保護を目的に上場会社に導入するよう義務付けた「独立役員」の3月31日時点の設置状況を公表した。届け出済み2094社のうち「未確保」と届け出たのは、9%にあたる187社。3月期決算企業は、2011年6月末以降に未確保ならば上場規則違反となり、企業名公表などの措置が適用される。
(日本経済新聞2010年4月6日13面)

【CFOならこう読む】

独立役員とは、一般 株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役を いい、上場企業は1名以上確保することが求められるようになりました。

さらに「独立役員届出書」を取引所に提出し、公衆の縦覧に供することに同意することが求められます。

上場企業は、独立役員の確保の状況(独立役員とし て指定する者が、以下のaからeまでのいずれかに該当する場合は、それを踏まえてもなお独立役員として指定する理由を含む。)を開示しなければなりません。

a 当該会社の親会社又は兄弟会社の業務執行者等(業務執行者 又は過去に業務執行者であった者をいう。以下同じ。)
b 当該会社を主要な取引先とする者若しくはその業務執行者等 又は当該会社の主要な取引先若しくはその業務執行者等
c 当該会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得て いるコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所 属する者及び当該団体に過去に所属していた者をいう。)
d 当該会社の主要株主
e 次の(a)又は(b)に掲げる者(重要でない者を除く。)の 近親者

(a) aから前dまでに掲げる者
(b) 当該会社又はその子会社の業務執行者等(社外監査役を 独立役員として指定する場合にあっては、業務執行者でない取締役若しくは業務執行者でない取締役であった者又は 会計参与若しくは会計参与であった者を含む。)

独立役員の確保に係る規定は、平成22年3月1日以降に終了した事業年度に係る定時株主総会の翌日から(3月期決算会社であれば、平成22年6月末までに開催される定時株主総会の翌日から)適用となります。

平成22年3月末日現在で就任している社外取締役又は社外監査役のうちに、東証の規定する独立役員の定義に該当する者が存在していない場合には、遅くとも、平成23年3月1日以降に終了する事業年度に係る定時株主総会の翌日までに、独立役員を確保することが義務付けられています。

平成22年3月31日までに受理された独立役員届出書一覧を概観する限り、ほとんどの企業の独立役員は上記a~eに該当しない旨記載がなされています。

【リンク】

2010年4月5日「独立役員届出書一覧」東京証券取引所

吉永 コーポレートガバナンス

ジム・コリンズ氏インタビュー

2010年 3月 29日

米経営学者ジム・コリンズ氏は、企業勝ち残りの条件を描いた1994年のベストセラー「ビジョナリー・カンパニー」の著者として知られる。昨年は一転、前途洋々だった企業が没落する過程を描く「企業はどう落ちぶれるのか」を出版し、話題をさらった。
優良企業に潜むワナと、窮地から再生するための条件を聞いた。

(日経ヴェリタス2010年3月28日21面)

【CFOならこう読む】

ジム・コリンズ氏は成功から没落までを5段階に分けて説明しています。

1.成功と思い上がり
幸運を実力と勘違いする
2.規律なき欲望
実力以上の拡張に走る
3.リスクと危機の否定(株価は最高に)
都合の悪い事実を無視
4.救済への渇望
やみくもな対策で事態は悪化
5.降伏、あるいは死
身売りや破綻

「既存事業と合わない大型の買収も、無規律に成長を追っている兆しです。信じられないほどの高成長を何年も続けている会社は、「巨大化した会社を回していけるのか」と疑うべきです」(前掲紙)

無意味なM&Aは第2段階だけでなく第4段階でも行なわれます。

日本企業のM&A、特に供給過剰な業界で行なわれる、規模の追求をお題目とするM&Aはこの段階で行なわれるケースが多いように思います。

「ノックアウトされない限り、企業は生還できます。経営危機に直面した(90年代前半の)IBMも、(2000年前後の)ゼロックスも4段階の後半に追い込まれていました。再建できたカギはいくつもあります。まず有能なリーダーを得ること。再建を託されたIBMのルイス・ガースナー氏、ゼロックスのアン・マルケイヒ氏に共通するのは、名声を目的とせず、会社再建に集中したことです」(前掲紙)

有能なリーダーが日本にいないのだとすれば、日本企業は国外にその人材を求めざるを得ません。
そんな時代に1億円以上の年棒の経営者だけを懲悪的に開示させるのは、全くもって間違っていると僕は思います。

