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Posts Tagged ‘配当政策’

リソー、配当株価に連動

2010年 7月 14日

塾運営のリソー教育は13日、配当政策として株価に連動した「利回り」を目安にする新制度を導入すると発表した。毎年、8月と2月の平均株価の3%に相当する額と、連結配当性向で40%になる額を比べ高い方を支払う。
(日本経済新聞2010年7月14日15面)

【CFOならこう読む】

新配当政策の概要は次の通りです。

「■年間配当金を(1)、(2)のいずれか高い方とします。
(1)今期の1株当たり当期純利益に連結配当性向40%を乗じて算出した金額
(2)第2四半期の最終月である8 月及び通期決算の最終月である2 月の当社終値平均株価に株価配当利率3 .0%を乗じて算出した金額(ただし連結配当性向75%を上限とする)
■第2四半期末は、上記算出の年間配当金の1/2とします。
※ 今期は、既に発表済の第2四半期末85 円、年間170 円を配当金の下限といたしますのでこれを下回ることはありません。
なお配当金は、法定の分配可能額の範囲内で決定いたします。」(リソー教育、新配当方針(「株価連動型配当制度」導入)に関するお知らせ)

確定利率の考え方を導入さした理由を会社は次のように説明しています。

「利率や利回りを基準に投資先を選択される場合に、他商品(国債など)との比較検討が容易になり、当社株式への投資の参考としていただけると考え、投資家の視点に立った投資金額に対する確定利率の考え方を導入しました。」

【リンク】

2010年7月13日「新配当方針(「株価連動型配当制度」導入)に関するお知らせ」株式会社リソー教育[PDF]

吉永 配当政策

逆転する配当利回りと長期金利

2010年 7月 6日

逆転する配当利回りと長期金利。金融危機後の株価低迷と金利低下が進む先進国市場で共通する現象だ。英国の場合、2008年秋に逆転、2009年後半にいったん解消に向かったが、今年5月以降、再び逆転状況に舞い戻った。すでに慢性化している日本のほか、米国、ドイツ、フランス、イタリアなど軒並み逆転か、ほぼそれに近い状態にある。
(2010年7月6日 日本経済新聞 15面 一日均衡)

【CFOならこう読む】

「1958年、米国で起きた「利回り革命」は、株式の成長性を理由に、配当利回りは長期金利よりも低くてもいいと理論づけた。それから半世紀。資本市場の拡大をを支えた議論が大きく揺らいでいる。「逆利回り革命」ともいえる現状は、長期的な成長への信頼の欠如が背景にある」(前掲紙)

これはカネの没落が生じている現象であるように思います。

岩井克人教授は、「会社はだれのものか」(平凡社)でポスト産業資本主義におけるおカネの没落について次のように書いています。

「産業資本主義の時代には、機械制工場を持ってさえいれば、人手は安く雇えたので、ほぼ自動的に利益を得ることができました。ここで、重要なことは、機械設備もモノだし、工場施設もモノだということです。そして、モノを持つためには何が必要かというと、もちろんおカネです。おカネさえあれば、だれでもものを買うことができる。
だれでも機械制工場を持つことができる。産業資本主義では、機械制工場を持ってさえいれば利益を生むことができたということは、おカネさえ持っていれば、最終的に利益を手にすることができたということです。

(中略)

ポスト産業資本主義において、利益の究極的な源泉は、ほかと違った製品、ほかと違った技術、ほかと違った市場、ほかと違った経営手法を開発していく知識や能力を頭の中にたくわえた、ヒトになったのです。そしてそのようなヒトは、おカネだけでは、なかなか会社に来てくれません。たとえ来てくれたとしても、違いを生み出してくれるような仕事をしてくれたとしても、すぐ会社を辞めてしまうかもしれない。たとえすぐには会社を辞めなくても、そのノウハウを仲間や後輩に伝承してくれないかもしれない。ヒトの頭の中は、おカネだけではコントロールできないのです。

