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日銀総裁、景気「自律回復の芽」

2010年 4月 8日

日銀の白川方明総裁は7日の金融政策決定会合後の記者会見で、景気について「自律回復の芽がいくつか見られる」と語り、「二番底の懸念がかなり薄れた」との認識を示した。景気・物価見通しを見直した1月時点と比べて「景気は明らかに良い方向に動いている」とも指摘。4月末に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で見通しを上方修正する意向も示した。
(日本経済新聞2010年4月8日3面)

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財政の規律が緩む中、インフレリスクを白川総裁がどのように考えているかが注目されますが、この点について記者会見で直接的には言及されなかったようです。

ただし金利リスクが銀行経営に及ぼす影響について次のように述べています。

「金利リスクが実際の銀行経営に影響を及ぼすような場合には銀行を取り巻く金融環境も相応に変化している。仮に長期金利の上昇が景気改善を反映したものである場合は、金利リスクが顕在化する一方で、貸出量の増加や貸し出しのりざや拡大が同時に起きる。したがって、金利リスクの評価は、金利リスクだけでなく、銀行経営全体に及ぼす影響を評価することが大事だ」(日本経済新聞2010年4月8日5面 日銀総裁会見の要旨)

要するに良い金利上昇であるかどうかを見極める必要性があると言っているのだと思います。

昨日の長期金利は(新発10年物国債利回りは前日比0.01%上昇し、1.405%でした。

「買いが先行したが、日銀が景気判断を先行させたことなどから次第に売りが優勢になった」(日本経済新聞2010年4月8日17面)

見極めはとても難しいと感じます。

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なし

吉永 マクロ経済 ,

長期金利上昇

2010年 4月 1日

政府が郵便預金の預入限度額の引き上げを決めてから初めての取引となった31日の債券市場で、長期金利が上昇した。限度額引き上げを「財政規律の緩みにつながる」と判断した一部の外国人が売りを膨らませたことが背景だ。
(日本経済新聞2010年4月1日19面)

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”外国人、売り膨らむ”という見出しが目を引きます。

国債の現物市場で外国人にスポットが当たるということは、今まであまりなかっただけに気になります。

「米長期金利は低下し、国内株式市場も反落。本来ならば債券買いが膨らみやすい状況だった。その中で売りを主導したのは外国人投資家だ。「中期財政目標の作成などで改善に向かうと期待されていた日本の財政問題が再び悪化することへの警戒感は強い」(クレディ・アグリコル証券の加藤進氏)といい、長期金利の押し上げ要因として意識された」(前掲紙)

野口悠紀雄氏が、文芸春秋3月号の「ついに国債破綻が始まった」は、国債が国内だけで消化できなくなると、インフレと円安が大きく進む可能性を指摘していますが、今日のニュースから、遠からずそのような日が来るということをリアルに感じました。

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吉永 マクロ経済 ,

長期金利1.3%割れ

2010年 2月 26日

25日の債券市場で、長期金利の指標である新発10年物国債利回りが心理的な節目の1.3%を割り込んだ。終値は前日比0.020%低い1.295%。1.3%を下回るのは12月末以来、約2ヶ月ぶり。市場関係者の間には、日米の景気の先行き不透明感がじわり浸透。安全資産とされる国債に資金が流入している。
(日本経済新聞2010年2月26日4面)

【CFOならこう読む】

「日本経済は二番底のリスクは回避しつつあるが、景気の持ち直しの動きが鈍くなる可能性がある。先行きの不透明感から民間・個人向けの貸し出しが伸びない銀行勢が、国債に余剰資金を振り向ける構図が続き、金利低下を促している。
世界の金融・資本市場では、国債増発に伴う財政悪化で、金利上昇を警戒する声が強まっている。日本も巨額の長期債務を抱えているが、国内投資家層の資金で国債を消化できていることから、足元では金利上昇につながっていない」(前掲紙)

国債の消化が順調に進んでいる理由を、文芸春秋3月号の「ついに国債破綻が始まった」で、野口悠紀雄氏は、「民間の投資支出が激減したため」であるとした上で、設備の更新が進まなければ生産力が低下し、財政は今後ますます細ると述べています。

