オムロンはインドに地域本社を設立した。アジア地域(中国を除く)を統括するシンガポールから機能を移管。財務や採用など間接業務を一元的に担い、インドの複雑な法制度に対応する。
(日本経済新聞2012年1月11日11面)
【CFOならこう読む】
「これまで海外では、複数の国を統括する拠点に地域本社を設置しており、1ヶ国だけを担当する地域本社はインドが初めて。財務や資金調達、現地採用、税務、IT、インフラ整備などを担当する」(前掲紙)
アジア統括会社はシンガポールと香港に置かれ、香港が中国子会社、シンガポールはそれ以外のアジア子会社を管轄するという形がよく見られますが、オムロンはインド子会社のみを管轄する統括会社をインドに新たに立ち上げるということです。
インドは税務訴訟が多く、しかもそのほとんどが納税者勝訴となると聞いたことがあります。ということは、国側は何でもかんでも訴訟に打って出るということで、これだけ考えてもインドに統括会社を置く必要性があるのかもしれません。
【リンク】
なし
ゼネコン各社が東日本大震災の復興需要をにらみ、東北地方に人材と先端技術を重点投入する。日本の建設市場は40兆円強とピーク比でほぼ半減したが、東北地区では今後3年で17兆円規模の復興需要が生まれる見通し。
(日本経済新聞2012年1月8日1面)
【CFOならこう読む】
「政府は12年度予算案で東日本復興特別会計を新設し、3兆8千億円を計上した。人材派遣大手インテリジェンスの試算では、11~13年度の3年間で復興関連の建設需要は約16兆6千億円。国土交通省は11年度に全国の建設業就業者の1割強に相当する。50万人規模の雇用が創出されると見ている」(前掲紙)
少なからず景気の浮揚効果が期待できますが、一時のバブルで終わらせることなく、ここで次の時代の日本の礎を築くことが極めて重要です。復興が完了した途端消失してしまうような雇用創出では意味がないと、私は思います。
【リンク】
なし
JVCケンウッドは5日、筆頭株主のパナソニックが保有する同社株式のほぼ全てを市場で売却すると発表した。パナソニックは2012年3月期に大幅な最終赤字となる見通しで、資産圧縮を目的に保有株の売却を加速する。
(日本経済新聞2012年1月5日9面)
【CFOならこう読む】
「売却は売出方式で実施する。約2442万株を処分し、パナソニックの持株比率は現在の19.28%から1.75%に低下、筆頭株主から第7位株主になる」(前掲紙)
株式売出し(引受人の買取引受による売出し) の概要は次の通りです。
(1) 売出株式の種類および数
普通株式 24,225,400株
(2) 売出人
パナソニック株式会社
(3) 売出価格
未定(日本証券業協会の定める有価証券の引受け等に関する規則第 25 条に規定 される方式により、平成 24 年 1 月 17 日(火)から平成 24 年 1 月 19 日(木)までの 間のいずれかの日(以下「売出価格等決定日」という。)の株式会社東京証券取 引所における普通株式の普通取引の終値(当日に終値のない場合は、その日 に先立つ直近日の終値)に 0.90~1.00 を乗じた価格(1円未満端数切捨て)を仮 条件として、需要状況を勘案した上で決定される。)
(4)売出方法
野村證券株式会社を主幹事会社とする引受団(以下「引受人」という。)が全株 式を買取引受けた上で売出す。 売出しにおける引受人の対価は、売出価格から引受人より売出人に支払われる金 額である引受価額を差し引いた額の総額とする。
(5)申込期間
売出価格等決定日の翌営業日から売出価格等決定日の 2 営業日後の日まで。
(6)受渡期日
売出価格等決定日の 6 営業日後の日。
(7)申込株数単位
100株
(8)本売出しに伴い当社が遂行すべき諸手続に必要な一切の事項の決定については、代表取締役社長に一任する。
株式売却により、パナソニックは、JVCケンウッドとの提携関係を名実ともに解消することになります。
【リンク】
2012年1月5日「 株式の売出しおよび主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」株式会社JVCケウンウッド [PDF]
米石油最大手エクソンモービルが日本事業を大幅に縮小する。精製子会社東燃ゼネラル石油の株式を東燃ゼネラル自体に買い取らせる方向で最終調整に入っており、月内の合意を目指す。
(日本経済新聞2011年12月27日17面)
【CFOならこう読む】
「エクソンは現在、日本で全額出資のエクソンモービル有限会社が事業展開し、東燃ゼネに50.02%出資ている。このうち30%超分の株式を東燃ゼネに売却する案を同社や金融機関と検討している」(前掲紙)
