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パナソニック、三洋電機とパナソニック電工にTOB

2010年 7月 30日

パナソニックは29日、上場子会社の三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化するために最大8184億円のTOBを実施すると発表した。3社の一体運営を従来以上に進めて環境エネルギー分野などを強化、2012年度に営業利益ベースで600億円の相乗効果を生み出す。2012年1月をめどに3社の事業を分野ごとに抜本再編、商品ブランドは原則「パナソニック」に統一する。
(日本経済新聞2010年7月30日1面)

【CFOならこう読む】

「パナソニックは現在、三洋株を議決権ベースで50.2%、パナ電工株を51.8%保有。買付価格は三洋株が1株138円、パナ電工株が1.110円、28日までの直近1ヶ月間の終値平均にそれぞれ21%、22%のプレミアムを加えた。全株応募があった場合の買い付け額は三洋が約4222億円、パナ電工が約3962億円。
TOB期間は8月23日〜10月6日で株数に上限・下限を設けない。応募のなかった株式についてはパナソニック株との株式交換を実施。来年4月をめどに両社の完全子会社化を完了させる」(前掲紙)

三洋電機のTOB価格138円のプレミアムの水準は次の通りです。

「当社による本公開買付けの開始についての公表日の前日である平成22 年7月28 日の東京証券取引所市場第一部における対象者の普通株式の普通取引終値118 円に対して16.9%(小数点以下第二位を四捨五入、以下本項の%の数値において同じ。)、過去1ヶ月間(平成22 年6月29 日から平成22 年7月28 日まで)の普通取引終値の単純平均値114 円(小数点以下切捨て、以下本項の円の数値において同じ。)に対して21.1%、過去3ヶ月間(平成22 年4月30 日から平成22 年7月28 日まで)の普通取引終値の単純平均値126 円に対して9.5%、過去6ヶ月間(平成22 年1月29 日から平成22 年7月28 日まで)の普通取引終値の単純平均値137 円に対して0.7%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となります。」
(平成22年7月29日「三洋電機株式会社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」)

パナソニック電工のTOB価格1,110円のプレミアムの水準は次の通りです。

「当社による本公開買付けの開始についての公表日の前日である平成22 年7月28 日の東京証券取引所市場第一部における対象者の普通株式の普通取引終値974 円に対して14.0%(小数点以下第二位を四捨五入、
以下本項の%の数値において同じ。)、過去1ヶ月間(平成22 年6月29 日から平成22 年7月28 日まで)の普通取引終値の単純平均値909 円(小数点以下切捨て、以下本項の円の数値において同じ。)に対して22.1%、過去3ヶ月間(平成22年4月30 日から平成22 年7月28 日まで)の普通取引終値の単純平均値948 円に対して17.1%、過去6ヶ月間(平成22 年1月29 日から平成22 年7月28 日まで)の普通取引終値の単純平均値1,032 円に対して7.6%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となります。」
(平成22年7月29日「パナソニック電工株式会社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」)

なお完全子会社化のために、来年4月をめどに行なわれる株式交換において、三洋電機及びパナソニック電工両社の株式の対価(パナソニック株式。ただし、受け取るべき株式の数に一株未満の端数がある場合、当該端数部分については、会社法に基づき金銭の分配となる。)を決定するに際しての評価は、本TOBと同一の価格を基準にする予定であるということです。

パナソニックは、昨日、5000億円を上限とする普通株式の募集について発行登録を行なっています。TOB費用に充てるため、今後増資が行なわれる可能性があります。

完全子会社化後、重複分野を解消するために事業再編を行い、その上でブランドをPanasonicに一本化することが予定されています。

「平成24 年1月を目途に、事業体制を再編します。その基本的な考え方は、「お客様価値の最大化」を基軸として、「コンシューマ」「デバイス」「ソリューション」の3事業分野ごとに、3社の事業・販売部門を統合・再編し、それぞれの事業特性に最適なビジネスモデルを構築する、というものです。各事業・各業界で、グローバル競争を勝ち抜ける体制を確立してまいります。

(中略)

さらに、こうした再編とあわせて、ブランドについても、将来的に原則「Panasonic」へ統一する方向で、検討を行ってまいります。ただし、事業・地域によっては一部「SANYO」の活用も継続する予定です。」(「パナソニック株式会社によるパナソニック電工株式会社及び三洋電機株式会社の完全子会社化に向けた合意のお知らせ」)

