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米国会計基準の年金資産の情報開示

2010年 7月 10日

米国会計基準を採用する企業の間で、年金の運用方針の違いが明確に分かるようになった。新たな開示ルールの適用により、実勢価格を把握しやすい順に年金資産を3つに分類するなど、運用状況をより詳しく説明するようになったからだ。現状では米基準採用の一部の主要企業に限られるが、今後は日本基準を採用するすべての企業にも広がる可能性がある。
(日本経済新聞2010年7月10日15面)

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「2009年12月に終了した決算期から、有価証券報告書で年金の運用資産別の金額やリスク情報などを新たに開示するようになった。」(前掲紙)

ソニーは、公正価値の3段階のレベルを次のとおり定義しています。

レベル1
重要な基礎データが活発な市場における同一の資産・負債の未調整の取引価格。
レベル2
重要な基礎データがレベル1以外の観察可能なデータ。
例えば、活発な市場における類似商品の取引価格、活発でない市場における同一又は類似商品の取引価格、全ての重要な基礎データが活発な市場で観察可能な場合のモデル計算による評価が含まれています。
レベル3
1つあるいは複数の重要な基礎データが観察不能。」

公正価値の階層にもとづく、国内及び海外制度における年金制度資産の公正価値は、以下のとおりです。

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【リンク】

「2009年度 有価証券報告書」ソニー株式会社[PDF]

吉永 会計

丸山製作所、キャッシュバランス型の確定給付年金を7月1日に導入

2010年 6月 9日

丸山製作所は8日、長期金利の利回りによって給付利率が変動する「キャッシュバランス型」の確定給付年金を7月1日に導入すると発表した。
(日本経済新聞2010年6月9日15面)

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丸山製作所は、65歳定年制を段階的に導入することを決定し、これにより増加する総人件費を抑制するために、退職金制度を改定することにしました。

あたらしい退職金制度の概要は次の通りです。

1.、キャッシュバランス類似型の確定給付企業年金へ移行
給付利率については10 年国債の過去5 年平均利回りにより利率を変動させる。ただし給付利率の上限は4.5%、下限は1.5%。退職金制度の約60%を確定給付企業年金に移行し、残りの約40%は一時金支給とする。

2.退職給付水準の変更
現行の退職金・企業年金制度に比べて20%程度給付水準が低下

「60億円強ある退職給付債務は、15億円程度減る見通しだ」(前掲紙)

これについては、会計基準変更時差異の残存費用処理期間5 年と概ね合致させ、平成22年7月から平成27年6月までの5 年間にわたって按分(費用の減少)処理されるとのことです。

【リンク】

2010年6月8日「定年退職年齢の延長と退職金制度、退職年金制度の改定 及び退職給付債務の減少について」株式会社丸山製作所[PDF]

吉永 会計

IFRSの強制適用、企業財務担当など8割が賛成

2010年 4月 9日

企業の財務担当者やアナリストらの8割がIFRS適用に賛成ー。大和総研の調査で、上場企業に対するIFRSの強制適用に前向きな関係者が多いことが分かった。反対は1割にとどまっており、日本でもIFRS導入は不可避との認識が広がっていそうだ。
(日本経済新聞2010年4月9日13面)

【CFOならこう読む】

このニュースのソースは大和総研が2010年3月25日に公表した、国際会計基準導入に関するアンケート調査結果です

「金融庁は2015年~2016年に強制適用の可能性を示唆しているが、企業の財務担当者の76%、市場関係者の81%が強制適用に「賛成」と答えた」(前掲紙)

これを見る限りほとんどの関係者が強制適用に無条件に賛成しているように見えますが、実はそうとも言えません。この質問は次のようなものです。

2009年6月に企業会計審議会が公表した今後のスケジュールでは、2012年前後に、上場企業に、国際会計基準を強制適用するか否かを決定することとしています。強制適用することについて賛成です
か?