ポスト産業資本主義とは、したがって、おカネを持っているだけでは、利益が手に入らなくなった時代ーその意味で、それは、おカネの力が相対的に弱くなってきた時代だと言えるのです」

株式は劣後債券にどんどん近づいているのだな、と今日の記事を読んで思いました。

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なし

吉永 資金調達 ,

経済教室 – 安定配当、株主の利益にも

2010年 6月 1日

宮川寿夫 大阪市立大学専任講師
伊藤彰敏 一橋大学教授
・配当の多寡と企業価値の関係は明確でない
・経営者の裁量奪うとインセンティブも失う
・すべての企業に妥当な配当政策は存在せず

(日本経済新聞2010年6月1日27面)

【CFOならこう読む】

論稿はマイヤーズ教授の外部株主モデルを用い、リターンは株主と経営者の交渉力によって決まることを説きます。

「外部株主モデルは、株式会社は経営者から投入された経営能力など無形資産と、株主から投下された株主資本という双方の投資によって形成されると考える。

株主と経営者お互いが自ら投資したものから創出されるリターンの獲得を期待しているとする。リターンの分配方法は株主と経営者の交渉力によって決定される。
株主は株式の保有比率を背景に、経営者へのモニタリングを利かせることで交渉力を高められるが、あまりに過剰なモニタリングを行なうと経営者のモチベーションを低下させるため必ずしも企業価値の向上は望めなくなる。

(中略)

このような株主と経営者のトレードオフを調整する手段が固定的な配当政策であると主張するのがマイヤーズ教授である。

すなわち経営者が毎期安定した配当を支払い続ける限り、株主の将来配当に対する期待は安定し、株主は現経営者による企業活動の継続を認め、経営への介入を行なわないよう意思決定する。そうした固定的配当政策を継続できる限り、経営者の企業特殊的な人的資本投入のインセンティブが保持される。株主はそうした経営者のインセンティブを活用しながら株主資本コストに見合った投資収益を確保するのである」(前掲稿)

マイヤーズ教授のモデルは米国では適合しても、相対的に経営者の力が強い日本ではうまく当てはまりません。

具体的な投資計画を持たず資金需要が乏しいにも関わらず、キャッシュを貯め込んでいる企業が多いことが問題なのです。
今の日本では経営者のインセンティブを強調するより、株主価値を強調する方が得るべきものが大きいように思います。

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なし

吉永 配当政策

ソフトバンク、子会社株式売却により配当原資を確保

2010年 4月 3日

ソフトバンクは2日、子会社のヤフーなど2社の株式を別の子会社に売却したと発表した。ソフトバンク単独の2010年3月期決算で512億円の売却益を特別利益に計上する。配当原資の確保が狙い。
(日本経済新聞2010年4月3日15面)

【CFOならこう読む】

「売却したのはヤフー株113万2140株(発行済株式の1.9%)と欧州の持株会社の株式。売却先はグループ内の別の持株会社であるSBBMで、内部取引として相殺されるため、連結決算には影響しない」(前掲紙)

ソフトバンクは2008年3月期にも同様の取引で配当原資を捻出しています。持株会社は収益源に乏しく配当原資をこのような形でひねり出す必要がある場合があるのです。

そもそも持株会社の配当財源を単体財務諸表の剰余金に基づき算定することにそもそも無理があるのです。

連結財務諸表により配当可能利益を計算することを認めるべきです。会社法は連結配当規制適用会社となることを認めていますが、これは連結貸借対照表の株主資本等の額が単体貸借対照表のそれを下回る場合にその差額分だけ分配可能額から控除することを認めるもので、単体で配当原資がないが連結ではある場合に連結ベースで配当することを認めるものではありません。

「アメリカの州会社法には、株主への財産分配の限度額を連結貸借対照表に基づき算定するものがあり、この場合、親会社の個別貸借対照表上欠損があっても、親会社と子会社の連結貸借対照表上に分配可能額があればその限度で親会社が株主に対して財産分配ができることになる」
(「株式会社法 第2版」江頭憲治郎 有斐閣 613頁)