今重要なのはパイの取り合いではなく、パイそのものを大きくする施策です。

【リンク】

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吉永 コーポレートガバナンス

社外取締役の要件

2010年 3月 1日

千葉景子法相が法制審議会に、会社法の見直しを諮問した。2005年に現在の会社法が制定されてから、初めての見直しとなる。日本企業の経営の質を高めるような法改正を望む。
(日本経済新聞2010年3月1日2面 社説)

【CFOならこう読む】

「経営者の暴走や誤った経営判断に歯止めがかからなければ、会社は倒れ、株主も損害を被る。企業が持続可能な成長を遂げるための最低条件として、企業統治の役割を高める
ことには意義がある。
その意味で、民主党の「上場企業の社外取締役の条件を強める」(公開会社法(仮称)の制定に向けて)との提言には耳を傾けるべき面がある。
社外取締役は会社の外にいて、独立の立場で経営の意思決定にかかわる。経営陣の影響を受けず独自の判断ができるかどうかがポイントになる。現在の会社法は肝心の独立性に関する定義があいまいだ。そのうえ、すべての会社に社外取締役を置くことまでは義務づけていない」(前掲紙)

独立取締役の要件として、日本取締役協会「独立取締役コード(2005年10月13日)は次のように定めています。

「実質的独立性に疑義がある者①大株主又はその利益を代表する者、②経営者又は従業員である(あった)者、③グループ会社の経営者又は従業員である(あった)者、④重要な取引関係がある(近い過去にあった)別の会社の経営者又は従業員である者、⑤当該会社のアドバイザーとして、取締役としての報酬以外に高額の報酬を受け取っている(近い過去に受け取っていた)者、⑥上記のいずれかに該当する近親の親族を有する者、⑦会社間における取締役の相互兼任がある場合の取締役である者、⑧当該会社の取締役に就任してから、すでに長期間が経過している者」

これを法制化するか市場ルールで規制するか議論があるところですが、日本の場合、コーポレートガバナンスに関わる事項は極力法制化し、役所に監視させるという方向性が良いと思います。

【リンク】

2009 年 7 月X日「公開会社法(仮称)制定に向けて」民主党公開会社法プロジェクトチーム[PDF]

2005 年 10 月 13 日「独立取締役コード」日本取締役協会 社外取締役委員会[PDF]

吉永 コーポレートガバナンス

金融資本主義の岐路

2010年 2月 6日

2008年9月の米大手証券リーマン・ブラザーズ破綻とその後の経済危機は、世界経済を動かしてきた「金融資本主義」の限界を露呈した。危機から脱しても、経済の姿は危機前とは様変わりが予想される。震源地、ウォール街の経営者が得た教訓と今後の展望をゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファインCEOに聞いた。
(日本経済新聞2010年2月6日11面)

【CFOならこう読む】

「ー市場の担い手として人々の貧困を和らげることも、金融機関が持続的に経営していく条件といえますか。

ロイド・ブランクファイン「条件ではなく結果だ。企業家は貧困を減らすことを目指しているのではなく、自らが豊かになりたいのだ。そのために製品を考案し、工場を建て、雇用を創造し、結果的に世界が豊かになる。金融機関も有望な企業に融資し、資金調達を助け、投資をすれば経済成長にもつながる」(前掲紙)

ドキュメンタリー作家であるマイケルムーアの最新作、「キャピタリズム~マネーは踊る~」という映画は、マイケル・ムーア自らがあちこちの主要な投資銀行の建物の回りを、”犯罪現場につき立ち入り禁止”と書かれた黄色いテープを覆うシーンで終わります。自らの金儲けのために多くの弱者からカネを巻き上げた、とマイケル・ムーアは怒っているのです。

国富を創造するような偉大な企業家には必ずビジョンがあります。
自分が豊かになりたい、ということが最初にあるわけでは決してありません。

ロイド氏のような考え方の経営者が世界を代表する投資銀行のトップでいること自体、その不健全性を象徴しているように感じます。

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吉永 コーポレートガバナンス

「公開会社法」におけるM&Aのルール

2010年 1月 29日

民主党が政権公約に掲げている「公開会社法」の審議が法制審議会で始まる。時宜を得たテーマであり、株式会社と証券市場の本質を踏まえた重厚な議論を期待したい。
(日本経済新聞2010年1月29日19面 大機小機)