今更ながら、有限会社を通じて日本での事業展開を行っていることに驚かされます。有限会社を選択しているのは、日本の有限会社が、米国税法上check-the-box規則により、”適格エンティティー”となるので、構成員課税(パススルー課税)を選択できることがその主たる理由と思われます。
「エクソンが日本事業の縮小方針を固めた最大の理由は内需の縮小に歯止めがかからないことだ。
英BPの需要分析によると、日本はガソリンなど石油の消費量が過去10年間で2割近く減少。若者の「クルマ離れ」などで自動車保有台数が伸び悩んでいることが大きい」(前掲紙)
こういう形で外資の日本事業縮小が続くのであれば、それ自体日本経済にとって決してプラスではありません。日本人の仕事を作るという意味合いからも、外資を呼び込めるようなインフラ(税制その他)を整備する必要があると改めて思います。
【リンク】
2012年1月4日「本日の一部報道について」東燃ゼネラル石油株式会社 [PDF]
本年もご愛読いただきありがとうございました。2011年の更新は本日で最後になります。
年初は1月5日にスタートします。
来年もCFO Newsをよろしくお願いいたします。
上場企業による業績予想の開示多様化を検討している東京証券取引所は、社内に収益の計画や目標数値がある場合、従来通り売上高、利益の予想を公表するよう推奨する方針を決めた。
(日本経済新聞2011年12月28日13面)
【CFOならこう読む】
「新しい予想開示は2012年3月期の決算発表から実施する方針。自主的で多様な開示方法を認める。予想に幅を持たせて開示したり、米国企業のように1株当たり利益の予想を公表したりする企業も出てきそうだ。予想を出さない場合に求めていた事前相談や理由の公表なども不要にして、企業の自主性を重視する」(前掲紙)
新しい予想開示の方向性は、今年7月に公表された「「上場会社における業績予想開示の在り方に関する研究会報告書」に従った形で行われます。
報告書の概要は以下の通りです。
「通期の決算発表時に売上高・利益等の所定の項目について特定の値による開示を行うと いう原則的な取扱いにこだわり過ぎると、合理的とは言えない業績予想の開示が行われた り、上場会社に必要以上の負担をかけたりするおそれが高い。そこで、経営者自身の合理 的な評価や見通し等に基づいて、経営成果に係る直接的な予想が示される規格化された開 示の有用性を確認しつつ、上場会社各社の実情に応じて、多様な方法による柔軟な開示を 積極的に行い得るようにすることが望まれる。
✔ 開示内容
・ 予想値に一定の幅が出るケースやすべての項目を予想することが難しいケースについては、
諸外国で、一定の幅を持った表現が使われていたり、開示項目が各社で異なっていたりする
ことが参考となる。
✔ 開示時期
・ 決算発表の時点で業績予想を有していない場合には、投資判断上重要な情報格差を生じさ せないという観点から、その後、合理的な業績予想を有した時点で開示をすることが重要。
✔ 予想対象期間
・ 1年の見通しが難しい場合には、各社の状況に応じた期間を対象として開示する例が参考
となる。
✔ 将来予測情報の提供、補足説明等の充実
・ 売上高・利益以外の経営指標など、様々な将来予測情報を開示することは有用。また、前 提条件や変動可能性等の説明が重要。今後補足説明の重要性は一層高まる。」
予想を出さないことも容認されますが、大幅な財務数値の増減が見込まれる場合、具体的には予算や計画が前期実績と比べ売上高で1割、利益で3割以上増減する場合は、適時開示の義務が生じる、というのが今日のニュースです。
多くの会社において、予算は達成目標と位置付けられています。達成目標ですから、売上高1割増なんていうのは普通に見られます。こんなものを適時開示する必要性は全くないでしょう。東証の方向性は良いと思いますが、詳細なガイドラインがないと実務サイドは相当に混乱すると思います。
年内の更新はこれで終わりにします。2012年が世界中の人々にとって良い年でありますように。
【リンク】
「決算情報の適時開示制度 業績予想開示」
今年に新規上場した37銘柄の直近の株価と公募価格を比べたところ、電子書籍やネット関連が上昇する一方、バイオ関連は下落した銘柄が目立った。欧州の債務問題や円相場の高止まりが長引くなか、主力の輸出関連銘柄を避けた資金の一部が、国内で成長余力の大きそうな銘柄に流入したようだ。
(日本経済新聞2011年12月27日17面)
【CFOならこう読む】
今年に新規上場した企業の株価(26日時点、単位%、▲はマイナス)

