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Posts Tagged ‘マクロ経済’

長期金利1.3%割れ

2010年 2月 26日

25日の債券市場で、長期金利の指標である新発10年物国債利回りが心理的な節目の1.3%を割り込んだ。終値は前日比0.020%低い1.295%。1.3%を下回るのは12月末以来、約2ヶ月ぶり。市場関係者の間には、日米の景気の先行き不透明感がじわり浸透。安全資産とされる国債に資金が流入している。
(日本経済新聞2010年2月26日4面)

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「日本経済は二番底のリスクは回避しつつあるが、景気の持ち直しの動きが鈍くなる可能性がある。先行きの不透明感から民間・個人向けの貸し出しが伸びない銀行勢が、国債に余剰資金を振り向ける構図が続き、金利低下を促している。
世界の金融・資本市場では、国債増発に伴う財政悪化で、金利上昇を警戒する声が強まっている。日本も巨額の長期債務を抱えているが、国内投資家層の資金で国債を消化できていることから、足元では金利上昇につながっていない」(前掲紙)

国債の消化が順調に進んでいる理由を、文芸春秋3月号の「ついに国債破綻が始まった」で、野口悠紀雄氏は、「民間の投資支出が激減したため」であるとした上で、設備の更新が進まなければ生産力が低下し、財政は今後ますます細ると述べています。

さらに国債を国内で消化できる状況はそう長く続かない可能性があることを次のように指摘しています。

「国際通貨基金(IMF) は、昨年7月に発表した「カントリー・レポート」のなかで、このままのペースで日本の政府債務が増え続ければ、2020年頃に国債を国内で消化しきれなくなると予測している。
10年後だと遠い先のような気がするかもしれない。しかし、これより速いペースで国内消化が行き詰まることは、十分にあリ得る」(前掲誌)

国内で消化できなくなったときに何が起こるか。
野口氏はインフレと円安である、と断言しています。

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吉永 マクロ経済 ,

白川日銀総裁、国債下落のリスク警戒 日本の財政は”深刻な状況にある”

2010年 2月 19日

日銀の白川方明総裁は18日、金融政策決定会合後の記者会見で「財政の持続可能性に関する市場の関心が世界的に高まっている」と述べた。財政の悪化が国債価格の下落につながるリスクを警戒する構えをみせた。金融政策については「財政ファイナンス(国の資金調達)を目的としない」のが重要だと語り、長期国債の大幅な買い増しに慎重な姿勢をにじませた。望ましい物価上昇率を明示する「インフレ目標」の設定には難色を示した。
(日本経済新聞2010年2月19日5面)

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日銀総裁のことばは、一般の人にわかるようなものでなくてはならないと思うのですが、そういう姿勢は感じられませんね。またマスコミは正しくわかりやすく伝える義務があると思いますが、その責務を果たしているとは思えません。

「国債価格の急落を防ぐには、各国が「財政再建の道筋を示し、市場の信認を確保する」のが欠かせないと強調した。「金融政策運営が財政ファイナンスを目的としない。そうした姿勢を政府が尊重し、市場が信認する」ことが必要だとも語り、間接的な表現で国債の大幅な買い増しに慎重な姿勢をにじませた」(前掲紙)

国債の大幅な買い増しが何故まずいのか?

それは大きなインフレにつながる可能性があるからです。

文芸春秋3月号に、野口悠紀雄氏の「ついに国債破綻が始まった」という論稿が掲載されています。その中で野口氏は、1930年代に高橋是清蔵相が日銀引受けによる国債発行を行なったことにより、4年間で物価が60倍上昇したことを紹介した上で、このようなことが起きないように、財政法5条が日銀引受け国債発行を禁止しているが、これが形骸化するリスクを次のように指摘しています。

日銀は、銀行が保有する国債を買い上げることができる。これは市中に資金を供給する方式の一つであり、そのこと自体が問題であるわけではない。しかし、もし政治からのプレッシャーを受けて日銀が国債買い取りを増せば、実質的に直接引受けと似た効果が生じる(現在日銀の国債保有残高は68兆円である)

“金融政策運営が財政ファイナンスを目的としない”とは、このようなリスクを回避する姿勢を日銀として言明しているわけです(要するに当然のことを言っているだけです)。

白川総裁はさらに次のように話しています。

「インフレ目標を巡っては「採用しているかどうかは、意味のある論点ではなくなってきているという印象がある」と指摘。「物価動向だけに過度の関心が集まる結果、物価以外の金融・経済の不均衡が見過ごし、金融危機発生の一因になったのではないかという問題意識が高まってきている」との認識を示した」(前掲紙)