(a)上場企業に適用を強制することに賛成である

(b)賛成だが、適用対象をもっと広げるべきである(非上場の有価証券報告書作成企業、非上場の金融機関・保険会社・証券会社、会社法上の大会社など)

(c)賛成だが、適用対象をもっと狭めるべきである(海外で資金調達・事業を行なっている企業に限る、一定規模以上の上場会社に限る、新興市場を除外するなど)

(d)反対である

(e)わからない

(f)その他

この質問のアンケート結果は次の通りでした。

財務諸表作成者 財務諸表利用者
(a) 20% 32%
(b) 21% 30%
(c) 35% 19%
(d) 11% 8%
(e) 13% 10%
(f) 0% 1%

約8割と言っている中に(c)が含まれています。財務諸表作成者だけを見ると(c)が35%と一番多いのです。

つまり諸手を挙げて強制適用に賛成している人が8割いるわけではないのです。この点はミスリードにつながりかねないところで、とても重要であると私は思います。

【リンク】

2010年3月25日「国際会計基準導入に関するアンケート調査結果」大和証券[PDF]

吉永 会計 ,

包括利益、正式決定先送り

2010年 4月 7日

国際会計基準との共通化に伴い導入される新しい利益項目の「包括利益」を巡る議論が長引いている。日本の企業会計基準委員会(西川郁生委員長)は今年3月末までに包括利益に関する会計基準を決める方針だったが、単独財務諸表での開示に企業が難色を示したため、6月末まで決定を先送りすることにした。
(日本経済新聞2010年4月7日15面)

【CFOならこう読む】

「包括利益の表示に関する会計基準」の公開草案は包括利益及びその他の包括利益を次のように定義しています。

・「包括利益」とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう。当該企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主のほか当該企業の発行する新株予約権の所有者が含まれ、連結財務諸表においては、当該企業の子会社の少数株主も含まれる。

・「その他の包括利益」とは、包括利益のうち当期純利益及び少数株主損益に含まれない部分をいう。その他の包括利益は、個別財務諸表においては包括利益と当期純利益との間の差額であり、連結財務諸表においては包括利益と少数株主損益調整前当期純利益との間の差額である。連結財務諸表におけるその他の包括利益には、親会社株主に係る部分と少数株主に係る部分が含まれる。

そして包括利益の計算は次の方法によることを指示しています。

・個別財務諸表においては、当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を計算する。

・連結財務諸表においては、少数株主損益調整前当期純利益にその他の包括利益の内訳項目を加減して包括利益を計算する。

「公開草案は連結、単独ともに包括利益の開示を求めているが、企業側は「作業負担が重い」(日本経団連)という理由で単独での開示に難色を示している」(前掲紙)

より本質的な問題として、単独財務諸表の開示が必要であるのかということがあり、これを徹底的に議論しないといけないでしょう。

その結果単独財務諸表の開示も必要であるということになるなら、単独財務諸表で包括利益の開示が不要であるという理屈は通らないと私は思います。

【リンク】

2009年12月25日「企業会計基準公開草案第 35 号 包括利益の表示に関する会計基準(案) 」企業会計基準委員会[PDF]

吉永 会計 ,

JXホールディングス、負ののれん1800億円

2010年 4月 2日

新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合し、1日付で発足したJXホールディングスは、2011年3月期の連結純利益が2700億円になりそうだと発表した。両社がそれぞれ出していた前期推定値の合計(590億円)と比べて4.6倍に伸びる。統合に伴う「負ののれん」約1800億円を特別利益に計上するため。
(日本経済新聞2010年4月2日15面)

【CFOならこう読む】

「今回の統合は会計上は新日石が新日鉱HDを買収する形になる。3月末の株価水準では買収価格が時価純資産を大きく下回るため、「負ののれん」として約1800億円を見込む。2011年3月期からM&Aに関する会計基準が変わり、負ののれんが生じた場合は統合した時点で特別利益に一括計上する必要がある」(前掲紙)

平成22年4月1日以降実施される企業結合から適用される新しい企業結合に関する会計基準では、負ののれんを従来の規則償却から一括特別利益計上に変更しています。

その理由を110項で次のように説明しています。

「識別可能資産の時価の算定が適切に行なわれていることを前提にした上で、負ののれんの発生原因を認識不能な項目やバーゲン・パーチェスであると位置付け、現実には異常かつ発生の可能性が低い
ことから、異常利益としての処理が妥当であると考えるものである」