【リンク】

2010年7月29日「パナソニック株式会社によるパナソニック電工株式会社及び三洋電機株式会社の 完全子会社化に向けた合意のお知らせ」パナソニック株式会社、パナソニック電工株式会社、三洋電機株式会社[PDF]
2010年7月29日「三洋電機株式会社株式に対する公開買付けの開始に関するお知ら」パナソニック株式会社[PDF]
2010年7月29日「パナソニック電工株式会社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」パナソニック株式会社[PDF]
2010年7月29日「当社普通株式の募集に係る発行登録について」パナソニック株式会社[PDF]

吉永 TOB ,

三洋電機ロジスティクスにTOB

2010年 5月 31日

独立系投資ファンド・ロングリーチ傘下のファンド、LSホールディングスは三洋電機の物流子会社、三洋電機ロジスティクスにTOBを実施すると発表した。三洋ロジの全株式を取得し、完全子会社化を目指す。取得総額は約179億円。
(日経ヴェリタス2010年5月31日27面)

【CFOならこう読む】

買付価格 1750円
プレミアム 約20.72%

100%子会社化は以下の通り全部取得条項付株式種類株式を用いて行なわれます。

「公開買付者が本公開買付けにおいて当社の全株式(自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、公開買付者によれば、本公開買付け終了後に、以下に述べる方法により当社の完全子会社化を実施することを予定しているとのことです。
具体的には、本公開買付けが成立した後に、公開買付者は、①当社において普通株式とは別の種類の株式を発行できる旨の定款変更を行うことにより、当社を会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)
の規定する種類株式発行会社とすること、②当社の発行する全ての普通株式に全部取得条項(会社法第108条第1項第7号に規定する事項についての定めをいいます。以下同じです。)を付す旨の定款変更を行うこと、及び③当社の当該普通株式の全部取得と引き換えに別個の種類の当社株式を交付すること(なお、別個の種類の株式について上場申請は行わない予定です。)のそれぞれを付議議案に含む株主総会の開催を当社に要請するとのことで、当社はそれに応諾する予定です。 」
(2010年5月25日三洋電機ロジスティクスプレスリリースより)

なお、三洋電機はTOB終了後、以下の通りLSホールディングスに5%程度を出資する予定です。

「三洋電機ロジスティクス公表の平成22年5月25日付「株式会社LSホールディングスによる当社株式に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」によれば、三洋電機ロジスティクスは三洋電機との間で2010年5月25日付で事業提携に関する覚書を締結しており、本公開買付け後の一定期間において、三洋電機が一定の条件の下で三洋電機ロジスティクスに対してこれまでと同様の取引関係を継続し、また、三洋電機ロジスティクスはこれまでと基本的に同一の条件で三洋電機のブランド・許諾商標、不動産、ITシステム等を継続して使用することを予定しているとのことです。加えて、三洋電機は、本公開買付け後に公開買付者に対して5%程度の普通株式の出資を行う予定です。 」
(2010年5月25日ロングリーチグループプレスリリースより)

【リンク】

2010年5月25日「株式会社LSホールディングスによる当社株式に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」三洋電機ロジスティクス株式会社[PDF]
2010年5月25日「ロングリーチグループ 三洋電機ロジスティクス株式会社の完全子会社化を目指して公開買付けを開始」[PDF]

吉永 TOB

カネボウ株式買取価格高裁上告棄却

2010年 5月 25日

今日は、備忘記録です。

旧カネボウの株式買い取り価格を巡り、「360円が妥当」とした東京地裁決定を不服とする一部株主の抗告について、東京高裁(大坪丘裁判長)は24日、これを棄却した。地裁が決定した買い取り価格は、会社側提示の価格(162円)の2.2倍だったが、株主側は「低すぎる」などと主張していた。
(日本経済新聞2010年5月25日15面)

吉永 M&A , ,

6月の株主総会期限に買収防衛策相次ぎ廃止

2010年 5月 11日

上場企業の間で敵対的買収に対する防衛策を廃止する動きが相次いでいる。10日はモスフードと東洋シャッターが廃止を発表した。リーマン・ショック後の海外投資ファンドの退潮や、買収防衛策の存在が市場で否定的に受け取られかねないとの企業の懸念が背景にあるようだ。
(日本経済新聞2010年5月11日13面)

【CFOならこう読む】

「防衛策廃止の背景にはTOB(株式公開買い付け)ルールの改正もある。金融商品取引法の改正で、買収企業は買収目的などに関する被買収企業からの質問に回答する義務が生じ、企業は自前で防衛策を設ける必要性が薄れた」(前掲紙)

事前警告型の買収防衛策は、公開買付者に対し株主がTOBに応募するか否かを判断するための十分な情報提供を行なわせることを主たる目的として会社が自主的に導入しているものです。

