外国為替市場で、企業の海外子会社が日本へ利益や配当金を送る動きが活発化し、円高圧力が強まるとの見方が広がっている。2009年度の税制改正で配当金の課税が免除されたため、年度末の本決算に向け、海外の置いていた資金を国内に送金する動きがすでに出ている。
(日本経済新聞2010年1月19日15面)
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「決算期末が近づいていることに加え、足元で送金額の増加傾向が強まっている(メリルリンチ日本証券の藤井知子氏)ためだ。国際収支統計によると、2009年11月の海外子会社からの配当金の送金額は1069億円。前年同月比で119%増となり、2007年10月以来、約2年ぶりの伸び率となった」(前掲紙)
今年度中に送金する金額が決まっている企業については、円高に備え為替予約等によりヘッジを行う必要があるでしょう。しかし、国内において新規の投資案件が目白押しという状況にはない現状を鑑みると、大きく円高に振れるほどの影響はないように思います。
「国内の低金利が続くなかで、現金を円で保有することは決して得策ではない(三菱UFJ銀行の平井邦行氏)として海外での再投資に回す動きが優勢になるとの見方もある」(前掲紙)
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原油価格が再び騰勢を強めている。ニューヨーク原油先物相場は4日に1バレル81ドル台を付け、終値で1年3ヶ月ぶりの高値を付けた。世界的な景気回復期待が背景にあり、金、穀物など商品相場にマネーが流入している。
(日本経済新聞2010年1月6日 3面)
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「ニューヨーク市場のWTI原油の4日終値は昨年12月31日と比べて2.15ドル高い1バレル81.51ドル。8営業日連続で上昇した。5日の時間外取引でも一時、82ドル近くまで上げた」
(前掲紙)

WTI原油先物価格チャートより
「金や穀物など主要な商品も軒並み上昇。国際商品の総合的な値動きを示すロイター・ジェフリーズCRB指数は4日、前日比5.96ポイント高の289.34と1年3ヶ月ぶりの高水準となった」(前掲紙)
世界的な景気回復期待というより、金融緩和によりマネーがまたもやだぶついているのでしょう。投機マネーは新たなバブルを生みます。
CFOとしてはヘッジの見直しを行う必要があるかも知れません。
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収益環境や経営の価値観が変容するなか財務も対応を迫られる。シリーズ第3部では新たな枠組みの模索を追う。1回目は揺れるドルや通貨の多様化など為替対応。
(日本経済新聞2009年12月16日17面)
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下表は1円の円高で利益が減少する金額を5年前と比較したものです。

(日本経済新聞2009年12月16日17面)
ソニーが50億円減らしています。
「ここ15年ほどの対応で大手家電の一部では生産・調達の海外移転によるコストのドル化が進み、いまでは対ドルについては円高対策に「ほぼメドが付いた」
(ソニー)」(前掲紙)
「ソニーはゲームなど、海外に生産委託している一部の製品に、円高・ドル安がむしろプラスに働くものがある。アジアで製造・調達する製品・部品などをドル建てで仕入れ、その金額がドル建ての売上より多くなっているからだ。」(前掲紙)
一方ユーロの影響は相対的に大きくなっています。
「ユーロの国際通貨としての機能が限定的で、ユーロ建てのコストを増やさないことが背景にある。」(前掲紙)
記事は、人民元の動向に対する対応が中長期の課題であるとしています。
しかし上がるか下がるかわからない、ドルやユーロとは違い、人民元は将来的には切り上がると思われます。従ってこれは為替対策というより、生産地選択の問題です。
ソニーの場合、「もの作りと通貨の関係を固定せず、機動的な調達・為替対応が可能になる生産戦略」(前掲紙)をアセットライト戦略と呼び、これにより中長期の元高
に対応しようとしており、参考になります。