これは要するに金融緩和が世界的なカネ余りを生み、それでバブルが生まれたと言っているのですね。

日銀というのは、下手すりゃインフレを起こし、国民が身ぐるみはがされる可能性もあるような仕事をしているのだから、そこの総裁たるもの、何をどう考え、どういう施策を打とうとしているのか、一般の人にわかるように説明してもらいたいものだと、切に思います。

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吉永 マクロ経済

一戸当たり床面積の国際比較

2010年 2月 4日

しばしば日本の住宅は他の先進諸国に比べ狭いといわれるが、実は持ち家に関してはそれほど狭いわけではない。日本の場合、賃貸住宅の狭さが他国に比べ際立っている。これは日本で賃貸住宅は単身者や若夫婦向けの供給が主流で子どもを持つファミリー向けの物件となると分譲マンションとの競合で、供給は少ないためである。
(日本経済新聞2010年2月4日23面)

【CFOならこう読む】

今日は取り上げる記事がないなあ、と思いながら何度も新聞の頁をめくっていたら、一戸当たり床面積の国際比較をしているグラフが目にとまりました。

a 一戸あたり床面積国際比較(壁芯換算値)

「2009不動産業統計集 2不動産開発」財団法人不動産流通近代化センター[PDF]

日本の借家の狭さが際立っています。

b 一人あたり住宅床面積

「2009不動産業統計集 2不動産開発」財団法人不動産流通近代化センター[PDF]

特に関東大都市圏の借家の狭さが際立っています。

これって凄いビジネスチャンスなんじゃないでしょうか?

家賃を払っても家は自分のものにならない、なんていうアホな営業トークに乗って家を買う時代は終わっています。
常識的に考えても個人のバランスシートが、借方のほんどが住宅で、貸方はそれ以上の借金、実質債務超過なんてまともじゃないでしょう。

国の財政破綻を心配している場合じゃないですよね。

様々なものが流動化している現代社会において、家を買って住居を固定化することを嫌い借家を選択する人が今後ますます増えていくように思います。

ニーズがあって供給が不足しているなら、そこに大きな商機があるはずです。
国もこの分野にもっと財政を投入して良いように思います。

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吉永 マクロ経済, 未整理

日本の証券市場の存在価値

2010年 2月 2日

1月29日、東京大学の本郷キャンパス。中国の北京大学から招かれた7人の学生がプレゼンテーションを行なった。「高齢者向けサービスのネットワーク化」「環境に優しいコーティング材」。自分たちで作り上げた起業アイデアを、流暢な英語で披露した。
(日本経済新聞2010年2月2日15面一目均衡)

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「格差を解決するのは起業家であり、我々若者の責務だ」(前掲紙)

中国北京大学のアントレプレナーの言葉です。
こういう言葉は、いまの日本の若い起業家からは聞かれなくなって久しいように思います。

「かっては米ナスダック上場が夢の一つだったが、深?証券取引所にベンチャー市場ができ、国内で成長を加速させる循環が動き出した。

中略

企業が育つ市場として活性化しない限り、中国企業があえて日本を選ぶ理由は乏しい。
中国を狙う日本人も東京にこだわらないかもしれない」(前掲紙)

日本を選ぶ理由、例えばそれは優れた技術開発力。
日本は世界の金融センターではなく、世界の研究開発センターとなる。
そして東京市場は、技術の目利きが出来る市場として独自性を見出す。

こんなビジョンを持って新しい日本を創る必要があります。
そしてそれはもちろん政治家の仕事ではありますが、我々国民一人一人が果たす役割も大きいはずです。

北京大学のアントレプレナーのような志が多くの日本国民に求められているのです。

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吉永 マクロ経済, 資金調達 ,

年初の予想

2010年 1月 12日

「日本株が主要工業国で最も上昇する」。米投資ファンド、ブラックストーン・グループの著名ストラテジスト、バイロン・ウィーン氏は5日、毎年恒例の10項目の「びっくり大予想」を発表した。今年は日経平均が為替の円安と輸出の回復をテコに1万2000円を超えると予想する。円ドル相場は1ドル=100円超まで下落するとしている。
(日経ヴェリタス2010年1月10日7面)