法改正により、公開買付者による情報提供内容の充実や公開買付対象者に質問権の付与等(質問がある場合には「意見表明報告書」に記載されます。これを受けて公開買付者は質問に対する回答を「対質問回答報告書」に記載して5日以内に提出する義務があります)がなされ、情報提供の強化が図られたため、事前警告型の買収防衛策を維持する意義がうすれている、とい今日の記事は報じているのです。

【リンク】

なし

吉永 買収防衛策 ,

金融庁、TOB資金の詳細文書要求

2010年 4月 26日

日本の企業買収ルールがさりげなく変わったのは今年3月末のことだ。金融庁が公表したTOBを巡る「Q&A集」の32番目に、それは記してある。TOB資金の出し手である銀行や投資ファンドなどに、詳細な融資・出資条件の開示を求める内容だ。一般には知られていないが、M&Aの専門家は「回復しつつあるM&A機運に水を差す」と危ぶんでいる。
(日経ヴェリタス2010年4月25日13面)

【CFOならこう読む】

「株券等の公開買付けに関するQ&A」問32の内容は次の通りです。


公開買付けに要する資金について、公開買付けの開始後に第三者から貸付けを受ける場合、公開買付届出書の添付書類である「公開買付けに要する資金・・・の存在を示すに足る書面」としてどのような書面を添付する必
要がありますか(法第27条の3第2項関係)

「公開買付けに要する資金・・・の存在を示すに足る書面」(他社株府令第13条第1項第7号)は、決済に要する資金の調達が可能であることを相当程度の確度をもって裏付けるものでなくてはならないと考えられます。

したがって、公開買付けに要する資金について、公開買付けの開始後に第三者から貸付けを受けるため、「公開買付けに要する資金・・・の存在を示すに足る書面」として融資証明書等を添付する場合には、当該融資証明書等によって、当該貸付けが相当程度の確度をもって実行されるものであることが裏付けられなければならないと考えられます。相当程度の確度があるか否かは、貸付人の状況及び貸付けに係る契約又は合意の内容等の事実関係に照らし、個別事案ごとに判断する必要があります。

具体的には、例えば、以下のような場合には、相当程度の確度がある場合には該当しないと考えられます。

・ 貸付人の資力に疑義があることが明らかである場合
・ 貸付けに係る契約の締結又は貸付けの実行のための前提条件が付されており、当該前提条件の内容が、重要な点において具体的かつ客観的ではない場合
・ 貸付人において、貸付けの実行のために当該時点において必要な内部的な手続(事前の条件提示に係る稟議・決裁等)が行われていない場合

また、相当程度の確度があるというためには、以下の点が確保されている必要があると考えられます。

・ 貸付人の承諾なく公開買付期間が延長されていないことを貸付けに係る契約の締結又は貸付けの実行のための前提条件とする場合には、与信判断に与える影響が軽微な事由による延長について当該承諾を不合理に拒否しないこととなっていること
・ 当該融資証明書等の効力に期限が付されている場合には、少なくとも、当初の公開買付期間(当初から予定されている延長を含みます。)及び公開買付けの終了から決済までの期間に10営業日を加えた期間をカバーするような期限であること

なお、当該貸付けに係る契約の締結又は貸付けの実行のための前提条件が付されている場合には、当該前提条件のうち、重要な事項の内容(いわゆる表明・保証等、当該前提条件において言及されている事項のうち、重要な事項の内容を含みます。以下この問において同じです。)を公開買付届出書に具体的に記載し、又は、当該前提条件のうち、重要な事項の内容が記載された書面を添付する必要があると考えられます。

(注)当該前提条件の内容が個人のプライバシーや会社の営業秘密に関わるなどの理由により、その開示をすることが、貸付人、公開買付者又は対象者その他の者の利益を著しく害するおそれがある場合には、当該利益に配慮した開示の方法が認められると考えられます。 」

このQ&Aが出てから最初の案件となったジェイ・エー・エーのMBOのケースでは17~18頁の融資証明書が開示されています。

たとえば三菱東京UFJ銀行の融資証明書には、別紙として以下の書類が添付されています。

融資引受条件
本件融資の実行の前提条件
借入人の表明・保証
期限の利益喪失事由

記事では、「本来なら正面から議論し、内閣府令の改正といった立法上の手立てをすべきだ」と言う弁護士の見解が紹介されています。

しかし「公開買付けに要する資金・・・の存在を示すに足る書面」の内容を金融庁がより明確化するためにQ&Aの手法によることが問題であるとは思えません。

「金融庁の見解はどうだろう。総務企画局の幹部は「規制を強化したのではなく、明確化したということだ」と説明する。詳しい融資条件などがわかれば「一般の投資家でも」TOBの確実性を見極めることができる」という」(前掲紙)