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「為替予約の損失は本業には影響がない」と言うのは青山商事の青山理社長。中国などから紳士服を仕入れる際の為替変動リスクを回避するために長期l為替予約を結んでおり、円高になれば輸入コストが減るはずだった。しかし、想定以上に円高が進んだことでデリバティブ評価損36億円を計上。4〜9月期は19億円の最終赤字になった。
(日経ヴェリタス2009年11月15日14面)
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青山商事の為替予約の概要は次の通りです。
「当社の仕入については、その大半が海外からの仕入れとなっているため、常に為替変動リスクに晒されており、そのリスクをヘッジする目的で平成14 年および平成19 年に、6つの金融機関との間で、期間10 年から12 年の包括的長期為替予約契約(クーポンスワップ契約)を締結し、現在実行中であります。なお、平成21 年9 月末時点において、残りの契約期間は、長いもので8 年6 ヶ月、短いもので2 年6 ヶ月となっております。
また、平均契約為替レートは102 円程度であり、予約金額は、年間平均約1 億ドルと、当社の海外からの年間仕入総額の2 割程度であります。」
(2009年11月4日 デリバティブ評価損計上及び業績予想の修正に関するお知らせ)
クーポンスワップは一般的に行われている長期の為替予約の手法です。日米の金利差分だけ有利なレートでヘッジすることができるので、何か得をしたような気にさせられますが、実態は高い手数料を払ってドル建て債券に投資しているのと変わりません。
会社はこの為替予約について時価会計で会計処理されているため、ポジションから生じる未実現損益すべてをPLに計上しなくてはなりません。しかし仕入はまとめて行うわけではないので、損益に歪みが生じています。
契約金額が年間仕入の2割程度であるならその実行はほぼ確実であり、時価会計でなくヘッジ会計を採用する方が会社の業績は正しく示されるように思うのですが・・・。
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2009年11月4日「デリバティブ評価損計上及び業績予想の修正に関するお知らせ」青山商事
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「今後、契約の破棄は考えていないのか」−。
第一三共が4~6月期決算発表後に開催した電話会議ではアナリストから厳しい声が飛んだ。やり玉に挙がったのは昨年買収したインドの製薬最大手ランバクシー・ラボラトリーズが金融機関と結んだデリバティブ契約だ。
ランバクシーは将来のドル建て輸出に備え為替リスク軽減のための長期契約を結んだが、インドルピー相場の急変で1~3月期は230億円の為替差損が発生。4~6月期には一転、200億円弱の差益が出るなど、為替に業績が振り回される状況が続いている。
(日本経済新聞2009年9月3日15面)
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「トレーダー、デリバティブ、そして金」(サティアジット・ダス著 エナジクス)は、リスクヘッジを行うことにより、企業が大きな損失を被ることがある、ということを次のように説明しています。
「企業はリスクを減らすことに執着しているが、そうではない時もある。1980年代までヘッジ方法には限界があり、企業は金融リスクを抱えて生きていた。会社の会長は、ドルの切り下げさえなければ良い利益が出せただろうと立ち上がって公言したものだ。通貨の切り下げは神の行為で、全くところ管理できるものではない。デリバティブとは、企業がヘッジをできるようになったということである。
財務部門が設けられて、リスクを減らす仕事が与えられた。問題はデリバティブでリスクを完全に取り除くことができないというところにある。
例えば航空会社を経営していると仮定しよう。
その場合、そのままでは石油についてショートポジションにある。つまり、航空機を飛ばし続けるための石油を購入する必要があるということだ。
もし石油価格が上昇すれば、コストが上がって会社は負けだ。もし石油価格が下がればコストが下がって会社の勝ちとなる。
航空会社の石油価格のリスクを管理するために、次の選択を持つ。
1「何も手を打たない」
石油価格が下がるのであれば最良の選択だ。石油価格の低下は航空会社のコストを下げる。石油価格が上昇した場合、悪い選択となる。
2「石油の先渡しを買う」