【CFOならこう読む】

「上場会社の経営(者)が負うべき責任の相手は、今現在の株主のみならず、投資家一般、証券市場であり、ポスト法人資本主義社会の主人公の市民、国民である。理念を実現するには制度と、制度の器に盛る魂が不可欠だ。一町一夕にできるものではないだけに、理念を共有するための国民的な議論が必要になる。米欧にあって日本にないものに、株主総会に代わって経営者を監督する機関(スーパーバイザリーボード)がある。企業統治の要の役割を、米英は独立取締役会、ドイツは株主と従業員代表で構成する監査役会が担っているが、日本の上場会社にどうつくるのか」(前掲紙)

日本の法人資本主義の王様は役員とそれを担ぐ正社員でした。ここにドイツ型を持ってくると、現在の状況が強化されるだけで、いつまでたっても市民が主人公にはなる時代はやって来ないと思います。

「株式会社を巡る権利と義務の相克が頂点に達するM&Aのルールは、会社法と市場法にまたがる。「自由演技」で個別紛争を裁判所の判断に委ねる現行方式を改め、強制力のある第三者機関の監視下で制度化された「規定演技」とすべきではないか」(前掲紙)

イギリスのテイクオーバー・パネルを想定しているのでしょう。
テイクオーバー・パネルの是非について、岩井克人さんは次のように述べています。

「会社買収の手続きが、テイクオーバー・パネルという民間の団体の監督のもと、シティコードという買収ルールにもとづいて厳格に行なわれます。テイクオーバー・パネルのメンバーは英国保険業協会、英国銀行業協会、英国投資顧問協会、公認会計士協会等の各教会などから精鋭が集まって構成されます。
(中略)
日本も同じ仕組みにすべきだという議論がよくなされます。特に市場関係者のなかには、そういう考え方は多いようです。しかし日本での実現可能性はどれほどあるのでしょうか。

一番大きな問題は人材でしょう。イギリスの買収ルールは19世紀から連綿と続くシティの伝統に完全に支えられている制度です。テイクオーバー・パネルに集まる人たちは、実際にシティで経験を積み、自主的な組織としてシティ全体の長期的な利益に貢献するという使命感を持って活動しています。それゆえ、社会的に信頼され、尊敬されています。伝統のあるシティはイギリスにとっては無形文化財のようなものですから、これを絶対守るという強い意志と気概があります。

日本では会社買収はまだ始まったばかりで、イギリスと比較すると人材の蓄積がありません。金融業全体のインフラが整えば、長期的には可能かもしれませんが、そのまま現状の日本に導入することは難しいでしょう」(「M&A国富論」岩井克人・佐藤孝弘 プレジデント社)

私は日本に人材はいると思っています。

一度理念が共有されれば、テイクオーバー・パネルは十分機能するでしょう。
一番重要なものは、「制度の器に盛る魂」です。
長期的な視点から、日本国の進むべき方向を議論する必要があります。
日本がどうやって食っていくかということもはちろん大切ですが、日本という国をどういう国にするかということはもっと大切です。

そういった理念なくして、例えば社会保障の問題やその財源について議論しても意味がないと僕は思います。

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吉永 コーポレートガバナンス

相撲協会もチェインジ

2010年 1月 21日

日本相撲協会の役員改選をめぐる二所ノ関一門の会合が19日開かれ、一門を離脱して理事に立候補を表明していた貴乃花親方(37、元横綱)を支持する間垣親方(56、元横綱2代目若乃花)ら6人の親方が一門を離脱した。これを受け、同一門では放駒親方(61、元大関魁傑)と二所ノ関親方(61、元関脇金剛)の現職2人を候補者として擁立することを決めた。
NIKKEI NET 2010年1月21日

【CFOならこう読む】

私は以前このブログで相撲と相撲協会について書いたことがあります(2008年10月4日エントリー「日本相撲協会と経営の規律」)。

要点のみ再掲します。

「充実していないのは、経営者たる相撲協会の理事連中です。経営努力が全く足りていません。全ては部屋任せで、組織としての経営は行われていないに等しい。

顧客にも全然目が向いていない。相撲協会に注文は山ほどあります。

一番の問題は経営に規律が働いていないことです。

みんな身内ですから、責任が問われることがありません。従業員同士が殺し合いをしているのに、経営陣が責任を全く認識していない、全く稀有な組織なのです。経営を規律付けするにはどうしたら良いか。仲良しの有識者を外部理事として迎え入れれば万事解決なんてことは絶対にありません。