以前にも指摘しましたが、日本でも同様の制度が認められるべきであると、私は思います。

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吉永 配当政策 ,

昭和シェル、減配発表で株価急落

2010年 2月 25日

24日の東京株式市場で昭和シェル石油株が商いを伴って急反落し、前日比9.9%安の629円で引けた。前日夕に2010年12月期の年配当を18円と前期比で半減させる方針を表明し、失望売りが膨らんだ。
(日本経済新聞2010年2月25日15面)

【CFOならこう読む】

「朝方から昭和シェル株は売り気配で推移。取引成立後も大引けにかけて売り注文に押された。大幅減配の理由は現在、1000億円を投じて宮崎県で建設中の太陽電池第3工場の投資負担が
今期から本格化するためだ」(前掲紙)

会社は減配の理由を次のように説明しています。

「利益配分に関しましては、当社の経営・財務状況、金融市場動向等を考慮しつつ、株主に対する安定的、かつ魅力的な配分を実現していくことと併せて、企業価値を最大化するために必要な中長期的な成長戦略を実現すべく内部留保の充実を図ることを基本方針としております。
平成22 年度においては、当社グループの成長戦略の柱である太陽電池事業への大型投資を実行する予定であります。これは、当社の中期経営ビジョン「EPOCH2010 ~変化に克ち、未来を拓く~」に基づき、能動的にビジネスモデルを構造的に変えることで、成熟する石油産業の中にあっても、最も高い経営効率を実現することを目的とするものです。
従いまして、中間配当としては1株当たり9 円、期末配当についても1株当たり9 円の年間配当1株あたり18円を予定しております」

つまり、将来の成長のためにいまは株主還元を減らすが、これにより内部留保した資金を新規投資に充てることで株主価値を創造し、将来的に株主に報いると言っているわけです。

従って、この投資が資本コストを上回るキャッシュを創造するなら、株価は下がらずむしろ上がると考えられるわけですが、実際には株価が下がる場合が多く見られます。

高配当政策が支持される現実的な理由として、Stephen A.Ross等の「コーポレートファイナンの原理」(きんざい)は、現金収入の要望、不確実性の解消、税のアービトラージ、エージェンシー・コストを挙げていますが、どれも決定的な理由ではないとしています。

「研究によれば、多くの企業は長期の配当支払政策をもっているようである。利用可能なキャッシュ・フロート比べ、ポジティブNPVプロジェクトが少ない(多い)企業は、高(低)配当支払を行なうだろう。加えて、企業は配当水準の変動を抑えようとする。配当の安定性と一定性には、多少の価値があるように見える」(前掲書)

いずれにしても配当政策を大きく変更するのは避けるのが賢明であるということです。

【リンク】

2010年2月22日「業績予想および配当予想に関するお知らせ」昭和シェル石油株式会社[PDF]

吉永 配当政策

株主優待もらっても損の逆説

2010年 2月 15日

株主優待は、権利を行使できない株主にものすごく不利な制度だ。だから欧米市場はもちろん、外国人株主比率の高い新興国でも株主優待はあり得ない。
(「橘玲の不思議の国」探検 日経ヴェリタス2010年2月14日70面)

【CFOならこう読む】

日本航空の法的整理が決まり、株主優待のチケット割引券を目的に日本航空株式を購入した一般投資家が損失を被ったことになります。

しかし、日本航空に乗る機会のない外国人株主や、年金基金や生命保険を通じて株式を買っている個人投資家はこの恩恵を受けることができないことを株主平等原則の観点から橘氏は問題にしています。

「みんなを平等に扱うには、利益はモノではなく金銭で還元するしかないのだ」(前掲紙)

株主平等原則の観点からも問題ですが、現物配当との区別が明確に出来ない点も問題だと思います。日本の上場企業の中には配当原資がない会社が、株主優待を行なっている例もあるのです。

