創薬ベンチャー、メビオファームは10日、東京証券取引所傘下のプロ向け市場「TOKYO AIM取引所」に上場申請する。シンガポール系のフィリップ証券が上場審査を終えており、メビオは7月15日をメドに上場する見通し。
(日本経済新聞2011年6月10日4面)
【CFOならこう読む】
「メビオは東京大学の研究者が設立、ガン治療薬などを開発しており、海外で臨床試験をするなど国際展開にも力を入れている」(前掲紙)
フィリップ証券??
TOKYO AIMのサイトに記載されている、指定アドバイザー(J-Nomad)一覧にはそんな名前はないが・・・。
(「指定アドバイザー(J-Nomad)一覧」TOKYO AiM)
いずれにしても後が続くことが重要です。
【リンク】
なし
SNS最大手の米フェイスブックの資金調達が波紋を呼んでいる。SECは同社の未公開株を米金融大手ゴールドマン・サックスが投資家に販売する取引に関し予備調査を始めた。
(日本経済新聞2010年1月7日7面)
【CFOならこう読む】
「米メディアによると、ゴールドマン本体はフェイスブックに4億5000万ドルを出資した。自己資金による投資で将来的な値上り益を見込む。2012年ともされるフェイスブックのIPOで主幹事を獲得する思惑もあるとみられる。SECが関心を寄せているのは、ゴールドマンが手がけるもう一つの取引。SPVを設立し、富裕層やヘッジファンドなどゴールドマンの優良顧客に最大で15億ドルのフェイスブック株を割り当てるというもの。
(中略)
SECのルールでは株主が500人以上に達すると、非上場企業でも財務諸表などの情報を開示しなければいけない。ただ、SPVを「一人の株主」とすれば、フェイスブックは情報開示を回避できる」
(前掲紙)
投資家保護の趣旨を鑑みると、SPVを「一人の株主」として情報開示を回避することはできないように思います。
1月7日付けの米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、フェイスブックは2012年4月までに情報開示(またはIPO)を行うことを報じており、上記スキームは情報開示を回避するためのものではないのでは、というニュアンスの記事を載せています。
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なし
東京証券取引所は来春にも、新興市場「マザーズ」の上場規則を変更し、新規上場の審査を緩和する一方で、上場後に成長の止まった企業には早期の上場廃止を求める。上場企業の「新陳代謝」を促して投資家をひきつけ、東京市場の活性化につなげたい考えだ。
(日本経済新聞2010年12月16日1面)
【CFOならこう読む】
「東証は21日に開く取締役会でマザーズの改革案を決議する方針」(前掲紙)
上場基準の変更点として、記事にあげられているのは、以下の通りです。
・上場廃止基準の厳格化
上場後一定期間経過した企業は東証1部・2部と同じルールを適用
・新規上場企業の審査基準緩和
直近の業績が減益であっても上場を承認できるようガイドラインを見直す
上場規則を変更するのも良いですが、今の新興市場の低迷は、かつてのソニーやホンダのようにグローバルに活躍できる可能性を感じられる企業がほとんど上場されていないことに起因します。
これは取引所だけの責任ではないのですが、取引所はもっとビジョンを語り証券会社や監査法人といった主たるプレイヤーに伝えていく努力をすべきであるとは思います。と同時に税制その他の面で企業家を支えることを国に対し声高に求めることも必要です。
そうすれば、ソーシャルやら環境やらという流行りものを猫もしゃくしも追いかけて、単に時代とともに消えるあだ花を咲かせるだけの現在の状況は少し変わって行くように思うのです。
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なし
ベンチャー企業が株式上場を軸にした成長戦略を見直している。上場しても十分な成長資金を調達できず、上場維持にも多額の費用がかかるためだ。VCなど上場を迫る株主から買い取って経営の自由度を高め、大企業との連携強化などで成長を目指す。ベンチャーの非上場志向が強まれば、VCの経営にも影響しそうだ。
(日本経済新聞2010年11月24日11面)
【CFOならこう読む】
「成長資金の供給源だったVCからの「上場」要請は強まるばかり。VCは投資家から集めた資金を10年程度かけて運用する場合が多いが、2000年前後のベンチャーブーム時に設立されたファンドが相次ぎ償還期を迎え、資金回収を急いでいる。