そう、これはコーポレートガバナンスの問題なのです。

日本の多くの経営者に相撲協会は腐っているなんて言う資格はありません。自社のコーポレートガバナンスと相撲協会を比べてみてください。
50歩100歩じゃないでしょうか?」

私はこれを書いたときに、新聞記事のような変革の動きが内部から出てくるとは夢にも思っていませんでした。しかも貴乃花がリーダシップを発揮するとは。。

ガバナンスが効いていない組織の末路は悲惨ですよ、相撲協会を見てください、そんなことを言いたくてあのときブログ記事を書いたのです。相撲協会は絶対に変わらないと思っていました。

その相撲協会がもしかしたら変わるかも知れません。理事選で理事候補は、それぞれマニフェストを掲げ戦えば良いのです。貴乃花が主張するように「子どもや若いファンを増やす」ための努力は全くと言っていいほど、行なわれていない現状で、例えば北の湖が何を主張するのか是非聞いてみたいものです。

相撲協会でも企業でも国家でも、決議機関の場が議論の場ではなく、多数派工作の結果形骸化してしまっていることが問題なのです。最も重要なのはオープンで建設的な議論が行なわれることでしょう。

力士としての貴乃花は嫌いでしたが、今の貴方は支持します。
ぜひとも頑張ってください。

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吉永 コーポレートガバナンス

日航会社更生法適用を申請

2010年 1月 20日

経営難に陥っていた日本航空は19日、2子会社とともに東京地裁に会社更生法の適用を申請し、同日手続き開始の決定を受けたと発表した。グループの負債総額は2兆3200億円で、金融機関を除く事業会社では過去最大。日航から支援要請を受けた企業再生支援機構も支援を正式に決定、日本政策投資銀行とともに出融資として総額9000億円の公的資金を投入する。一連の決定を受け、東京証券取引所は日航株式を同日から1カ月間、整理銘柄に指定、来月20日に上場廃止にすると発表した。
NIKKEI NET2010年1月20日

【CFOならこう読む】

私はこのブログで当初から法的整理を主張していました。そういう意味では、とりあえず落ち着くところに落ち着いたと感じています。

既得権益者の密室でのネゴで物事が決まるのではなく、司法に解決が持ち込まれたのは取り敢えず良かったと思います。債権者平等が原則の更生法手続きの中で、一般債権者を保護するという前例のない枠組みにゴーサインを出しことも評価できます。

しかしこの先はどうなるのでしょう?
稲盛氏なら、とてもまともとは言えないこの会社を、普通の会社に変えることはできると思います。ですが年齢から言ってもキャリアから言っても、V字型の収益回復を望むのは到底不可能だと思うのです。

自主再建はあり得ない。
Exitは外資への売却しかない。
僕はそんな風に思っています。

稲盛氏はこの仕事を引き受けた理由を次のように述べています。

「私は既に経営の第一線を引いた身であり、航空事業には全くの素人なので会長就任の要請を受けるか迷った。しかし日航の現在の状況は低迷する日本経済を象徴しているとも言われ、再建できれば日本経済全体に良い影響を与えることができる」

外資へ売却されることになったとき、本当の意味で日本は変わるのかも知れません。

重要なことは日本人の雇用の場が確保されることです。
世界中の企業に、日本人という希少な資源を活用してもらうこと、それこそが最も重要なのです。
日本人だけで資本も経営も何もかも賄う時代は終わったのです。

再生機構が株を手放す3年後に日本は大きく変わる。
だとするとそこに向けた準備を日本国民全員が今から始めなければなりません。

日本人だけで仕事ができる時代がそう長くは続かないとすれば、いまやるべきことは山ほどあります。

またそこに新たなビジネスチャンスも生まれる筈です。

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持ち合い株式解消に向けた動き

2010年 1月 15日

サントリーホールディングスと経営統合で大詰めの交渉を進めるキリンホールディングス。社長の加藤壹康はもう一つの仕事に取りかかった。「『金曜会』各社様との持ち合い株式を一部圧縮」。昨年秋、加藤の指示を受けた担当者は文書を手に駆け回った。金曜会はキリンを含む三菱グループ29社の会長・社長会。目的は保有するメンバー企業の株式、数百億円分の大半を3年で売却することだ。
(日本経済新聞2010年1月15日1面)