PBR1倍割れであるなら負ののれんが生じる可能性があるわけですが、現在の日本の状況では、PBR1倍割れが以上かる発生の可能性が低いとは言い難くこの説明には無理があるように思います。

むしろIFRSがこの処理を採用しているから、コンバージェンスのためこのように変更せざるを得なかったというのが本当のところでしょう。

それではIFRSは何故負ののれんを一括で特別利益に計上することを求めているのでしょうか?
それはIFRSの負債の定義に、この負ののれんが当てはまらないからです。

何とも頭でっかちな話です。

但し新会計基準33項に記載されている次の項目は非常に重要であり、十分に斟酌する必要があると考えられますのでご留意ください。

「(1) 取得企業は、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が切に行なわれているかどうかを見直す。

(2) (1)の見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する」

【リンク】

2010年4月1日「平成23年3月期の業績予想について」 JXホールディングス株式会社

吉永 会計 ,

マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報の開示

2010年 3月 26日

主なポイント
・経営者が意思決定に用いる区分の開示に
・事業ごとに資産やのれん、減価償却費用の開示も
・営業利益や経常利益以外の利益開示も可
実施時期:2010年4月から強制適用
(日本経済新聞2010年3月26日16面)

【CFOならこう読む】

新基準によるセグメント情報は、取締役会が配分すべき資源に関する意思決定や、業績を評価するために、その経営成績を定期的に検討する区分での開示が必要となります。

これはマネジメント・アプローチと呼ばれ、US-GAAP、IFRSではこの方法によりセグメント情報を開示されています。

マネジメント・アプローチには、投資家が経営者の視点で企業を見ることにより、経営者の行動を予測し、その予測を企業の将来キャッシュフローの評価に反映することが可能になる、という長所があります。

一方、マネジメント・アプローチに基づくセグメント情報は、企業の組織構造に基づく情報であるため、企業間の比較が困難になるという短所が指摘されています。

しかし、財務会計の概念フレームワークでは、財務諸表利用者の意思決定との関連性は、比較可能性の確保に優先すると考えられており、マネジメント・アプローチによるセグメント情報を開示することとなっています。

【リンク】

なし

吉永 会計

「世界標準」の呪縛を解く時

2010年 3月 16日

オバマ米大統領の新金融規制案(ボルカー・ルール)は、金融のビジネスモデルに修正を迫るものとして議論を呼んでいる。国際会計基準(IFRS)を巡る問題も、米欧政府が慎重な姿勢に転じて足並みが乱れてきた。これらはリーマン・ショック後のパラダイム転換に伴う「グローバルスタンダード(世界標準)の変化を予感させる動きだ。
(日本経済新聞2010年3月16日17面 一目均衡)

【CFOならこう読む】

「金融がもうからない産業になるのが問題なのではない。ボルカー・ルールは欧州の銀行・証券兼営の伝統的モデルとは相いれず、金融システムの米欧二制度体制に戻ることを意味する。「原則自由」で金融市場を最大活用する米国には必要な規制が。「原則禁止」で市場の活用に禁欲的な欧州にも必要とは限らない。
世界を単一モデルと単一規制で覆う一極集中型世界標準の時代の終焉である。経済の国際化、市場化、金融化が促す会計基準の統合も、世界は国ごとに制度も企業の実態も異なる現実を踏まえた柔軟な対応が必要になる」(前掲紙)

特に会計は言語と同様その国の特性の一つを形作るもので、世界が一つになればそれで良いというものでもありません。以前このブログでも取り上げましたが、亀井静香金融担当相の昨年10月9日の会見の以下のコメントに私は同意します(その後亀井氏はこの発言を取り消したと聞いていますが)。