さらに国債を国内で消化できる状況はそう長く続かない可能性があることを次のように指摘しています。

「国際通貨基金(IMF) は、昨年7月に発表した「カントリー・レポート」のなかで、このままのペースで日本の政府債務が増え続ければ、2020年頃に国債を国内で消化しきれなくなると予測している。
10年後だと遠い先のような気がするかもしれない。しかし、これより速いペースで国内消化が行き詰まることは、十分にあリ得る」(前掲誌)

国内で消化できなくなったときに何が起こるか。
野口氏はインフレと円安である、と断言しています。

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吉永 マクロ経済 ,

10年債利回り1.340%に低下

2009年 11月 14日

長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは前日比0.030%低い1.340%。米長期金利の低下や債券先物相場の上昇を受けて、買いが優勢だった。
(日本経済新聞社2009年11月14日19面)

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長期金利の動きが気になります。

「2010年度予算の概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」のスタートなど財政健全化に向けた動きも出ていることで、上昇傾向にあった長期金利(新発10年物国債利回り)がここ数日急低下。」(前掲紙)

国債発行額が見えない現状では、今後の上昇リスクが消えてなくなったわけではないことに注意が必要です。

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吉永 資金調達

長期金利上昇

2009年 11月 6日

長期金利が上昇を続けている。財務省が5日実施した新発10年物国債の入札は不調に終わり、10年債利回りは約3ヶ月ぶり高水準となる1.440%をつけた。背景のひとつは民主党新政権下での財政膨張への不安。予算編成の柱である新規国債発行について、政府内の方針がぐらついていることも金利上昇に拍車をかけている。
(日本経済新聞2009年11月6日3面)

【CFOならこう読む】

金利上昇リスクが高まってきました。
10月28日のエントリー(2009年10月28日「長期金利 2ヵ月半ぶり1.4%台」)で、良い金利上昇と悪い金利上昇の話をしましたが、今回の入札におけるテールの広がりは、

「最終的には肝心の歳出削減が暗礁に乗り上げ、国債発行にしわ寄せが来るのではないか」(前掲紙)

という市場の不安を裏づけています。

「テールは、入札参加者が希望する価格のばらつき具合を示し、入札の好不調の判断材料になる。今回のテールの拡大は、もっと安ければ(金利が高ければ買ってもいいと思う条件付きの投資家が多かったことを映す。」(前掲紙)

CFOとしては、長期金利上昇リスクを十分考慮したうえで、資金調達のタイミング及びヘッジ方針を決定することが肝要です。

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吉永 資金調達

日銀展望リポートー「経済・物価情勢の展望」の概要

2009年 11月 4日

日銀は2日公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の全文で、2010年度初めの経済成長率がマイナスに転じる可能性も含め、景気が「踊り場」を迎える見通しを明らかにした。前週末の金融政策決定会合後の公表文で「当面、現在の低金利水準を維持する」という「時間軸政策」に近い効果を狙った表現を新たに追加。景気下支えをアピールしたが、景気や物価動向では追加緩和の圧力が浮上する可能性も残っている。
(日本経済新聞2009年11月3日4面)

 

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2009年度後半から2011年度の経済見通しは次の通りです。

「実質GDP成長率で考えると、足もとは在庫調整完了 や政策効果による強めの反発力が作用しているため、2009年4~6月に続き7~9月も、潜在成長率をかなり上回る高めのプラス成長が見込まれる。その後、そうした反発力が弱まる中で成長率は幾分減速し、2010 年度初め頃には、公共投資や耐久財消費に反動が生じるとみられること等から、実質GDPが一時的に弱まる局面もありうる。しかし、基調的にみれば、2010年度中も、輸出の増加が続くもとで、プラスの経済成長が維持され、世界経済の回復がより明確になる2011年度には、日本経済の成長率も潜在成長率を明確に上回っていくと想定される。これを年度単位でみると、2009年度に-3%台前半となったあと、2010年度は+1% 前後、2011年度は+2%前後と想定される。」

 実質成長率が2010年4~6月期に前期比マイナスに転じる可能性が示唆されています。

2009年度後半から2011年度の物価見通しは次の通りです。

 「国内企業物価の前年比は、2009年度は-5% 台前半、2010年度は-1%台前半、2011年度は-0%台後半と予想される。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2009年度については、年度全体でみると石油製品価格等の変動が大きく影響し、-1%台半ばと 過去最大のマイナス幅になると予想される。その後、2010年度は-0% 台後半、2011年度は-0%台半ばと、マイナス幅が次第に縮小していく と想定される。」