この点、新会社法実務相談(西村ときわ法律事務所編 商事法務)は次のように説明しています。「現行の一般的な株主優待制度は、現物配当制度とは別個のものとして認められるという理解が有力であり、また株主優待制度は、多くの場合、個人株主作りや自社商品・サービス等の宣伝を目的として小額のものを分配するに過ぎず、株主に対する配当の性格は認められないのではないかと思われます。もっともかかる合理的な目的に相当な範囲を超えて、株主優待制度の下に多額の会社財産を払い戻す行為は実質的な現物配当として、会社法453条以下の配当規制に服することなくこれを行うことは許されないものと思われます。」

株主優待も含めて利回りの有利・不利を紹介している投資情報雑誌が少なからずあり、小額のものを分配するに過ぎない、とは言えない場合が多いように思います。

ここはやはり株主優待も現物配当として捉え、株主に金銭分配請求権を付与するという整理の仕方をすべきではないかと僕は思います。

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なし

吉永 配当政策 ,

株主還元、企業価値に影響

2009年 12月 7日

・MM命題では配当と企業価値は無関係
・現実には株主還元策が株価に影響及ぼす
・配当や自社株買いのあり方に様々な仮説

(日本経済新聞2009年12月07日21面経済教室土井丈朗慶大教授)

【CFOならこう読む】

MM理論によると配当も自社株買いも企業価値には無関連とされていますが、日本では配当の方が好んで行われています。

畠田敬・相馬利行「自社株買いに関する展望」によると、

「配当と自社株買いの両方を行った企業は全体の24%で、配当のみの企業は全体の62%、自社株買いのみの企業は全体の1%弱だった(2002年度~2005年度)」(前掲紙)

米国では、

「2000年に配当だけを行ったのは全体の20%、自社株買いだけ行った企業は45%、両方行った企業は35%と株主還元策として自社株買いが主流」(前掲紙)

との調査結果が紹介されています。

特に自社株買いのみ行った企業が日本の1%に対し、米国では45%もあるというのが面白いですね。

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なし

吉永 配当政策 ,

エーザイの招集通知

2009年 6月 18日

エーザイは19日に開く株主総会の招集通知に、株主からよくある質問に答える
「Q&A」の項目を初めて掲載した。総会に参加できない株主に配慮した。想定される質問と回答を事前に伝える丁寧な情報開示で「取締役の信認につなげ、個人などの安定株主を増やしたい」(PR部)という。
想定問答は計24項目に及び、業績や配当についてのほか、抗体医薬や後発品への取り組みといった事業戦略も取り上げた。昨年の総会では株主から19の質問があったといい、中身を分析したうえ株主の興味が高い内容を盛り込んだ。

(日本経済新聞2009年6月18日14面)

【CFOならこう読む】

Q&A24項目は次の通りです。

企業集団の現況に関する事項

2008年の業績はどうだったのでしょうか?

配当に関する基本的な考え方を教えてください

期待する開発品は何ですか?
アリセプト、パリエット/アシフェックスの特許満了に対しどのような対応を考えていますか?
企業買収による債務返済をどのようにするのですか?
買収は今後も実施していきますか?
抗体医薬には取り組んでいきますか?
ジェネリック事業の戦略を教えてください
今後も医薬品分野のみに注力するのですか?
コーポレートガバナンスを強化するためにどのようなことを行っていますか?
内部統制にはどのように取り組んでいますか?
コンプライアンスについては何を重視していますか?
事業等のリスクが数多く列記されていますが大丈夫でしょうか?

株式および新株予約権等の状況

他の会社と株式を相互保有する理由は何ですか?
株主還元として自己株式取得は行いますか?
ストックオプション付与の目的はなんですか?

役員の状況

取締役会への各取締役の出席状況を教えてください
社外取締役選任においてい重視していることは何ですか?
社外取締役は取締役会において活発な議論を行っていますか?
役員賞与はどのように決定していますか?