上場はできず、償還期限を迎えたVCの保有株が知らない企業に渡るのも避けたい。一方、VCは「上場してくれ」と圧力をかけてくる。板挟みになったベンチャーがVCの保有株を別の企業に買ってもらうか、自社で買い取り、経営の自由度を高めるのは自然な流れといえる」(前掲紙)
上場を見送るのなら、方向性としては自社株買いか他社に買い取ってもらうかのいずれかになります。
今日の記事の中でいうと、九州大学発のバイオベンチャー、アキュメンバイオファーマは前者、株式をヤフーに売却した携帯電話向け広告のシリウステクノロジー、ジンガ傘下に入ったゲーム開発のウノウ(現ジンガジャパン)は後者を選択したということです。
【リンク】
なし
大阪証券取引所傘下のジャスダックとヘラクレスが統合する。10日にシステムの最終テストを実施し、問題がなければ12日に新ジャスダック市場が発足する予定だ。上場企業が1000社を超えるアジア最大の新興市場の誕生は、投資家を呼び戻すことにつながるだろうか。
(日本経済新聞2010年10月9日13面)
【CFOならこう読む】
新ジャスダック市場の概要は以下の通りです。
(1) 形式基準
審査項目
スタンダード
| 純資産の額 |
2億円以上(直前期末) |
| 利益の額 |
経常利益及び税引前利益が1億円以上(直前期) |
ただし,上場日時価総額が50億円以上の場合は利益の額は問わない
グロース
以下スタンダード、グロース共通
| 公開株式数 |
公募又は売出し株式数が上場株式数の10%または1,000売買単位のいずれか多い株式数以上 |
| 株主数 |
300人以上 |
| 浮動株時価総額 |
5億円以上(上場日) |
| 財務諸表 |
虚偽記載を行っていないこと及び最近2期間「監査意見:適正」最近1期間「監査意見:無限定適正」 |
その他
・株式事務代行機関に株式事務の委託を行っていること
・単元株式数が,上場時に100株となる見込みのあること
・株式の譲渡につき制限を行っていないこと
・指定振替機関における取扱の対象であること
※浮動株の定義は,上場株式のうち,役員が所有する株式,自己株式,上場株式数の10%以上を所有する株主が所有する株式(信託銀行,証券金融会社,預託証券に係る預託機関等がその業務のために所有する株式であり,実質的に10%以上を所有するものではないと認められる株式を除く。)及び役員以外の特別利害関係者の所有する株式(新規上場の場合に限る。)を除いた株式。
(2) 形式基準
スタンダード
a.企業の存続性
- 事業活動の存続に支障を来す状況にないこと
b.健全な企業統治及び有効な内部管理体制の確立
- 企業規模に応じた企業統治及び内部管理体制を確立していること
グロース
a.企業の成長可能性
- 成長可能性を有していること
b.成長の段階に応じた健全な企業統治及び有効な内部管理体制の確立
- 成長の段階に応じた企業統治及び内部管理体制を確立していること
以下スタンダード、グロース共通
c.企業行動の信頼性
- 上場後において市場を混乱させる企業行動を起こす見込みのないこと
d.企業内容等の開示の適正性
- 企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること
e.その他公益又は投資者保護の観点から必要と認める事項
スタンダード951社、グロース54社での船出です。
こう見るとグロースが少なすぎますね。
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2010年7月6日「新JASDAQ市場の概要」JASDAQ NEO
IPO企業の株価がさえない。2010年に新規上場した13社のうち、7月30日の終値が公募価格を上回っているのはアニコムホールディングスなど4社のみ。IPO銘柄の値動きを示すIPOインデックスも低迷したままだ。
(日経ヴェリタス2010年8月2日26面)
【CFOならこう読む】
2010年のIPO企業の株価は次の通りです。
| 社名 |
上場日 |
7月30日株価終値 |
市場 |
| アイ・ケイ・ケイ |
7月23日 |
932円(▲29.4) |
JASDAQ |
| トータル・メディカルサービス |
6月24日 |
3,230円(▲23.1) |
JASDAQ |
| 電算 |
6月24日 |
3,250円(▲ 7.1) |
東証2部 |
| パピレス |
6月23日 |
3,980円(47.4) |
JASDAQ |