「国々にはそれぞれの営みがある。会社経営も、それに合った形でやればいい話だ。今でも米国とか欧州はそうだろう。違うのはある面で仕方がないことだ。日本だってそう。日本の経営は、やはり日本の実態に合った形で、会計基準も適用していくべきだ。」(週刊エコノミスト 2009年11月3日特大号)

その後亀井氏はこの発言を取り消したと聞いていますが、重要なことは他国との間の差異がきちんと示されていることです。そのためにはIFRSをきちんと理解した上で、コンバージェンスできる部分はしっかりやることが必要だと私は思います。

【リンク】

なし

吉永 会計

退職給付引当金、積み立て不足一括計上へ

2010年 3月 12日

上場企業が社員の年金や退職金の支払いに備えて積み立てるべき額の不足分に関する会計処理が大きく変わる。2012年3月期から積立不足額を全額、負債として計上する。会計基準の国際化に伴う措置で多額の積み立て不足を抱える企業は自己資本が減少して財務が悪化する。企業年金の給付水準や資金運用手法の見直しにつながる可能性がある。
(日本経済新聞2010年3月12日1面)

【CFOならこう読む】

IFRSとのコンバージェンスの一貫としての改正です。

IASBは、数理計算上の差異について、すべてを費用として当期純利益に反映させることで合意していましたが、11月会議においてこの方向性をとりやめ、その他の包括利益(OCI)に計上することで合意されました。

「11月会議では、遅延認識に係る選択肢を廃止し、即時認識する場合の方法に関し、包括利益計算書の「その他の包括利益(OCI)のセクションに、年金の再測定を表示しなければならないことを公開草案で提案することで合意している」
(週刊経営財務 No.2945 2009年12月7日 6頁)

公開草案を見ていないので、改正の詳細はわかりませんが、同様の改正が行なわれるものと思われます。

今日の新聞記事では、資本への影響という意味で繰延税金資産についても言及されています。

「実際には将来支払う税金分を調整する手続きが生じる。50億円は将来の費用とみなされる。実効税率40%を前提にすると50億円の40%に相当する20億円が将来、税負担が軽減される分となり繰延税金資産と資本に計上される。
税効果会計では将来、課税所得が見込めないと税金の軽減効果も生まれないため、赤字企業では繰延税金資産を計上できない場合もある」(日本経済新聞2010年3月12日14面)

「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」は、重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社(非経常的な原因により発生したもので、それを除けば課税所得を毎期計上している会社を除く)翌期において税務上損金算入が見込まれる部分のみ回収可能、過去連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社については回収可能性は認められないとの判断指針を示しています。

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なし

吉永 会計

子会社化に伴い連結貸借対照表に計上される無形固定資産 – パナソニック・三洋電機

2010年 2月 23日

パナソニックは三洋電機の子会社化に伴い約4500億円の無形固定資産を計上し、約10年で償却する方針だ。企業年金に関する費用減を考慮しても、営業利益ベースで年350億円程度の利益押し下げ要因となる見通し。両社は2013年3月期に営業利益で800億円の増益効果を引き出す方針。無形固定資産の減益分を補うためにも、電池関連事業の拡大などを早期に実行する必要がありそうだ。
(日本経済新聞2010年2月23日15面)

【CFOならこう読む】

「2009年12月末時点でのパナソニックの総資産は8兆6750億円。昨年12月に三洋電機を子会社化したことに伴い、昨年3月末に比べて2兆2717億円拡大した。資産の増加分のうち、のれん代は約5000億円、三洋電機の特許権や商標権などの無形固定資産は4500億円だった」(前掲紙)

米国会計基準では、子会社化に伴い識別できる無形固定資産を取得日の公正価値で認識します。

資産が識別可能であるためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります(SFAS141R P3K)

「(a) 分離可能要件
企業の意図にかかわらず、企業から分離できる、分割でき、個々にまたは関連する契約、識別した思案、または負債とともに、売却、移転、ライセンス付与、貸付け、または交換できる能力がある資産
(b) 契約・法的要件
権利が移転できる、または企業から分離できるかどうかにかかわらず、契約上またはその他の法的権利から発生する資産」
(「M&Aの会計実務」長谷川茂男著 中央経済社)