株式会社の支配に関する基本方針

この対応方針を導入した理由を教えてください
取締役会だけで導入したのはなぜですか?
第三者委員会は設置していますか?
有効期間が6年であるのはなぜですか?

株主総会招集通知デジタルブックは大変みやすく、PC上で冊子を手に持ってページをめくるように読むことができます。

エーザイの個人株主重視の姿勢を見てとることができます。

20090618

ただし、Q&Aの回答は、多くの上場企業で見聞きするのと同様当たり障りのないであるのが残念です。

例えば、配当に関する基本的な考え方を教えてください、という質問に対する回答はこんなものです。

連結業績、純資産配当率(DOE)およびキャッシュ・インカムの配分等を総合的に勘案し、継続的安定的な配当を実施していく考えです。

エーザイの株主還元策はHP上に次のように開示されています。

「エーザイでは、株主の皆様の信任を得るために努力し、そのご期待に応える諸施策を実行することが、経営陣にとって最も優先度の高い課題であると認識しています。

配当政策では、連結業績ならびに純資産配当率(DOE)等を勘案し、継続的・安定的な配当をベースとし、そのうえに着実な増配実績を積みあげていくことで、株主の皆様にインカム・ゲインで報いたいと考えています。2008年3月期(2007年度)の1株当たり配当金は、前期から10円増配の130 円とし、2009年3月期にはさらに10円増配の140円を予定しています。

また今後は、DOEを主要指標とする考え方を堅持しつつ、キャッシュ創出力を表す指標であるキャッシュ・インカム(※)をベースとして配分方針を新たに定めて行きたいと考えています。基本的には、配当、借入金返済原資、成長投資においてキャッシュ・インカムの配分割合を各使途に1/3として考えていきます。配当は継続的・安定的な配当還元を、返済原資は計画的な返済原資の確保、成長投資は成長機会をとらえて積極的な投資を行っていく予定です。
エーザイは、株主の皆様との価値共有のもとで持続的な成長を果たし、その成果を株主の皆様に還元するとともに、IR活動を通して経営情報を積極的に開示し、企業の透明性を高めて「株主価値」の向上に努めていきます。

※キャッシュ・インカム:
成長投資、事業開発、配当支払、借入返済等に使用可能なキャッシュの総額、キャッシュ創出力を表すもの

算式=当期純損益+有形・無形固定資産償却費+インプロセスR&D費+のれん償却費+減損損失」

この1/3という数値を説明しなければQ&Aの意味がない、と思うのですが・・・。

【リンク】

「第97回定時株主総会招集ご通知」エーザイ株式会社
「当社の株主還元政策」エーザイ株式会社

(カテゴリー)
IR
配当政策

(リンク)

吉永 IR ,

JFE初の減配

2009年 3月 11日

JFE、初の減配 今期、80円配

JFEホールディングスは10日、2009年3月期の年間配当を前期より40円少ない80円にすると発表した。
減配は2002年の発足以来、初めて。世界的な鋼材需要の冷え込みで、今期の純利益は前期比ほぼ半減の1300億円にとどまる見通し。同社では連結ベースの配当性向25%程度を配当の目安にしており、年80円配当を実施した場合は34%となる。
(日経新聞2009年3月11日 17面)

【CFOならこう読む】

JFEは次のように、今期を最終年度とする3カ年の中期計画の中で3年間平均で25%程度の配当性向をめざすと公表していました。

当社は株主への利益還元を最重要経営課題のひとつと考えており、グループ全体として持続性のある企業体質の確立を図りつつ、積極的に配当を実施してまいります。
具体的には平成18年3月に策定いたしました第2次中期経営計画の期間(平成18年度~平成20年度)におきましては配当性向(連結ベース)を25%程度とすることを基本として検討してまいります。
また、内部留保資金につきましては成長に向けた戦略的投資、研究開発活動の強化等への活用と財務体質の改善にも充当する方針です。
上記の基本方針を踏まえ、当事業年度の配当金につきましては、期末配当金を1株当たり60円とし、年間では、既に実施いたしました中間配当金と合わせて1株当たり120円としております。
当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、配当回数については年2回を基本とし、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会を配当の決定機関としております。