| ボルテージ |
6月11日 |
2,621円(14.0) |
マザーズ |
| アゼアス |
4月16日 |
351円(▲25.3) |
JASDAQ |
| 第一生命保険 |
4月1日 |
122,600円(▲12.4) |
東証1部 |
| ダイト |
3月24日 |
950円(▲30.7) |
東証2部 |
| Paltac |
3月18日 |
1,698円(▲22.8) |
東証1部 |
| セルシード |
3月16日 |
1,209円(▲19.4) |
NEO |
| 大 |
3月9日 |
348円(▲17.1) |
JASDAQ |
| エスクリ |
3月5日 |
681円(4.8) |
マザーズ |
| アニコム ホールディングス |
3月3日 |
3,205円(60.3) |
マザーズ |
株価の後ろのカッコ内は公募・売出価格比騰落率。▲は下落
(前掲紙。但し市場は筆者調べ)
こうして見るとエフオーアイの一件があったもののマザーズは意外に検討していることがわかります。それと比べるとJASDAQの惨憺たる状況が目につきます。
【リンク】
なし
日本証券業協会は2日、IPOを目指す企業への個人の出資を規制する協会規則改正について、当初20日としていた施行日を延期すると発表した。延期期間は「未定」という。未公開詐欺の防止が狙いだったが、個人の出資を受けにくくなるとの批判が殺到した。
(日経ヴェリタス2010年7月5日26面)
【CFOならこう読む】
この件は6月30日に「日本証券業協会、上場前の個人出資禁止案」として言及しました。その中で私は次のように書きました。
「原則禁止、例外として適正な資本政策目的で行なわれたと考えられる場合には引受け禁止の適用除外とするということですが、私のブログの資本政策詳解を見てもらえばわかる通り、適正な資本政策であるかどうかの判断は非常に難しく、この判断を引受証券会社に求めるということなら、実質的に個人からの出資を募っていた会社の上場の途は閉ざされることになりかねない、と私は思います」
適用除外の条件が示されていないことについて、今日取り上げた記事では次のように説明しています。
「適用除外の条件を詳細に示すと、悪意のある会社が投資家の形式を満たし、詐欺をはたらく恐れがある。日本証券業協会は1日まで募集していたパブリック・コメントの回答で、エンジェル投資家は適用除外と説明する予定だった」(前掲紙)
今回の規則改正は延期と発表とされていますが、日本証券業協会は、
「本案の取扱いも含め、適切な未公開株詐欺の未然防止に向けた対応についてあらためて議論することといたしました」
とのコメントを発表しており、今回の規則改正はお蔵入りとなりそうです。
【リンク】
2010年7月2日「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正(案)」の取扱いについて 日本証券業協会[PDF]
日本証券業協会が6月中旬に公開した協会規則の改正案が波紋を呼んでいる。企業が上場を目指す場合、上場前に個人から出資を募るのを禁じる条項が含まれているためだ。日証協は個人のベンチャー投資を縛る考えはないとしているが、そのまま規則が成立すれば、創業資金を個人からの出資で賄ったベンチャーは上場しにくくなるとの懸念が広がっている。
(日本経済新聞2010年6月30日16面)
【CFOならこう読む】
「有価証券の引受け等に関する規則」の改正案の内容は次の通りです。
1.「有価証券の引受け等に関する規則」の一部改正について未上場会社が上場前に自己の株券等について個人投資家に対し募集等を行っていた場合には、原則として、当該未上場会社の新規上場時の株券の募集又は売出しの引受けを禁止する。
(第3条の2)
2.「『有価証券の引受け等に関する規則』に関する細則」の一部改正について適正な資本政策目的で行われたと考えられる株券等の募集等について、引受け禁止の適用除外として規定する。
この改正は、「未上場会社が上場前に個人投資家を対象に勧誘行為を行っていた場合には上場できないことを明らかにするため」(「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正について(案))に行なうとしています。
原則禁止、例外として適正な資本政策目的で行なわれたと考えられる場合には引受け禁止の適用除外とするということですが、私のブログの資本政策詳解を見てもらえばわかる通り、適正な資本政策であるかどうかの判断は非常に難しく、この判断を引受証券会社に求めるということなら、実質的に個人からの出資を募っていた会社の上場の途は閉ざされることになりかねない、と私は思います。