【CFOならこう読む】

バイロン・ウィーン氏が50%以上の確率で起こると考える「2010年10大びっくり予想」は次の通りです。

「1.米実質成長率は5%超、失業率は9%未満に
2.米連邦準備理事会(FRB)がゼロ金利解除、政策金利は年末までに2%
3・多額の米国債発行で長期金利が5.5%超に
4・米S&P500は1300まで上昇するが、年末には2009年末の水準に
5.ドルは上昇。円相場は1ドル=100円超
6.日本株は主要工業国で最大の上昇、日経平均は1万2000円超に
7.米オバマ大統領が主導し原子力発電を後押しする法案成立
8.米景気回復でオバマ政権の人気持ち直す
9.金融規制は金融業界よりの内容に
10.イランのアハマディネジャド大統領が失脚」(前掲紙)

要するに米景気回復→金利上昇→円安→日本の輸出企業の業績回復→日本株上昇というストーリーなんでしょう。記事ではフィナンシャル・タイムズ紙がコラムで今後10年の株式では日本株が最も上昇すると予想しています。

「理由を株主資本利益率(ROE)の改善に求めた。日本企業のROEは金融危機前でも7~8%と、15%超の欧米企業も下回ってきた。同紙のコラムは低ROEをむしろ今後ののびしろとみている」(前掲紙)

サステイナブル成長率=ROE×(1-配当性向)であり、株価はこれと比例しますから、ROEの上昇は株価の上昇につながります。

しかしこれが一時的なものでは意味がないわけで、収益構造を抜本的に改善しROEの水準が15%超を持続するように変革するのは相当ハードルが高いように思います。また持続可能な水準としてROE15%超という水準が本当に妥当なのか、という疑問もあります。業種業態にもよりますがROE10%を長期に持続することの方が短期的に高ROEをたたき出すより意味がある、という思いもあるのです。

いずれにしても円安でしか日本株上昇の展望が開けない、というのは情けない話です。

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吉永 マクロ経済

デフレは克服できない

2010年 1月 4日

「もっと先へ」「より未知なるものを求めて」「より学術的に」という近代は限界に達し、先進国はポスト近代社会を構築せざるを得なくなるだろう。デフレは、所得が増えない状況に企業が技術革新で安価で品質の良い財・サービスを提供した結果であり、克服できると思うのは無謀だ。
(日経ヴェリタス2010年1月3日57面 水野和夫論稿)

【CFOならこう読む】

CFOの皆様、新年明けましておめでとうございます。
本年もご愛読のほど、宜しくお願い致します。

2009年11月20日、政府はデフレ宣言を行いました。新聞・TV等のメディアでも、デフレ脱却のための金融緩和の要求する有識者の見解が数多く紹介されています。

新春恒例の朝まで生テレビでも、「お金を刷る量が足りない」という意見が圧倒的でした。私はマクロ経済の専門家ではありませんが、金融緩和により物価をあげるという処方箋はどうにもピンと来ません。

安くて良いものを提供したいと考える民間企業が、技術革新の努力を行うのは当然のことですし、消費者だって、安くて良いものを買える方が良いに決まっているのです。それのどこが悪いのでしょう。

専門家の議論は、私には新興宗教の信者の話のように実感に乏しく聞こえます。ところが同じ専門家でも水野和夫さんのな言っていることはよくわかります。

「デフレの原因はグローバル化であり、需要不足が原因ではない
デフレは所得が先進国で増えなくなって、それに企業が技術革新で安価で品質の良い財・サービスを提供している結果である。企業の低価格競争がデフレの原因ではなく、近代の仕組みが機能しなくなったことに対して、企業が対応した結果なのである。企業の技術革新がなければ、先進国の消費者はもっと生活水準が下がっていることになる」(前掲稿)

日本企業は、世界の人に買ってもらえるような値段と品質で財・サービスを提供すべくさらなる企業努力を続けるしかないのです。

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吉永 マクロ経済

温かい資本主義とぬるま湯資本主義の境目

2009年 10月 27日

米国人初のノーベル経済学賞を受賞したサミュエルソン教授は、先月の筆者との対談で、「94歳まで長生きをして2つ良いことを見た。ひとつはオバマ政権の誕生とケインズ主義の復活、もうひとつはオバマ政権の誕生とケインズ主義の復活、もうひとつは日本の政権交代だ」と語った。また「フリードマンが数年前に亡くなり、ケインズ主義の復活を見せられなかったのは残念だ」と続けた。
(日本経済新聞2009年10月27日29面 経済教室 佐藤隆三)