これで石油の購入コストは確定する。石油価格が上昇した場合、最善の選択だ。もし石油価格が下がった場合、航空会社は確定させてしまった高い石油価格のために、悪い選択となる。
3「コールオプションを買う」
石油価格の変動が大きい時、最善の選択となる。もし価格が上昇したならば、コールオプションを行使して事前の契約価格で石油を買う。一方、もし石油価格が下がったらオプションを行使しない。オプションの契約価格より安い市場価格で石油を買うだけだ。問題は、オプション料を払う必要があるということだ。このことは、石油価格の変動が、上下どちらの方向でも支払ったオプション料より大きいことが必要であるということを意味する。
4「プットオプションを売る」
これもヘッジの一種と言える。この場合は、石油価格が変動しないのが最良である。航空会社はオプションを売りオプション料収入を得る。これは石油購入コストの低減分と見なすことができる。だが石油価格が大きく変動するとプットオプションは役に立たない。石油価格の上昇はそのまま航空会社に跳ね返る。石油価格の下落では、ディーラーはオプションを行使するため、航空会社はマーケットより高い価格でオイルを買うことを強いられる。
石油価格がどうなるか分からないとヘッジもできない。価格は上がるのだろうか下がるのだろうか。変動幅はどのくらいだろうか。そもそもヘッジはリスクを減らすためではなかったか。なぜ価格がどうなるかを分かっていなければならないのか。価格がどうなるかを知る必要を省くためにヘッジをしているのではないか。
企業の財務担当者、会計士やその類いの人たちは、「分かっていることが分かっている」ことに関しては安心していられる。ヘッジとは「分かっていないことが分かっている」ことについてのものだ。あるいは「分かっていないことが分かっていない」ことについてか。これはリスキービジネスだ。本当の嘘である。
どのヘッジの選択肢も非現実的である。オプションは選択肢から除外できる。オプションを買うのにプレミアムを払うのは無駄であるし、オプションを売るのはギャンブルだ。何もしないか先渡しを買うかのどちらかだ。
何もしないことに利点はある。企業では何かを委託して失敗した場合、何もしないで失敗する場合よりも厳しく罰せられるからだ。
先渡しを買うのは多分ベストである。なぜなら確実性を買って、費用は何もかからない。
正しいか?
間違いである!
先渡し取引にはコストあるいは利益がある。現在価格と先渡し価格の差額だ。もし石油価格が100ドル/トンで先渡しの価格が110ドル/トンだとすると、先渡しのコストは10ドル/トンである。利益を出すには少なくとも10ドル/トンの石油価格の上昇が必要である。ここにコストがある。
先渡し契約は確実性を保証するものだろうか。航空会社の石油価格は固定されるが、それで問題は解決されたわけではない。自社はヘッジしているが競争相手はヘッジしていないと仮定する。もし石油価格が下がったとすると、自社の石油コストは固定されているが、競争相手は低くなった石油価格で利益を得る。
もし競争相手が運賃を引き下げたらどうなるだろう。自社は固定された石油価格で動けず、運賃引き下げの余裕はない。運賃を下げて出血を続けて死ぬか、それともそのまま高い運賃で出血を続けて死ぬことになる。
運賃を下げれば収入は減るがコストは変わらない。もし運賃を下げなければ、顧客は安い運賃の競争相手を利用するであろう。ヘッジすることは確実性を提供する。確実に死ぬという確実性だ。
会社の財務担当者は幸せだ。完全にヘッジされている。問題は航空会社が死んでしまうことだけだ。」
何故ヘッジするか?
コーポレートファイナンスのテキストには、倒産を避けるためと書かれています。
ヘッジをして倒産することになるとしたら、これぞ本当の嘘!!
こんな議論を来年のCFO Vision Conferenceでやるつもりです。

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金融危機を受け、市場規制の全面的な見直しが急務となっている。従来の規制はなぜリスクを見逃したのか。各国が進める規制改革はどんな方向を目指すべきか。ウォール街で長年、リスク管理の責任者を務めたリチャード・ブックステバー氏に聞いた。
(日経ヴェリタス2009年8月9日16面)
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記事は今後の金融規制の方向性を示しています。
-金融危機の原因をどう分析しますか?