そもそもこの規則が成立したとしても、未公開株式の投資勧誘による詐欺を行なおうとする輩は、例外規定の適用があることを装えば良いだけなので、詐欺事件を防止する効果はほとんどないでしょう。
ベンチャー企業はエンジェル投資により資金を調達する必要がある場合が少なくなく、これが塞がれると、今まで以上に成長資金の調達が難しくなると思います。
明らかに行き過ぎた規制です。
【リンク】
2010年6月10日「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための「有価証券の引受け等に関する規則」等の一部改正について(案)」エクイティ委員会
日本の新興企業による韓国取引所(KRX)での上場が急速に増える可能性が出てきた。このほど来日したKRXの新興市場「コスダック」の市場本部長、パク・サンジョ副理事長は日経ヴェリタスの取材に対し、「日本企業9社がすでに韓国の証券会社と主幹事契約を結び、韓国上場を目指している」と語った。KRXの今年のIPO(新規株式公開)件数は80~90社に達する見通しで、30社前後が見込まれる日本を大きく上回りそうだ。
(日経ヴェリタス2010年6月10日17面)
【CFOならこう読む】
「日本企業が韓国上場を目指すのは、日本の取引所に比べて審査期間が短く、低コストで、しかも上場基準が比較的緩いためだ。コスダック市場には昨年4月にインターネット広告のネプロアイティーが日本企業として初めて上場。今年に入り外国為替証拠金取引(FX)大手のクリック証券が上場を申請中。認可されれば2社目の韓国上場になる
(中略)
コスダックの上場審査期間は約2ヶ月で、上場準備に入ってから実際に上場するまで1年程度しかかからない。日本では通常3年程度かかるという」(前掲紙)
エフオーアイ事件の余波が広がっています。例によって市場、証券会社、監査法人の責任を問う声が強まっています。
そうして日本の新興市場はますます萎縮し、消えてなくなるのでしょうか?消えてなくなっても韓国や香港で上場すれば良いので特に困ることはないと言うのでしょうか?
東京AIMがいまだ上場ゼロなのも証券会社が自らの責任が重すぎて割に合わないと考えているからです。
新興市場は本来非常にリスクが高い市場です。新興市場に上場する企業は、会社が若く、一般に管理体制も未整備であるわけですが、これも大きなリスクです。上場審査を厳しくするというのも一つの方向性ではありますが、コスダックのように上場のハードルを低くするというのも一つの方向性です。
エフオーアイのような会社はこれからも出てきます。市場、証券会社、監査法人の責任はもちろん問われなければならないでしょう。
重大な過失又は故意によるものであるなら、その責任は非常に重いと言えます。
しかし投資は投資家の自己責任で行なわれるべきことを忘れてはいけません。新興市場はとてもリスクが高い市場です。そのことを十分認識した上で投資をすべきです。
投資をする前に財務諸表ぐらいには目を通すべきです。粉飾しているかどうかまではわかりませんが、リスクの高低はわかります(決して難しい話ではありません)。
そういう手間をかけたくない人は、新興市場なんぞに手を出すべきではないのです。
【リンク】
なし
2009年11月に東証マザーズに上場した半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」が、架空取引で売上高を水増ししていた疑いのあることが11日、関係者の話で分かった。上場時に提出した有価証券届出書に、売上高を過大計上するなどした虚偽の決算情報を掲載し、粉飾額は100億円規模に上るとみられる。
(日本経済新聞2010年5月12日35面)
【CFOならこう読む】
「証券取引等監視委員会は12日にも、金融商品取引法違反(有価証券届出書の虚偽記載)容疑などで関連先の強制捜査に乗り出す方針を固めたもようだ。上場からわずか半年の企業に対し強制捜査に着手するのは異例」(前掲紙)
エフオーアイの財務諸表の異常さについては、上場前の11月13日に当ブログで指摘しているところです(2009年11月13日エントリー「【資本政策詳解】エフオーアイ」)。
事実のほどは捜査結果を待たなければわかりませんが、日本の新興市場はいまだにこんなもんかと悲しくなります。
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