 2009年度後半から2011年度の輸出見通しは次の通りです。 

「2009 年度中は、各国の政策効果や海外在庫の調整進展の影響が大きい前半を 中心に、大きく反転上昇すると予想される。2010年度以降も、海外経済 が回復を続けるもとで、2009年度中のリバウンド局面に比べて勢いは鈍 るが、輸出の増加が続くと考えられる。ただし、きわめて大幅に落ち込 んだ水準からの回復であるため、2011年度末頃の輸出の水準は、2007年
度末頃のピーク並みないしそれを下回る水準にとどまる可能性が高い。」

 2009年度後半から2011年度の企業収益見通しは次の通りです。

 「今後の企業収益を展望すると、製造業では、人件費や減価償却費の削 減などを通じて損益分岐点を引き下げる動きが、しばらく続く可能性が 高い。そうした減価償却費の削減のため、新規の設備投資の抑制に加えて、既存設備の除却や廃棄も進められていくと考えられる。そうした固 定費の抑制と、輸出の回復により、製造業の経常利益は、2010 年度には ある程度はっきりした増益が予想される。他方、非製造業は、製造業に おけるコスト削減の動きが影響するほか、内需の回復には時間がかかるとみられることから、2010年度は固定費の抑制を続けても収益はさほど 回復せず、明確な回復は2011年度にずれ込むと考えられる。 」

 このような見通しを前提に、日銀は以下のように現行の低金利政策を維持する姿勢を明確にしています。

「金融政策運営に当たっては、きわ めて緩和的な金融環境を維持していく方針である。日本銀行としては、わ
が国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰していくことを粘り強く支援していく考えである。」

これは時間軸政策に近い効果を狙ったものと市場では受けとめられているようです。

「時間軸政策とは、ある条件を満たすまで中央銀行が金融緩和政策を続けると約束して、期間が長めの金利にも
低下圧力がかかりやすくすること。政策金利の低下余地がほとんどない状態で、緩和効果を高める狙いがある。
市場参加者は当面は利上げなどの政策変更がないとわかるため、安心して調達や運用に動くことができ、金融
市場が安定しやすくなる。」(前掲紙)

 長期金利上昇のリスクを減じるための表現と受けとることができるようにも思います。

 

【リンク】

2009年11月2日「経済・物価情勢の展望(2009年10月)」日本銀行【PDF】

吉永 マクロ経済

長期金利 2ヶ月半ぶり1.4%台

2009年 10月 28日

市場での長期国債の増発が2009年度に最大8兆円にのぼる見通しになった。税収の落ち込みが6兆円にのぼることに加え、個人向けの国債販売が予定を約2兆円も下回るためだ。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは27日、約2ヶ月半ぶりに1.4%台に上昇。歯止めのかからない財政拡大とそれに伴う国債発行の急増が、長期金利に上昇圧力をかけている。
(日本経済新聞2009年10月28日3面)

【CFOならこう読む】

この金利上昇は、鳩山政権の財政運営に対する不安感を映す”悪い金利上昇”なのか、それとも景気改善への期待感からくる”良い金利上昇”なのか、市場の見方は分かれているようです。

私はエコノミストではないので、はっきりしたことは言えませんが、”良い金利上昇”ではないように思います。日本の場合、経済回復や株価上昇の先行指標として長期金利が上昇するケースが多いのですが、右側サイドバーにあるマーケット情報のグラフをご覧になって頂ければわかるように、ここ最近日経平均と長期金利の間にはっきりとした相関が見られません。

「市場では、中期的な財政再建の目標がないことへの不安感もくすぶっている。民主党が年末に設定するとしていた政府債務残高のGDP比率など財政再建の中期目標の設定も先送りの公算が大きい。市場では「景気回復期待による『良い金利上昇』ではない」(国内証券)との見方が広がっており、長期金利の先高感が強まっている。」(前掲紙)

