独立系投資ファンドのDRCキャピタルは16日、ジャスダック上場の登山用品販売、コージツに対するTOBが成立したと発表した。対象となる企業が反対意見を表明したまま、敵対的TOBが成立するのは、2007年にソリッドグループホールディングスが買収されて以来、2例目となる。
(日本経済新聞2011年9月17日15面)
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本公開買付報告書によれば、本公開買付けに対し、当社の普通株式 17,478,721 株(議決権数:17,478 個、総株主等の議決権に対する割合:60.87%(小数点以下第三位四捨五入))の応募があり、応募株券等の総数 が買付予定数の下限(9,371,565 株)以上に達したため、本公開買付者らは応募株券等の全部の買付けを行 うとのことです。本公開買付けに係る買付け等を行った後における公開買付者らの株券等所有割合は 77.12%(小数点以下第三位四捨五入)となります。
株価低迷もあり、今後も日本企業を対象にした敵対的TOBは起きそうです。
【リンク】
2011年9月16日「投資事業有限責任組合 DRCKJ 及び投資事業有限責任組合 DRCIIによる 当社株券等に対する公開買付けの結果のお知らせ」株式会社コージツ [PDF]
日立製作所の中西宏明社長は15日、日本経済新聞社の取材に応じ、三菱重工と社会インフラを中心に幅広く事業統合を検討していることを認めた。
(日本経済新聞2011年9月15日9面)
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「日立は将来の経営統合に前向きだったが、中西社長は15日の取材で、「(今も)経営統合の話をしているかといえばノー」と否定した。「OBへの合意取り付けなど)ステップを踏むことが大事なので、今は時期尚早と言うしかない(三菱グループ関係者)という事情に配慮したためとみられる」(前掲紙)
日本企業の場合、企業統治機構の重要な位置にOBが組み込まれている会社がたくさんあります。そういう企業の意思決定はとても遅くなります。そしてどうにもならなくなって初めて動くことになるのです。カネボウのように。
【リンク】
なし
スズキは12日、独フォルクスワーゲン(VW)に対し資本業務提携の解消を申し入れたと発表した。2008年に提携関係を解消した米ゼネラル・モーターズ(GM)に代わる後ろ盾を望んだが、小型車や新興市場での短期的な成果を望むVWと思惑が一致しなかった。VWがスズキを連結対象としたことで、スズキは「自主独立」路線が損なわれるとの危機感を強めた。大型提携が2年足らずで見直しを迫られる異例の事態となった。
(日本経済新聞2011年9月13日3面)
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「両社は2009年12月に包括提携関係を結び、VWはスズキに19.9%、スズキはVWに1.5%を相互出資している。スズキはVWが保有する自社株の買い取りを提案するとともに、個別の協議案件を全て白紙にすることを求める。
提携解消申し入れの最大のきっかけは、VWが今年3月に出した年次報告書でスズキを連結対象とし、事実上の傘下企業と位置づけたことだ。鈴木会長は「全然、話が違う。自主独立は私の一貫した経営哲学だ」と説明した。2009年12月の提携会見の席上で、鈴木会長は「イコールパートナーとしてやっていく」と強調。「20%だと連結対象になるので、19.9%だ」としていた」(前掲紙)
日本企業はスズキに限らず提携関係を結ぶ際に、資本を10%~20%受け入れることがあります(これを資本提携と称します)。しかし私は以前から資本提携の意味がわからない、ということを指摘しています。日本企業はどうやらこれを兄弟の証、ヤクザの盃のように、提携の象徴と捉えている節が見受けられますが、資本を入れる側から見ればこれはあくまで投資です。投資ですから資本コストを上回るリターンを要求します。その関係はそもそも「イコールパートナー」ではあり得ないのです。
兄弟の契りとして、資本を受け入れるのは極めて危険です。特に外資との関係では慎重であるべきです。こちらは五分の兄弟だと思っているのに、向こうは親子だと思っている、ということがあり得るからです。
スズキは盃を返そうとしているわけですが、ヤクザ映画ではその後血の雨が降ると相場が決まっています。
スズキにも敵対的TOBという血の雨が降るかも知れません。