【CFOならこう読む】

「大和総研によると上場企業の株式持ち合い比率は2008年度で8.2%。バブル期の3割弱からは減ってきたが、ここ数年は下げ止まり。今回、解消へ企業の背中を押すのは競争環境の激変だ。利益を生まない資金を塩漬けにしたまま、圧倒的な低コスト体質を備える新興国企業とは戦えない。
(中略)
三菱商事は2009年3月期に保有株式の値下がりや不良債権の償却などで計1800億円の損失を計上。最高益予想からの暗転だった。昨年春CFOとして東京に戻った上田はすぐさま動いた。株式の取得・保有が金額的に十分な見返りを得ていないと判断すれば売却を促す新制度を採用。明確なモノサシで安易な株保有と決別する。対象となる上場企業株は1兆1000億円規模に達し、日本企業で最大級だ」(前掲紙)

むしろ、安易な株保有が許されてきたことに驚きます。これは「資本の無駄遣いは許されない」(前掲紙)

という感覚が、日本の経営者にずっとなかったことの証でもあります。

それは少なくともバブル前までは、日本企業の資金調達が間接金融中心であったことと無縁ではないと思います。カネは銀行から借りられる。だから経営者は金遣いのうまさを競う必要もなかったし、資本コストを考える必要もなかったのです。

1975年に出版された大前研一氏の「企業参謀」という本の中こんなことが書かれています。

”日本の経営者はPL偏重でバランスシートのほうはかなり乱暴に扱ってきたが、今後は金遣いのうまさの真価が問われることになるだろう。だからROCE(Rate of Return on Capital Employed)というような資本効率を測る経営指標が重要になる。資金調達難が慢性化していたアメリカやイギリスでROCEが非常に良く使われる指標になったのは偶然ではない”

日本の現代の問題の多くは、戦後作り上げた体制を現在も後生大事に維持し続けていることから生じています。安易な持ち合い株式も資本コストがゼロの時代に許された遺物であると、僕は思います。

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社会起業

2010年 1月 5日

教育など社会的な問題への取り組みを、ビジネスと両立させようとする試みは、「社会起業」と呼ぶことが多い。国頼みの慈善活動と混同され、企業社会や資本市場から遠い存在と思われてきた。本当にそうだろうか。
(日本経済新聞2010年1月5日 17面一目均衡)

【CFOならこう読む】

「ダボス会議で知られる世界経済フォーラムは昨年末、「社会起業」をテーマに議論を交わしている。短期の収益を求める金融資本主義は、自壊した。代替するパラダイムは何か。慈善とビジネスを両立させようとする社会起業家が、重要な役割を担うかもしれない、という問題意識だ」

僕は会社は国富の創造のために存在すると考えています。このことはこのブログで何度もお話ししています(例えば「会社は誰のために存在するか?」)。

だとすると新たな企業を起こす場合、社会にどのような貢献が出来るかが問われなければなりません。「ベンチャー投資に社会性を重視する考え方」が広がるのは当然と言えます。

資本主義と「社会起業」や「慈善」が対極に存在するという考え方が、そもそも間違っていると僕は思うのですが、一般の理解はそうではないのですね。

最近、映画「アバター」を見ました。カネのために宇宙にまで出かけて行って自然を破壊する地球人と言う名のエイリアンと闘う話です。

この地球人の行動原理は、「株主のため」であるのですが、こういう紋切り型の言い回しが、本質的な理解を阻害するのだと映画を見ていて思いました。

映画自体は「エイリアン2」を凌ぐ素晴らしい出来映えでしたが・・・。

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吉永 コーポレートガバナンス

企業の目的は顧客創造-ドラッカー

2009年 12月 30日

・「企業の目的は利益追求」と決めつけるな
・利益以外の目的掲げ、チェックを怠るな
・成長機会、見つけるのではなく自らつくれ

(日本経済新聞2009年12月30 日23面 経済教室)

【CFOならこう読む】

これだけ的外れなことを言えるのは実社会を知らないからなのでしょうか?