「原因はレバレッジ、そしてリスクの不透明さです。」
-従来の規制は何が問題だったのでしょう。
「米連邦準備理事会(FRB)や米証券取引委員会(SEC)などの監督官庁は、役割を果たしています。問題は、個別の金融機関ごとのリスク監視に傾斜しすぎていたことです。
個々の金融機関のリスク管理に問題がなくても、全体では危険な状態ということがあります。皆が同じ種類のリスクを取っている時です。」
-どう防げばよいですか。
「市場の混雑度合いを監視する必要があります。米国の規制改革にも盛り込まれたシステミックリスク・レギュレーターの考え方です。」
-具体的な方法は。
「まず市場に出回るすべての金融商品にタグを付けます。金融機関は保有資産のタグの情報を毎日、監督当局に送信します。レギュレーターはそれらの情報を毎日、監督当局に送信します。レギュレーターはそれらの情報を総合し市場のリスク分布を常に把握します。」
-そうしたやり方は法的・技術的に可能なのですか。
「FRBには既に、銀行に義務を課す権限を持っています。ヘッジファンドと保険会社に対しては権限がないので、法的な対応が必要です。システミックリスクの監督は計算機でデータを分析するだけの単純な仕事です。リスクマネジメントの知識を持つ人材が数十人いればできるはずです。」
こういった規制は米国一国だけでできる話ではないでしょう。安全保障と同様に世界中の協力が必要不可欠です。そうするととても数十人でできるような代物ではないでしょう。
データを分析するのが重要な仕事なわけではなく、分析結果に基づきいかに個別の金融機関を規制するかが重要であるはずです。
しかしその仕事は簡単なものではないでしょう。
-とはいえ、金融機関は利益率の高い複雑な商品をつくろうとします。
「経営者は4半期業績を考えてリスクを取るようになり、5年、10年先を考えた経営をしなくなりました。致命的なリクスを抱えても、先のことは関知しないのです。金融工学を批判する声もありますがモデルをどう使うかは経営の問題です。」
その通り経営の問題です。
そしてコーポレートガバナンスの問題です。
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主要銀行8グループの09年4~6月期連結決算が31日出そろった。債券売買益の大幅増に加え、今春以降の株価回復で保有株の損失処理が減り、みずほフィナンシャルグループ(FG)を除く7グループが最終(当期)黒字を確保した。ただ、8グループ合算の最終利益は前年同期比35・8%減の2312億円と利益水準は低い。
(毎日.jp 2009年8月1日)
【CFOならこう読む】
「CDSとは融資先企業の倒産に備えた一種の保険で、買い手が一定の保険料を支払う代わりに、対象企業が倒産した場合には売り手が元本を保証する仕組み。金融危機が深まる前には米国の大手投資銀行や保険会社が売り手となり、多くの金融機関などがCDSで購入。大手邦銀も主に貸し倒れに備える保険目的でCDSを買っていた。
邦銀の貸出金のうちCDSで手当てされている分は、実際に企業が倒産して回収不能になってもCDSの売り手が保証してくれることになっている。このため基本的に損失にはつながらない。
やっかいなのは、CDSの価値が企業の倒産確率によって大きく変動する点だ。対象企業が倒産する恐れが高まれば価値は上がり、倒産確率が低下すれば価値は逆に下がる。
保有するCDSの価値が変動した場合には、銀行は会計上のルールで評価損の計上を迫られる。金融危機を境に、このルールの適用は世界的に厳しくなった。」
CDSの買い手は、信用リスクをヘッジする目的でCDSを購入するわけです。ヘッジ対象である債権の評価がCDSと同様に金融工学的に行われるなら、CDSとヘッジ対象がともに時価評価されるので、CDSの評価益と債権の評価損が相殺されることになるのですが、債権の評価損はデフォルト時にいっきに認識される場合が多いため、CDSを時価評価しても
ヘッジの効果が財務諸表に適切に反映されるとは限りません。
つまり、コトが起こらなければ、CDSの価値はいずれゼロになるのです。
CDSの評価損というと大きな問題であるかのように聞こえますが、保険料であると考えれば、いずれにしても費用化されるべきものなのです。