ちなみにスズキはライツプランを導入していません。
【リンク】
2011年9月12日「フォルクスワーゲンAGとの提携関係に関するお知らせ」スズキ株式会社
パナソニックの大坪文雄社長は1日、日本経済新聞社のインタビューに応じ、31日に決議した子会社パナソニック電工の吸収合併について「電工の経営統合は将来の当社の発展に不可欠の要素だった」と強調した。
(日本経済新聞2011年9月2日11面)
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経営統合の形として、100%子会社のまま行くか合併するか、経営者としては悩むところです。しかし日本企業の場合、異なる企業風土を持つ会社が融合するには時間がかかるので、当面別会社のままにしておこうということになる場合が多いように思います。
大坪社長はパナ電工吸収合併の理由を次のように述べています。
「三洋を含め、企業風土や文化など確かに3社に違いがある。ただ歴史を見れば3社には共通の共通の創業者、共通の経営理念があった。今はそこに一番焦点を当てるべきだと思う。電工についても完全子会社にしておくより経営統合した方がスピードを持って事業を進められると判断した」(前掲紙)
スピードを持って事業を進めるには、ビジョンを明確にし、リーダシップを発揮することで、組織を一つの方向に動機付けることが必要です。そのためにも別会社のままおいておくより、一つのエンティティーになった方が有利であるというのが、大坪社長の判断です。
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なし
パナソニックは子会社の三洋電機の洗濯機と冷蔵庫事業を、中国の家電大手、ハイアールに売却する。2011年度中をメドに日本と東南アジアにある開発・製造・販売拠点を譲渡する。パナソニックは2012年1月に三洋との事業統合を控え、懸案だった重複事業を解消する。
(日本経済新聞2011年7月28日1面)
【CFOならこう読む】
日本のM&Aは、対等合併を旗印に、とにかく規模の拡大のために行われ、その後どうにもならなくなって人員整理を伴う大規模なリストラに着手せざるを得なくなる、というケースが多いように思います。
しかし買い手にとって買収対象会社の全ての事業が必要である事は稀であり、重複事業等不要な事業に関しては、それを必要とする他社に売却することが、株主にとっても従業員にとっても望ましい場合が少なくありません。
日本企業のM&Aは、そもそも売手・買い手を曖昧にし、何のために行うのかよくわからないケースが多いわけですが、事業の選択と集中の方策として、戦略的動機に基づくM&Aをいかに上手に行えるかが、経営者の重要な資質として求められる時代になりつつあるのだと、今日のニュースを読んで改めて感じました。
「売却対象は日本と東南アジアにある三洋の洗濯機・冷蔵庫関連の子会社や関係会社合わせて10社程度の持ち株すべて」(前掲紙)
スキームは、単純に株式譲渡ということです。
【リンク】
なし
独立系投資ファンドのDRCキャピタルは21日、ジャスダック上場の登山用品販売、コージツをTOBで買収すると発表した。登山ブームを背景に業績改善が見込めると判断した。東日本大震災後、投資ファンドが上場企業へのTOBを表明したのは初めて。
(日本経済新聞2011年7月22日15面)
【CFOならこう読む】
「DRCキャピタルによるとTOB期間は22日から9月1日まで。買い付け価格は130円と、21日終値を19円(17%)上回る水準に設定した。TOBはDRCキャピタルと年金基金など海外機関投資家が共同で手掛ける。買い付け株数には上限を設けず、取得額は最大30億円になる」(前掲紙)
意見表明報告書を見ていないので、何とも言えませんが敵対的TOBになる可能性も・・・。
サブプライム後動きを止めていたファンド勢も、金融緩和による金余りの追い風を受けてそろそろ活発な動きを見せるようになるかもしれませんね。
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なし
日本証券業協会の前哲夫会長は19日の記者会見で、東京証券取引所と大阪証券取引所の統合構想について「メリットが多く、早期に実現することが望ましい」と述べた。統合の手法などを巡る協議が難航している点にも触れ「ぜひ破談にならないようにしていただきたい」と語った。
(日本経済新聞2011年7月20日7面)
【CFOならこう読む】