(注) 当事業年度を基準日とする剰余金の配当の取締役会または株主総会の決議年月日、配当金の総額および1株当たりの配当額は以下のとおりであります。
取締役会決議日 平成19年11月7日配当金の総額 34,579百万円 1株当たりの配当額 60円定時株主総会決議日 平成20年6月26日配当金の総額 34,283百万円 1株当たりの配当額 60円
(2008年3月期有価証券報告書より)

今期80円配当に減配しても配当性向は34%を確保しているので特段問題がないとも言えます。
しかし、投資家の中には120円配当を期待していると人も少なからずいると考えられることから、減配の意思決定が3月に入ってからというのは、時期として適切なのかどうかという点について若干疑問に思います。

平成21年1月30日の業績予想の修正発表時に意思決定すべきではないかと、私は思います。

【リンク】

平成21年3月10日「平成21年3月期 期末配当について」JFEホールディングス株式会社

吉永 配当政策

株式分割は株主還元策か?

2009年 1月 22日

テクノ菱和、今期末 1株を1.1株に分割 16年ぶり最高益更新株主への配分手厚く

テクノ菱和は2009年3月期末の株主を対象に、1株を1.1株に分割する見通しだ。今期の連結純利益が土地売却益の計上などで16年ぶりに最高を更新するのがほぼ確実なため株主への利益配分を手厚くする。分割は1997年9月以来。1株配当は前期比0.5円増の年16円(期末に9.5円配)の計画で、分割を考慮すると1.45円の増配となる。
(日本経済新聞2009年1月22日12面)

【CFOならこう読む】

株式分割は株数が1.1倍になる一方、1株当たりの価値(株価)は1/1.1に引き下げられるので、株主価値に与える影響はありません。株主還元が目的なら、株式分割をせずに1.45円だけ1株配当を増やせばそれで足りるはずですが、同時に株式分割をするのはどういう意味があるのでしょうか?

新聞記事は、この点、「会社は発行済み株式総数を増やして流動性の向上につなげたい考え」と説明しています。

それはそれで嘘ではないとは思いますが、別の理由もあると思います。
安定配当を基本方針とする日本の多くの上場企業は、儲かったら増配するのが困難です。一旦増配するとそれを継続することが求められるからです。

テクノ菱和も安定配当を行うことを次のように宣言しています。

株主に対する配当政策は、経営の最重要課題の一つと認識し、長期的な視点に立って、財務体質の充実、競争力保持のため、内部留保の確保に意を用いつつ、配当性向を勘案して利益還元を図るとともに、安定した利益配当を維持することを基本方針といたしております。当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

当事業年度末の配当金につきましては、上記の方針に基づき1株につき9円50銭(年間では1株につき15円50銭)を実施いたしました。
(第59期 2008年3月31日期末日 有報)

また配当政策は、配当の顧客効果、すなわち自社の配当政策を好む特定の投資家層を株主(顧客)として選択している効果を勘案すると、簡単に配当政策を変更するのは困難です。

なぜなら、企業が急に配当政策を変更すれば、従来の配当政策を支持してきた株主は、自分の好む配当政策をおこなう他の企業の株式に乗り換える必要が生じるが、それにはコストがかかる上、予期せぬ株価の変動を引き起こす原因になりうるからである。
(「経営財務入門」井手正介・高橋文朗著 日本経済新聞社)

したがって増配をする場合にも1株配当の増加の幅は極力小さくし、株式分割を併せて行うことにより実質的な増配をアピールするという方法が好まれるのです。
この方法によれば、将来仮に利益水準が低下したとしても、減配をせず、株式併合により配当減資を減らすことができるというのも経営陣に好まれる理由の一つでしょう。

【リンク】

なし

吉永 配当政策