【CFOならこう読む】

「温かい心を持つ資本主義とは、社会主義とは根本的に異なる。限られた資源を効率配分し、公正に分配するベースはあくまで市場での競争にある。ただそこで敗れた人をどのように救済するかが重視される」(前掲)

全くその通りだと思います。そして米国が冷酷な資本主義に行き過ぎていたのも事実だと思います。しかし日本は米国とは事情が全く異なります。日本経済の最大の問題点は、政官財癒着とそこから生じる利権の構造が、「限られた資源を効率配分し、公正に分配するベ市場での競争」が阻害されている点にあります。

経済学者やエコノミストは、時の権力者にいいように利用されないように、細心の注意を払うべきだと思います。政治に関わるのなら、竹中さんのように政権の中に入り、四方八方から滅多打ちにあう覚悟でやるべきです。

亀井静香氏が、不良債権問題の頃に、リチャード・クーさんのことを「クーちゃん」と呼ぶのをTVで見て、背筋が寒くなったのを覚えています。

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吉永 マクロ経済

スウェーデンモデルの核心-競争重視の福祉国家 湯元健治氏

2009年 9月 18日

・スウェーデン、高福祉ながら競争力も高く
・労働市場は柔軟で政府が転職を積極支援
・受益と負担、国民の選択に委ねる仕組みに

(日本経済教室2009年9月17日29面 経済教室)

【CFOならこう読む】

今日は備忘記録です。

本稿で説明されているスウェーデンモデルがなかなか示唆に富んでいるので要点を以下に抜粋します。

「同国が一般のイメージと異なり倒産も解雇も当たり前に生じる厳しい資本主義競争社会である点にある。
企業は、原材料を調達するのと同じ感覚で労働者を雇用し生産活動を行っている。企業は社会保険料負担が高い半面、労働者には賃金しか支払わず、仕事がなくなれば即座に解雇する。その賃金には日本のような通勤手当も扶養手当も年功序列の昇給も含まれない」

「賃金体系は、連帯賃金政策と呼ばれる政策の下で企業の生産性格差にかかわらず同じ職種なら賃金が同じという「同一労働・同一賃金」が実現している。」

「こうしたシステムは、平均水準の賃金を支払えない生産性の低い企業の整理淘汰を促す一方、平均より生産性の高い企業は超過利潤をもたらし高い国際競争力を生み出している。」

「生産性の低い企業・業種から高い企業・業種に積極的に労働移動を促すことで、産業構造の高度化と人的資本の質的向上が同時に達成できた。その結果、同国は高い国際競争力の下、高い生産性と持続的な経済成長を記録。」

「この高成長によって、税や社会保険料などの高負担と高福祉が可能になった。雇用、年金、医療、育児、教育など国民生活に不可欠の分野で非正規労働者にも漏れのない充実したセーフティーネットが構築され、これが雇用や社会保障など国民の将来不安の解消を通じて内需振興につながる好循環を生み出した。」

「スウェーデンの高福祉を支払える高負担の内訳を見てみよう。法人税負担は26.3%とわが国の39.5%より格段に低いが、企業は赤字でも支払賃金の31.4%もの社会保険料を払っている。日本の3倍近い重さだが、年功序列賃金や退職金負担などがないため、スウェーデン企業の労働コスト(賃金+福利厚生費+税・社会保険料負担)は、意外なことに、日本より若干高いがほぼ同水準であり、国際的に見ても高くない。」

「同国の高福祉を支える大黒柱は、個人所得に平均31.4%で課される比例的な地方所得税と税率25%(原則)の付加価値税であり、この2つで国民負担の過半を占める。」

「日本では税や社会保障は、所得配分の仕組みととらえられているのに対し、スウェーデンでは、税はすべての国民が普遍的に受ける受益の対価、社会保障は人生の局面で誰もが直面する失業などのリスクに対する備えと位置付けられている。」

「厳しい競争の結果出てくる失業者に対し、積極的労働市場政策で対応するとの考え方について、当初は人々を従来の生活基盤から切り離し転職を強制する非人間的発想の政策だと批判された。しかし、その後のスウェーデンの現実が評価を一変させた。それは、人々を職歴・学歴の拘束や失業の恐怖から解放する「人間中心」の政策だとみなされるようになったのである。」