電子書籍やネット関連銘柄の上昇が目立つ中、ネクソンは公募価格1300円に対し昨日(26日)終値1175円と10%程度下回っています。「「設定価格が割高だったのではないか」(国内証券)との指摘もある」(前掲紙)
とのことですが、2011年12月期予想EPSに対するPERは17.9倍、成長余力を考慮するとそれほど高いとは思えません。
【リンク】
なし
ネクソンの株式上場の概要は次の通りです。

ダブル・スコープは、2005年設立、リチウムイオン二次電池用セパレーターの製造・販売を行っている企業です。公募価格は2,500円、予想PER27.1倍という水準での株式公開となりました。

直前期末(2010年12月31日)現在、△1,740,593という大きなマイナスの利益剰余金があります。

【クリックすると拡大表示します】
アグレッシブに第三者割当増資による資金調達を行って来ています。

【クリックすると拡大表示します】
典型的なVC型のIPOで、上場直前時点で筆頭株主は崔社長ではあるものの、持株比率は18%しかありません。
従業員のインセンティブは主にストックオプションによっています(潜在株式の割合5.68%)。
ネクソンに続く韓国企業の日本での上場です。崔社長は日本で上場した理由を、次のように述べています。
「個人的な考えを言えば、『義理』だ。2005年に日本で会社を設立した当時、日本のベンチャーキャピタルが当社の技術力を信じて投資してくれた。米ナスダックや韓国コスダックからも提案を受けたが、日本の資金で育った会社なので、日本で上場することにした。日本経済が悪いと言われているが、東京市場は世界トップクラスのマーケットだ」
(2011/12/16 18:40「ダブル・スコープ、崔元根社長『35%超の利益率維持する』」日本経済新聞)
【リンク】
ダブル・スコープ株式会社
経済産業省は21日、スウェーデン・ボルボや米化学スリーエムなど外資10社が日本に研究開発などの拠点を新設すると発表した。ハイブリッド仕様の大型トラックや日本市場向け医療関連製品など高付加価値商品を生み出す拠点となる。外資企業の誘致を目指す政府の「アジア拠点化戦略」が本格的に動き出す。
(日本経済新聞2011年12月22日1面)
【CFOならこう読む】
「23年度アジア拠点化立地推進事業費補助金」の対象事業は、以下の要件をすべて満たすものとされています。
1統括拠点※1又は研究開発拠点※2を整備する事業※3であること。
2補助事業によって整備された拠点において、申請した業務を3年以上継続すること。
3投資計画について、「平成23年度一般会計歳入歳出概算」の閣議決定(2010年12月24日)以前に対外発表していないこ と。
(※1)被統括会社の事業の方針の決定又は調整に係る業務(事業の遂行上欠くことのできないもの(営業・販売・マーケティ ング、経営企画、財務・金融、人事・人材育成、研究開発、生産管理、物流、法務等)とする。)であって、2以上の被統括会社
(2以上の国であること。)に対して一括して行うための施設を整備する事業
(※2)技術革新の進展に即応した高度な産業技術の研究から応用開発、試作、製品試験等による産業化等の研究開発を行 うために必要な施設を整備する事業
(※3)国内に既にある拠点の移転・集約は対象外
「政府は補助金や税制優遇などを盛り込んだ外資企業誘致の政策パッケージを策定した。ただ税制優遇のために必要な「アジア拠点化推進法案」は国会審議が進まず、たなざらしの状態。今回進出する企業も税制優遇は受けられない見通しだ」(前掲紙)
税制優遇は不可欠です。20%の所得控除なんていうせこいことは言わず、日本人の雇用を要件に大幅な税制優遇を与えるべきです。
【リンク】
「平成23年8月 アジア拠点化促進施策について」経済産業省 [PDF]
「 平成23年アジア拠点化立地推進事業 採択事業一覧 」 [PDF]
いつもCFO Newsをご覧頂きありがとうございます。
一昨日、Googleより当サイトが悪質なコードに感染しているとの警告があり、一時サイトアクセスができない状況になっておりました。昨日、当該ソフトウェアの削除とファイル脆弱性の対策を行い、本日Googleの検査により問題が排除されたと確認されましたので再開いたしました。
読者の皆様にはご不便とご心配をおかけいたしましたことをお詫びいたします。
引き続きCFO Newsをよろしくお願いします。
運営会社:株式会社デジカル
最近のコメント