この見方が正しいように私には思えます。

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吉永 資金調達 ,

長短金利差が急拡大

2009年 4月 3日

金融市場で長期と短期の金利差が急速に広がっている。株高や赤字国債の増発懸念から10年債の入札がやや不調に終わり、長期金利は昨年12月以来の水準まで上昇した。
長短金利は昨年12月以来の水準まで上昇した。一方、日銀による大量資金提供が続き、短めの金利は低空飛行が続く。金利差が今後どう動くか。市場が景気の先行きをどうみているかを読み取るうえでひとつのヒントになりそうだ。

(日本経済新聞2009年4月3日17面 マーケットウオッチャー)

【CFOならこう読む】

10年債と2年債との金利差は2日、0.975%と昨年11月以来の大きさに広がった。1%まで広がれば、日銀の利上げ局面が続いていた2006年10月以来となる。国庫短期証券3ヶ月物との差も1.14%と昨年6月依頼に広がっている。

200904031

日本経済新聞2009年4月3日17面 マーケットウオッチャー

財政出動による赤字国債の増発懸念と株高局面であることから長期債の入札がやや不調であるということです。

長短金利差が広がる局面は通常、市場参加者の間で景気の先行きに強気な見方が増えているといったケースが多いのですが、今回は需給の要因の影響が大きく、「月末までには長期金利は低下に転じる」との見方が優勢のようです。

ここは少し様子を見た方がよいかも知れません。

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吉永 資金調達 ,

円高は悪か?

2008年 12月 20日

日銀、0.2%利下げ 白川総裁「最大限の貢献行う」

日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利を年0.3%から0.1%に引き下げることを決め、即日実施した。長期国債の買い入れ増額やコマーシャルペーパー(CP)の買い取りなど、資金供給策も拡充する。海外経済の後退や円高の進行で景気がさらに落ち込むリスクが高まり、金融政策面で一段の下支えが必要と判断した。日銀の白川方明総裁は記者会見で「中央銀行としてなし得る最大限の貢献を行う」と企業の資金繰り支援策をさらに検討することも強調、景気の底割れ回避に全力で取り組む決意を表明した。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C1902L%2019122008&g=E3&d=20081219

【CFOならこう読む】

FRBがゼロ金利を決めた影響で、「相対的に金利が高くなった円が買われ、為替市場では約13年ぶりに1ドル=90円を突破する円高・ドル安が進んだ。頼みの輸出産業が大打撃を受けた日本経済にとって、一層の円高はまさに「弱り目にたたり目」である。
(前掲紙)

円高は悪なのでしょうか?

そもそもすべての輸出産業は円高によって本当に大打撃を受けるのでしょうか?
例えば輸入資源価格の高騰を受け、鋼材輸出企業である新日鉄、JFEホールディングス、神戸製鋼は軒並み決算を上方に修正しています。円高の水準にもよりますが、円高=輸出産業大打撃ということには必ずしもなりません。

輸出産業にとって円高が望ましくないとしても、それが直ちに日本全体にとって望ましくないということにはなりません。この点、昨日に引き続き、野口悠紀雄氏「世界経済危機 日本の罪と罰」(ダイヤモンド社)から引用したいと思います。

「円高こそが、経済成長の利益を日本人が享受するための自然なルートなのである。なぜなら、「円高」とは、日本人の労働価値が高く評価されることだからである。
(中略)
消費者の立場から見て望ましい変化が生じたときに、それを打ち消すような圧力が生産者(とくに輸出産業)から生じるのが、日本の経済政策の基本的バイアスである。こうしたバイアスは、最近時点に始まったものではない。
日本の経済論議や経済政策論議は、高度成長期以来一貫して、消費者無視のバイアスを持っていた。ただし、これまでは、それに一定の合理性があった。多くの人は消費者であると同時に生産者でもあるため、企業が発展すれば賃金が上がり、生活水準が向上するからだ。
しかし、いまや企業が成長すれば自動的に消費者の生活が向上するという保障はない。日本人は、企業人としての立場と消費者としての立場を、秤にかけて勘案すべき段階にきている。」

日銀白川総裁の会見要旨を見る限り、日銀としては、円高=悪との判断はないようで、少しだけほっとしています。

 

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世界経済危機 日本の罪と罰
野口 悠紀雄

世界経済危機 日本の罪と罰

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2008年10月31日「2008年度第2四半期決算及び通期業績見通しについて」株式会社神戸製鋼
http://www.kobelco.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2008/11/07/ir_siryo.pdf