デリバティブの会計基準は、時にヘッジすること自体が悪いことであるかのような誤解を財務諸表に与える場合があるので、留意する必要があります。
もちろんリスク管理の巧拙はきちんと評価されなければならないのは当然です。
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価格下落を享受できず 相次ぐデリバティブ損失(上)
為替や原油相場の急変動を受けて、デリバティブ取引で損失を計上する企業が相次いでいる。本来は価格変動によるリスクをヘッジするためのデリバティブ取引で、なぜ多額の損失が出るのか、その背景を探る。
(日本経済新聞2009年3月3日12面)
【CFOならこう読む】
記事では商船三井のケースが紹介されています。
商船三井は昨年夏以降の燃料価格の下落局面で、価格上昇をヘッジするための先物商品を金融機関から購入したが、燃料価格下落で約130億円の損失が発生。コンテナ船事業は2009年3月期に150億円の経常赤字に陥る見通しだとのことです。
これに対し、商船三井の芦田社長は、
「ヘッジ取引に失敗しなければコンテナ船事業は赤字が少なくて済んだはずだ」
と話したそうです。
しかしこの発言はヘッジの本質を理解しない不適切なものであると私は思います。
企業はなぜヘッジをするのか?
多くの事業において、保険やヘッジは金を稼ぐためではなく、リスクを減らすために行われる。それでは、なぜ、わざわざこのような方法によりリスクを減らそうとするのだろうか。まず、これによって財務計画を立てることが簡単になり、現金が不足するという困った事態に直面する可能性が減らせるということがあろう。
(「コーポレトファイナンス」リチャード・ブリーリー スチュワート・マイヤーズ著 日経BP社)
企業はどうしてデリバティブを利用するのだろうか。答えは、デリバティブが企業のリスク・エクスポージャーを変えるための道具であるからである。かつてある人が、ファイナンスにとってのデリバティブは、外科技術にとってのメスである、といった。デリバティブを用いることにより、企業はリスク・エクスポージャーの望ましくない部分を切り捨て、さらにエクスポージャーを違うかたちに変換することもできる。
(「コーポレートファイナンスの原理」ステファン A. ロス他 金融財政事情研究会)
商船三井は、原油価格の高騰という望ましくない部分を切り捨てるためにヘッジ取引を利用したのです。結果として割高な価格で燃料費を固定化することになったとしても、リスクエクスポージャーを減らすという判断は間違っていたわけではありません。ヘッジ手段であるデリバティブ部分から利益を出なければ、そのヘッジは失敗であるということになるなら、それはデリバティブを投機手段として用いるのと大差ないことになります。
少なくともリスク管理責任者であるCFOは、利益を出すためではなくリスクエクスポージャーを減らすためにヘッジするのですから、結果的にデリバティブ部分から損失が出ても責めを負うべきではありません。
そうでないと、マーケットの上がり下がりを賭けることが仕事になってしまいます。
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株価指数オプション市場でプットオプション(売る権利)の建玉が増加している。日経平均オプションでみると権利行使価格で6000円台での増加が鮮明で、この水準が下値のメドとして意識されつつあるようだ。投資心理を映すボラティリティー指数も上昇傾向。年度末を控えて、市場参加者は先行き警戒感を強めている。
(日経ヴェリタス2009年1月18日24面)
【CFOならこう読む】
日経平均プットオプション 3月12日が最終売買日の日経平均3月物建玉(1/16時点)
権利行使価格6500円 1万3034枚(前週末比17%増加)
権利行使価格6000円 1万1835枚(前週末比20%増加)
3月末を控えヘッジ目的による機関投資家の買いが入っているものと思われます。但し、ボラティリティも1/16時点で53.3%(前週末比8.8%増加)と高い水準にあり、ヘッジのコストも割高になっています。
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