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吉永 備忘録 ,

本日の日経経済教室 「財政政策に過大な期待抱くな」谷内満早稲田大学教授

2009年 3月 27日

世界金融危機は各国経済を深刻な不況に陥れ、各国政府は不況克服のため積極的な財政政策に取り組んでいる。金融政策面で一段の緩和余地はなくなってきており、財政政策が頼みの綱になっている。減税をしても、消費心理が萎縮する現状では消費は増えないと考えら、政府支出の大幅拡大への期待が高い。
今回のような深刻な金融危機が起きた場合、金融システム崩壊を防ぐため、金融機関への大胆な政府介入が必要である。だが残念ながらいったん不況になると、経済を短期的に浮揚させようとしても政府にできることは限られる。
戦前の大恐慌では、ニューディール政策の積極財政が有効だったという考え方が浸透している。だが現実には、当時の財政出動の規模は小さく、政府支出の増加はGDP比2-3%程度にすぎなかった。また早稲田大学の若田部昌澄教授によれば、英国はほとんど財政出動なしに大恐慌を脱出した(本欄昨年11月3日)。他方、日本では1990年代の塁次の景気対策で、政府支出はGDP比7%以上も拡大したが、効果はなく、経済は長期低迷した。

(日本経済新聞2009年3月27日 27面 経済教室)

【CFOならこう読む】

積極財政の効果を懐疑的にみる経済学者が数多くいることが本欄で紹介されています。

それもバロー、ルーカス、サージェント、ブキャナン、ベッカー、プレスコット、マンキュー、テーラーといった蒼々たる顔ぶれです(一方、財政刺激策に賛成なのは、サマーズ、ステグリッツ、アロー、フェルドシュタイン)。

谷内教授の実証分析でも、「公共投資拡大の効果はないか、あったとしても非常に小さい」という結果が出ているそうです。

「財政出動に効果があまりないとしたら、政府は何をすべきなのか」
「日本の法人所得課税は先進国でいちばん高い。法人税率を引き下げ、民間企業の活力を高めることが重要である。今回の不況で赤字転落の企業が多いので、法人税を減税しても意味がないと考える人がいるかもしれない。だが報道などで紹介されているように、この不況下でも利益をあげている元気な企業はある。また、企業業績が好不況にあまり左右されない業種も多いので、不況の今でも法人税減税は、経済活性化に役に立つ」
(本稿より抜粋)

さらに言うなら、法人税減税が呼び水となって多くの外国企業が日本を拠点にしてもらえれば良いと私は思います。

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吉永 マクロ経済 ,

日経平均バブル後最安値 経営者・財務担当者に聞く

2009年 2月 25日

24日の東京市場で日経平均株価が大幅に続落、一時バブル崩壊後の最安値を下回ったことを受け、上場企業の経営者・財務担当者に緊急アンケートした。個人消費や設備投資の一段の減退など実体経済への悪影響や、有価証券評価損の拡大を懸念する声が多かった。政府に対しては早期の景気対策実施の要望が多く、「政治の安定」を求める意見も聞かれた。

【CFOならこう読む】

以下政策への要望の抜粋です。

有馬雄造 東ソー常務
雇用対策を含む景気対策が待ったなし

磯部任 アマダ取締役
具体性のある経済対策

市川晃 住友林取締役
対策に統一感がなく政治の混迷解消が必要

河添誠吾 マルハニチロ常務
株価対策より根本的な景気対策が必要

小島達成 浜ゴム専務
資金供給より政治の安定が最大の株価対策

杉内清信 新日鉱HD取締役
大規模かつ有効な景気対策の早期の実行

西尾進路 新日石社長
社債買い取りなど資金調達の潤滑化が必要

原田康彦 資生堂取締役
雇用安定などセーフティーネットの整備

広瀬博 住友化副社長
予算編成を早期に進め、景気対策を

古元良治
金融不安の抜本的解消策を素早く

景気対策を求める声がほとんどで、このブログで何度も指摘しているように、日本の輸出立国モデルが崩壊し、古い産業構造の存続がもはや不可能になっていることを認識している経営者は皆無です。

株価下落の理由が、日本経済の本質的問題に根ざしているものである以上、目先を取り繕うだけの対策に意味はありません。

今必要なのは、内需拡大と次世代を担う産業の育成です。
いずれも日本人だけで大きな成果を出すことは不可能です。

ヒト、モノ、カネを広く世界に求めるべきです。
目指すは経済大国ではなく、経済開国です。

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吉永 マクロ経済