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JFEホールディングス、業績予想非開示

2009年 6月 19日

鉄鋼業界の収益環境に不透明感が漂っている。自動車や電機など顧客の減産がいつまで続くのか見通せず、鋼材需要予測を立てるのも困難な情勢だ。大手各社が2010年3月期の業績予想見通しを「暫定値」と断って開示するなか、唯一非開示としたのがJFEホールディングス。数土文夫社長にその背景と見通しを聞いた。
(日本経済新聞 2009年6月19日 15面 トップに聞く企業戦略)

【CFOならこう読む】

「-昨年に続き2年連続で業績見通しを開示しませんでした。
本当は出したい。しかしマクロ経済や世界の鉄鋼需要の動向が全く読めない。原材料価格や鋼材価格も以前よりはるかに大きく揺れ動くうえ、期初時点ではこれらの価格も決まっていなかった。
こうした状況で収益予想などできるはずがない。合理的な予想ができないのにあえて数字を出してもミスリードするだけだし、マーケットを変に利益誘導しかねない
収益力に自信がないから出さないのではない。合理的に説明できないなら軽々に出さない方が誠実で正直だ。欧米の主要企業でも非開示は多い。米国では上場企業の40%が、欧州上場企業でも時価総額トップ10企業の多くが予想を出していない。海外の経営トップと話すと私の考え方が正常と言われる。
合理的に説明できないのに予想を出す日本の経営者の方が奇異な感じがする」(前掲紙)

日本では業績予想を発表し、これを達成するのが上場会社の責務であると言われます。しかし、業績予想を発表することの弊害はあまり議論されていないように思います。

合理的な予想でないにも関わらず、一旦公表するとこれに縛られ相当乱暴なことをしてでもこれを達成しなければならないといった業績予想を達成したら後の利益は翌期に繰り延べるという誘因が経営者に働いてしまうとか、業績予想の修正との兼ね合いで自己株取得等の株主還元策が適時に行えないとか、業績予想を発表する弊害は様々に存在します。

「-株式市場からは批判もあります。
海外の機関投資家を訪問して批判を受けたことはない。逆に無理して予想を出して後に何回も業績修正する方が経営責任の放棄だ。最新の正確な情報をできるだけ早く市場に知らせるのが経営者の義務。だからむしろ決算発表の早期化が重要で、今期は前期より1週間前倒しできないか検討したい。」(前掲紙)

まさに正論です。そもそも予想屋じゃあるまいし、予想を出すのが経営者の仕事とは思えません。決算数値は過去の実績であるだけでなく、将来の利益やキャッシュフローを予測する礎えになります。これを早く正しく知らせるのが経営者の義務であるとはまさにおっしゃる通りだと思います。

ただし、持ち合い株式の評価損の計上額が読めないから業績予想は公表できないということなら、そんな理屈は通らないことをゆめゆめお忘れなく!

【リンク】

「不適正開示 QA集」東京証券取引所

Q1-2.関係会社株式評価損として特別損失を計上する予定ですが、業績が好調であるためことによる増益と合算すると、当期純利益は当初の業績予想から30%以内の減少にとどまるものと見込まれます。当該評価損について、開示する必要がありますか。

吉永 IR ,

エーザイの招集通知

2009年 6月 18日

エーザイは19日に開く株主総会の招集通知に、株主からよくある質問に答える
「Q&A」の項目を初めて掲載した。総会に参加できない株主に配慮した。想定される質問と回答を事前に伝える丁寧な情報開示で「取締役の信認につなげ、個人などの安定株主を増やしたい」(PR部)という。
想定問答は計24項目に及び、業績や配当についてのほか、抗体医薬や後発品への取り組みといった事業戦略も取り上げた。昨年の総会では株主から19の質問があったといい、中身を分析したうえ株主の興味が高い内容を盛り込んだ。

(日本経済新聞2009年6月18日14面)

【CFOならこう読む】

Q&A24項目は次の通りです。

企業集団の現況に関する事項

2008年の業績はどうだったのでしょうか?

配当に関する基本的な考え方を教えてください

期待する開発品は何ですか?
アリセプト、パリエット/アシフェックスの特許満了に対しどのような対応を考えていますか?
企業買収による債務返済をどのようにするのですか?
買収は今後も実施していきますか?
抗体医薬には取り組んでいきますか?
ジェネリック事業の戦略を教えてください
今後も医薬品分野のみに注力するのですか?
コーポレートガバナンスを強化するためにどのようなことを行っていますか?
内部統制にはどのように取り組んでいますか?
コンプライアンスについては何を重視していますか?
事業等のリスクが数多く列記されていますが大丈夫でしょうか?

株式および新株予約権等の状況

他の会社と株式を相互保有する理由は何ですか?
株主還元として自己株式取得は行いますか?
ストックオプション付与の目的はなんですか?

役員の状況

取締役会への各取締役の出席状況を教えてください
社外取締役選任においてい重視していることは何ですか?
社外取締役は取締役会において活発な議論を行っていますか?
役員賞与はどのように決定していますか?

株式会社の支配に関する基本方針

この対応方針を導入した理由を教えてください
取締役会だけで導入したのはなぜですか?
第三者委員会は設置していますか?
有効期間が6年であるのはなぜですか?

株主総会招集通知デジタルブックは大変みやすく、PC上で冊子を手に持ってページをめくるように読むことができます。

エーザイの個人株主重視の姿勢を見てとることができます。

20090618

ただし、Q&Aの回答は、多くの上場企業で見聞きするのと同様当たり障りのないであるのが残念です。

例えば、配当に関する基本的な考え方を教えてください、という質問に対する回答はこんなものです。

連結業績、純資産配当率(DOE)およびキャッシュ・インカムの配分等を総合的に勘案し、継続的安定的な配当を実施していく考えです。

エーザイの株主還元策はHP上に次のように開示されています。

「エーザイでは、株主の皆様の信任を得るために努力し、そのご期待に応える諸施策を実行することが、経営陣にとって最も優先度の高い課題であると認識しています。

配当政策では、連結業績ならびに純資産配当率(DOE)等を勘案し、継続的・安定的な配当をベースとし、そのうえに着実な増配実績を積みあげていくことで、株主の皆様にインカム・ゲインで報いたいと考えています。2008年3月期(2007年度)の1株当たり配当金は、前期から10円増配の130 円とし、2009年3月期にはさらに10円増配の140円を予定しています。

また今後は、DOEを主要指標とする考え方を堅持しつつ、キャッシュ創出力を表す指標であるキャッシュ・インカム(※)をベースとして配分方針を新たに定めて行きたいと考えています。基本的には、配当、借入金返済原資、成長投資においてキャッシュ・インカムの配分割合を各使途に1/3として考えていきます。配当は継続的・安定的な配当還元を、返済原資は計画的な返済原資の確保、成長投資は成長機会をとらえて積極的な投資を行っていく予定です。
エーザイは、株主の皆様との価値共有のもとで持続的な成長を果たし、その成果を株主の皆様に還元するとともに、IR活動を通して経営情報を積極的に開示し、企業の透明性を高めて「株主価値」の向上に努めていきます。

※キャッシュ・インカム:
成長投資、事業開発、配当支払、借入返済等に使用可能なキャッシュの総額、キャッシュ創出力を表すもの

算式=当期純損益+有形・無形固定資産償却費+インプロセスR&D費+のれん償却費+減損損失」

この1/3という数値を説明しなければQ&Aの意味がない、と思うのですが・・・。

【リンク】

「第97回定時株主総会招集ご通知」エーザイ株式会社
「当社の株主還元政策」エーザイ株式会社

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配当政策

(リンク)

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