東証・大証の統合を巡り、東証によるTOBによる大証買収、共同持株会社設立、大証が東証買収などの案を飛び交っているようです。
十分議論を尽くすことは必要ですが、その議論がどちらが主導権を握るかという皮相的な駆け引きのために行われているのだとしたら、株主価値創造の担い手であるはずの取引所としては、そもそも不適格ということでしょう。
海外では国境を超えて取引所の統合が進められている中、東証や大証はどのような世界戦略を持っているのか聞いてみたいものです。
【リンク】
なし
リコーは1日、HOYAが「ペンタックス」ブランドで展開しているデジカメカメラ事業を10月に買収すると発表した。リコーはペンタックスの一眼レフの技術と販路を取り込み、新興国を中心にカメラ事業を拡大。事務機に次ぐ事業の柱に育成する。医療機器などに経営資源を集中させたいHOYAと思惑が一致した。価格戦争の激化を背景にデジカメ業界の本格再編が幕を開けた。
(日本経済新聞2011年7月2日9面)
【CFOならこう読む】
「HOYAがペンタックスのカメラ事業を新会社として切り出したうえで、リコーが100%子会社化する。買収額は非公表」(前掲紙)
スキームとしては以下の通りです。
HOYA は、PENTAX イメージング・システム事業(デジタルカメラ・交換 レンズ、デジタルカメラアクセサリー、セキュリティカメラ関連製品および双眼鏡など光機製品の開発・ 製造・販売事業)を、HOYA が新会社(本新設会社)を設立のうえ、平成 23 年 10 月1日付(予定)で、 会社分割(吸収分割)により本新設会社に承継させ、その効力発生日に、本新設会社の株式をリコ ーに譲渡しま す。
これに伴い、HOYA は、本分割・譲渡に先だって、PENTAX イメージング・システム事業に関 する HOYA の海外子会社である PENTAX VN CO., Ltd の株式を本新設会社に対して譲渡(以下、 本子会社株式譲渡)する予定です。
本会社分割は、簡易吸収分割であるため、株主総会の決議は省略されます。
ペンタックス経営陣が、HOYAとの経営統合を巡り内紛を繰り広げていた2007年5月に、ペンタックス本社のそばに、「オリンパスでチャンスを見つける。デジタルカメラ、光学技術者をを募集しています。」と書かれたポスターが貼られました。
このポスターを見てオリンバスに転職した人もいれば、残ることを選択し、結果として今回HOYAからリコーに異動する人もいると思います。このようなM&Aが増えて行くことにより、一生同じ会社に勤務することが普通のことではなくなって行くでしょう。そうして近い将来、中高年の従業員の転職が珍しいものでなくなれば、転職市場(マーケット)も整備されることでしょう。
そうなれば、”雇用を守る”ことが経営のお題目ではなくなり、リストラを伴うM&Aを経営者は躊躇なく実行できるようになるでしょう。そうして日本でもM&Aが一般的な経営のツールとなって行くのだと思います。
しかし、それまでは安易にリストラに走らず、事業とともにヒトを活かす方策としてM&Aを利用することを、経営者の皆様には切にお願いする次第です。
【リンク】
2011年7月1日「PENTAX イメージング・システム事業の譲渡に関するお知らせ」HOYA株式会社 [PDF]
ソニーの加藤優最高財務責任者(CFO)は31日、日本経済新聞の取材に対し、2011年3月期に750億円の営業赤字となったテレビ事業について「今期は最低でも赤字額を前期の半分に減らす」との目標を示した。前期までに積み上がった手元資金を基に「今期から成長投資に打って出る」と述べた。
(日本経済新聞2011年6月1日17面)
【CFOならこう読む】
−成長戦略は
「3月末の手元資金は金融を除いたベースで約8500億円。在庫圧縮などでフリーキャッシュフローが2年連続でプラスとなり、財務が筋肉質になった。今期は果敢に投資する。半導体の増産などで設備投資は3300億円と6割増やす。提携のための出資やM&Aも検討する」
(前掲紙)
ソニーの時価総額は、2兆1730億円(5月31日終値ベース)、PBRは0.85倍。うちキャッシュ8500億円
ソニーフィナンシャル時価総額6438億円(5月31日終値ベース)×60%=3862億円(税金は考慮せず)
この数値だけ見ていると、ソニーが外国企業に買収されるということがそれほど遠くない将来にあってもおかしくない、ように思えます。それ自体は悪いことであるとは思いませんが、ソニーは日本の精神的支柱的存在で、震災でダメージを受けているいま、ソニーが中国や台湾の企業に買収されることがあれば、多くの日本人はショックを受けることになると思います。