「バブル崩壊以降、投資家志向の会社統治制度の改革が行われ、上場企業の経営者は、熱心に利益を追求せざるをえなくなったが、その結果、かえって利益は得られなくなった」(前掲稿)

そうではないでしょう。

戦後焼け野原からスタートした日本にとって最も重要であったの は、日本人が皆食って行くこと、すなわち雇用の確保でした。この大命題のもと政官財一体となり見事な経済復興を遂げたのです。

そこでの企業の目的は、社員の胃袋を満たすことにあったのです。当時の日本企業の姿は例えばこんなものでした。

「日本企業は平均して総資産の80%にも及び額を銀行から借り入れている。しかもこのうちかなりの部分が低金利のいわゆる短期もので、3ヶ月なり6ヶ月ご とにレートを変えてゆく。
したがって、名目上は短期借入金なのだが、実際には、設備投資などに回したりして長期借入金的挙動をするものも少なくなく、さらにいえば、資金がだぶついたからといって、簡単に銀行に返済するなどというわけにもゆかぬしろものである」
(「企業参謀」(大前研一著 プレジデント社))

銀行は大蔵省の出先機関のようなものでしたから、企業は低コストの資金を容易に調達することが出来ました。

そんな時代に株主資本コストを云々する必要はありませんでした。

このような戦後の日本経済の仕組みは成長が止まるとともに徐々に綻び始め、バブル崩壊とともに立ち行かなくなったのです。

大きなパラダイムシフトが起きました。

ところがバブル崩壊から日本人はパラダイムシフトにうまく適応できていません。

日本を代表する経営学者にして、「投資家志向の会社統治制度の改革が行われ、上場企業の経営者は熱心に利益を追求せざるをえなくなった」そしてそれが「日本企業を大きく痛めつけてしまった」という程度の認識です。

派遣の問題にしても、銀行の貸し渋りの問題にしても、企業統治の問題にしても、パラダイムシフトから生じているのです。決して小泉・竹中に責任をなすりつけて済むような問題ではありません。

日本企業が「顧客の創造」を最重視しなければならないという点については異論はありません。

「顧客の創造」とは、「企業は、自分たちが何を売りたいかよりも、まずお客様が何を求めているかを考え、お客様にとって付加価値のある商品を提供すべきである、ということを意味している。洋服屋は質の高い洋服を売り、青果店は安くて新鮮な野菜や果物を売る。それぞれの事業を通じて、社会や人に貢献するからこそ、企業はその存在が許されているのだ」(「成功は1日で 捨て去れ」(柳井正著 新潮社))

つまり「顧客の創造」ができない「企業」や「企業人」はそこから退出せざるをえないのです。

ところが日本という国は「退出」して再度「参入」するということが容易にできません。
これも「雇用の維持」が大命題だった時代から転換できていないため生じている大きな問題です。

資金調達についても事情は大きく変わっています。銀行がリスクマネーを提供できない以上、資金は市場から調達するしかありません。資本のコストはただではありません。資本コストを賄うだけの利益を生まない企業は存続できないのです。

「市場」や「利益」が何より重要だと言っているのではありません。パラダイム変換が起きているにも関わらず、今までのようにこれらを軽視し続けることはできないと言いたいのです。

米国の投資家資本主義の時代の失敗を、今の日本で強調する意義はほとんどないと私は考えています。

むしろ「利益」や「株主価値」の重要性を訴え、ヒト、モノ、カネが自由に動く社会を構築することに繋げる方がよほど大切だと思っています。

いずれにしても、このブログで応援しているCFOは難しい局面に立っていることは間違いありません。どちらを向いて仕事をすれば良いか迷っている方も多くいらっしゃ ると思います。

多くのCFOと悩みを共有し、共に解決策を探りたい、そんな思いでカンファレンスの開催を思い立ちました。

今年は諸々の事情で開催を見送りましたが、来年2月25日に開催しようと現在準備を進めています。

テーマも大きく変更し、「日本企業におけるCFOの仕事とは?」とする予定です。
詳細については現在詰めているところですが、ご意見・ご要望・アイディア等があればお知らせください。

ブログの更新は今年はこれで終わりにします。
新年は1月4日からスタートします。

それでは皆様良いお年を!!

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吉永 コーポレートガバナンス