2008年10月24日「JFEグループ2008年度 上期決算 2008年度 業績見通し」JFE
http://www.jfe-holdings.co.jp/investor/zaimu/g-data/jfe/21/21-setumei081024.pdf

「実績と業績予想 2008年3月期連結業績実績」新日本製鐵株式会社
http://www.nsc.co.jp/ir/individual/finance.html

吉永 為替 ,

ホンダ(下半期)、トヨタ(通期)営業赤字へ

2008年 12月 19日

ホンダ、工場稼働延期 減産、国内12社では220万台強に

世界的な自動車需要の縮小を受け、自動車各社が事業計画の見直しを急いでいる。ホンダは17日、国内の新工場・研究所の稼働延期を柱とする事業計画見直し策を発表。2008年度下半期(08年10月―09年3月)は営業赤字に転じる見通しで、戦略的な投資削減に踏み込むことで急場をしのぐ。日産自動車も減産幅を拡大。日本の自動車メーカー12社が世界で取り組んでいる減産規模は今年度、当初計画比で1割弱に当たる220万台強となる見込み。米国発の金融危機が顕在化して以降、業績悪化が急速に進んでいる。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081218AT1D170BR17122008.html
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081219AT2D1802818122008.html

【CFOならこう読む】

2008年11月6日にトヨタは業績の下方修正を発表しました。そこで発表されたのは、営業利益が対前年度で73.6%減少して6000億円になるという驚愕の内容でした。世に言う”トヨタショックです。そしてそれから1ヶ月と少ししか経っていないのに、さらに業績が悪化し、営業利益がマイナスとなる見通しと報道されました。2008年3月期には2兆2703億円であった営業利益が全て吹き飛んだのです。

これは大変なことです。日本における自動車産業の重要性を鑑みると、日本経済全体が危うい状況にあると言ってよいでしょう。しかし何故こんなことになっているのでしょう。今はまず現状を正しく理解することが大切だと私は思います。

野口悠紀雄氏は、最近出版した「世界経済危機 日本の罪と罰」(ダイヤモンド社)の中で、今起きていることは、「アメリカ発の金融危機が日本に飛び火している」のではなく、「問題はマクロ経済の歪みであり、日本はその中心に位置している。今後の景気後退は不可避」と指摘しています。

私は野口氏の見解は極めて本質を突いたものだと思っています。野口氏が言っていることを要約すると次の通りです。

「アメリカ人の過剰消費が90年代末からのアメリカの経常赤字の拡大を生んだ。大きな家に住み、自動車を数台所有するという生活が過剰消費を生んでいる。アメリカが経常赤字を持続するには、資本取引によりファイナンスする必要がある。そのためにはドルが減価しないことが大前提となる。ところがサブプライム以降ドルの信認がゆらぎ、この構造を維持することが不可能になっている。であるなら、もはやアメリカの経常赤字は維持できず、過剰消費も改めざるを得ない。
日本は脱工業化が必要であるにも関らず、本当に必要な構造改革を断行せず、低金利・円安政策により、古い産業構造を温存した。これが円安バブルを生み、見せかけの日本の景気回復に繋がったが、決して日本経済が強くなったわけではない。
円安バブルが、円で資金調達し高金利通貨で運用する「円キャリー取引」を増加させ、これがサブプライムローン関連金融商品に回った。2005年以降の企業収益の増加と株価の上昇はこの円安バブルによるものである。現在この「円キャリー取引」の巻き戻しが起きており、円高をもたらした。円ドルレートの調整はまだ終わったとは言えず、さらなる円高もあり得る。
アメリカの経常赤字縮小は、日本の経常黒字縮小を意味する。日本の貿易黒字縮小は不可避だ。GDPの5%のマイナス成長もあり得る。
中長期的に見てより大きな問題を抱えているのはアメリカよりむしろ日本だ。これからの日本は、制御不可能な事態に直面する可能性がある。必要なのは日本経済の構造大転換。」

  そして野口氏はベンチャー企業の起業の重要性を強調しています。

その通りだとは思いますが、今の日本ではグリー程度の会社がもてはやされるに過ぎません。淋しい限りです。

 

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世界経済危機 日本の罪と罰
野口 悠紀雄

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