頑張ってほしいとは思います。
が、ソニーのトップマネジメントからワクワクするような話が聞けなくなって久しい、のが寂しい。
【リンク】
なし
武田薬品工業は19日、スイスの製薬大手ナイコメッド(チューリヒ)を買収すると正式発表した。96億ユーロ(約1兆1100億円)で完全子会社化し、東欧などの市場へ本格進出する。武田の新興国での売上高は約8倍に拡大し、将来は日米欧と新興国で売上高をほぼ4等分する体制を目指す。成長へ向け、先進国偏重から大きく舵を切った。
(日本経済新聞2011年5月20日9面)
【CFOならこう読む】
「ナイコメッドは1874年に創業した非上場の製薬会社。呼吸器などの医療用医薬品や一般用医薬品などを製造販売している。武田の既存事業と重複する米国の皮膚科事業を切り離したうえで、武田の完全子会社となる。同事業を除いた2010年12月期売上高は28億ユーロ(約3200億円)、社員数は約1万2000人。東欧や旧ソ連圏、中南米などの新興国で売上高の約4割を得ている。
武田はナイコメッドの親会社である複数の投資ファンドから、発行済み株式すべてを9月末までに取得する。武田は3月末時点で8700億円の手元資金を保有。買収費用のうち6000億円〜7000億円は金融機関から借り入れ、残りを手元資金で賄う計画だ。円高が進み数年前より買収費用は少なくて済む計算だが、財務体質の悪化は避けられない」
(前掲紙)
以下プレスリリースよりディールの概要を抜粋します。
「■ Nycomed社株式取得の方法および日程
• 1)株式取得の実施者:武田薬品工業株式会社
• 2)株式取得の対象者:Nycomed社の株式保有者(投資会社※、従業員および経営者)
• ※Nordic Capital Funds、DLJ Merchant Banking Partners、Coller International Partners、Avista Capital Partnersなど
• 3)発行済株式総数:13,778,110株(2010年12月31日)
• 4)株式の取得方法:現金(6,000~7,000億円程度の借入を実施)
• 5)買収価額:負債を含め9,600百万ユーロ(ドイツ証券と野村證券からフェアネス・オピニオンを取得)
• 6)取得完了予定日:2011年9月末
• 注)米国皮膚科事業を運営するNycomed US Inc.の株式は本株式譲渡契約の対象外である。
■ Nycomed社の概要
• 1)名称:Nycomed A/S
• 2)本社所在地:スイス チューリッヒ
• 3)代表者の役職・氏名:CEO Håkan Björklund(ハーカン・ビョークランド)
• 4)設立年:2005年(創業年1874年)
• 5)資本金:98,836ユーロ
• 6)株式の種類:非上場の普通株式
• 7)決算期:12月
• 8)従業員数:約12,500人(Nycomed US Inc.の従業員数を含む)
• 9)当社との関係:Nycomed社との間には、資本・人的・取引関係において記載すべき事項はない。
• 10)最近の事業年度におけるNycomed社グループの業績の動向(金額単位:百万ユーロ)
| |
2010年12月期 |
2009年12月期 |
| 売上高 |
3,170.6 |
3,228.0 |
| 粗利益 |
2,181.7 |
2,332.7 |
| 営業利益 |
44.2 |
288.0 |
| 当期純利益 |
229.1 |
232.7 |
| 調整後EBITDA※ |
850.5 |
1,074.6 |
| 総資産 |
7,477 |
7,886 |
| 純資産 |
1,491 |
1,539 |
※企業結合会計上の在庫価値差異などを調整した後のEBITDA
(2011年05月19日「Nycomed社の買収(子会社化)について-グローバルでのさらなる成長に向けて-」武田薬品工業株式会社)
買収価額9,600百万ユーロは、2010年12月期のEBITDA倍率で11.3倍となります。
【リンク】
2011年5月19日「新たなタケダへの変革 Nycomed社の買収」武田薬品工業株式会社 代表取締役社長 長谷川 閑史 [PDF]
2011年05月19日「Nycomed社の買収(子会社化)について-グローバルでのさらなる成長に向けて-」武田薬品工業株式会社
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