具体例としては次のものがあげられます(SFAS141R PA31-56)

「マーケティング関連
・商標、商号、サービス・マーク、共同マーク、認可マーク
・トレードドレス(独自の色、形、パッケージ・デザイン)
・新聞名
・インターネット・ドメイン名
・競業避止契約
顧客関連
・顧客リスト
・受注残
・顧客との契約及び関連する顧客との関係
・契約によらない顧客の関係
芸術関連
・演劇、オペラ、バレエ
・書籍、雑誌、新聞、その他の著作物
・音楽(作曲、作詞、広告ソング)
・絵画、写真
・動画(映画、音楽ビデオ、テレビ番組)
契約関連
・ライセンス、ロイヤリティ
・広告、建設、管理、役務・商品購入契約
・リース契約
・建設許可
・フランチャイズ契約
・営業許可、放送権
・サービス契約(抵当回収契約)
・雇用契約
・利用権(採掘、水、空気、鉱物、伐採)
技術関連
・特許権を得た技術
・ソフトウェア、マスクワーク
・特許権が得られていない技術
・データベース
・企業秘密(秘密の製法、工程、レシピ)」(前掲著)

無形固定資産は、償却無形固定資産と非償却無形固定資産とに分離され、ともに減損テスト実施の対象となります。

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なし

吉永 会計

IFRS9号

2010年 1月 26日

国際会計基準(IFRS)のルール見直しを巡る欧米など多国間の覇権争いが活発になりつつある。金融危機後に20カ国・地域(G20)のお墨付きを得たことで世界の資本市場への影響力が増し、各国の利害調整が一段と複雑になっているためだ。国際基準導入にかじを切った日本はどう存在感を発揮していくべきか。最新動向を追った。
(日本経済新聞2010年1月26日)

【CFOならこう読む】

「欧州連合(EU)は昨年11月にも金融商品会計の新ルール適用先送りを表明。IASBは欧州の催促で金融危機関連のルール見直し作業を急いできただけに、相次ぐ反対姿勢への転換に戸惑いを隠せない」(前掲紙)

適用先送りが表明されたのは、IFRS9号です。

IFRS9号(金融商品:認識及び測定)は、従来のIAS39号に変わり2013年1月1日以降強制適用となる予定です(IFRSを適用している場合)。

IFRS9号のポイントは次の通りです。

・すべての金融資産は、当初認識時に公正価値で測定される。
・金融資産は当初認識後、以下の要件に基づき償却原価又は公正価値のいずれかで測定される。

(1) 企業が金融商品を運用する上で用いられるビジネスモデル
(2) 金融商品の契約上のキャッシュフローの特徴
・金融資産が以下の両方の要件を満たす場合には償却原価で事後測定される
(1) ビジネスモデルは、金融資産を保有し、その契約上のキャッシュフローをを回収するものである。
(2) 金融資産はその契約条件に基づき、特定日に、元本及び元本残金に対する金利のみを表するキャッシュフローを生み出す

・それ以外のすべての金融資産は公正価値で測定される
この場合公正価値の変動を損益で認識することを原則とするが、トレーディング以外の目的で保有する有価証券等を、当初認識時に、その他包括利益(日本基準の資本直入法:当期純利益を通さない。OCIと略されます)を通じて公正価値で測定される区分へ指定することを認めている。この指定は個々の金融商品(銘柄)ごとにできるが後で変更出来ない。その他包括利益で公正価値の変動を認識することを選択した場合には、その金融資産を売却したときに生じる売却損益もその他包括利益に計上される。

要するにこういうことです。

SBは償却原価法により評価する(但し公正価値(損益認識)を選択することも可能)。持ち合い株式は、公正価値により評価するが、公正価値の変動を損益計上するかその他包括利益に計上するか取得時に選択しなければならない。多くの会社は後者を選択するものと思われますが、その場合は売却益を当期純利益に計上できません。

日本のコンバージェンスの動向が気になるところですが、EUの動向を見ながら、ということになるのかもしれません。

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なし

吉永 会計