全くもって正論であると私は思います。

【リンク】

「株券等の公開買付けに関するQ&A」問32

吉永 M&A ,

金融庁、「株券等の公開買付けに関するQ&A」の追加(案)の公表

2010年 2月 20日

KDDIによるケーブルテレビ最大手ジュピターテレコム(JCOM)への出資を巡り、TOB規制の課題が浮き彫りになった。KDDIは規制に引っかからないような枠組みで出資を計画。ところが金融庁にはこれが「脱法的行為」と映った。KDDIは結局、規制対象外まで出資比率を下げて19日に買い取ったが、規制を巡る解釈のズレが生じた。
(日本経済新聞2010年2月19日5面)

【CFOならこう読む】

「今回、浮き彫りになった論点の一つは、金融規制と民間の創意工夫とのバランスをどう取るかという点だ。企業や個人が法律を読み込んで問題がないと判断した取引が、行政のさじ加減でひっくり返されるのであれば、商取引そのものが萎縮しかねない」(前掲紙)

創意工夫といっても、上場会社の少数株主や一般投資家の利益を害するようなスキームはそもそも許されないと考えるべきです。そしてそのような行為が目の前で行なわれようとしているなら、金融庁がストップをかけるのは当然と僕は考えます。

ところで金融庁は15日に「株券等の公開買付けに関するQ&A」の追加(案)を公表しています。その中で次のように、資産管理会社の株式取得がTOB規制に抵触するとの解釈が示されています。

「問15 有価証券報告書提出会社の株券等の3分の1超を所有する資産管理会社の株式を取得することは、公開買付規制上、どのような問題がありますか(法第27条の2第1項関係)


当該資産管理会社の株式の取得は、形式的には当該有価証券報告書提出会社(以下この問において「対象者」といいます。)の「株券等の買付け等」に該当するものではありませんが、当該資産管理会社の状況(例えば、当該資産管理会社が対象者の株券等以外に保有する財産の価値、当該資産管理会社の会社としての実態の有無等)によっては、当該資産管理会社の株式の取得(結果的に当該資産管理会社を支配し得るようなものをいいます。以下この問において同じです。)が実質的には対象者の「株券等の買付け等」の一形態に過ぎないと認められる場合もあると考えられ、そのような場合に、対象者の既存株主等にその所有する株券等を売却する機会が与えられないとすれば、公開買付規制の趣旨に反するものと考えられます。したがって、そのような資産管理会社の株式の取得は、公開買付規制に抵触するものと考えられます。」

【リンク】

株券等の公開買付けに関するQ&A[PDF]

吉永 TOB ,

KDDI、JCOM株買い増さず

2010年 2月 17日

KDDIの小野寺正社長は16日、訪問中のスペイン・バルセロナで日本経済新聞記者と会い、同社が31.1%出資予定のCATV最大手ジュピターテレコム(JCOM)については「株を買い増して3分の1超を持とうという意思は全くない」と述べた。KDDIに対抗してJCOM株のTOBを発表した住友商事については「大株主同士が協調した方が企業価値の向上につながる」とした。
(日本経済新聞2010年2月17日11面)

【CFOならこう読む】

最大40%の持分比率を目指す住友商事のTOBがどうなるかはわかりませんが、住友商事とKDDIが筆頭株主を巡りTOB合戦を繰り広げる、というような可能性はなくなりました。

ところで、人材サービスのジェイコムホールディングス株の売買高が昨日急増しました。

「売買高が100株を超えると大商いとされる小型株だが、この日は2400株を超えた」
(日本経済新聞2010年2月17日16面)

2005年に大量誤発注事件がありましたが、あのときに間違った注文が行なわれたのがジェイコム株でした。ジェイコムホールディングスとジュピターテレコムは当然のことながら全く異なる会社ですが、

「JCOM株と間違えたとの見方が出ている。目先筋がそれを分かりつつ追随してサヤ取りを行っている可能性もある」
十字屋証券投資情報室長の岡本征良氏

との見方もあるようです。

ブルームバーグの記事↑にもジェイコム広報担当により「これまでにジュピターテレコムと間違えてアナリストが訪問してきたこともある」とのエピソードが紹介されています。

【リンク】

なし

吉永 TOB

JCOM株、住商がTOBへ KDDIに対抗

2010年 2月 10日

住友商事がCATV最大手ジュピターテレコム(JCOM)のTOB(株式公開買い付け)を実施する方向で最終調整していることが9日明らかになった。JCOMを巡ってはKDDIが米メディア大手から同社株を大量取得する方針を打ち出している。JCOMをメディア事業の中核に位置付ける住商は対抗して持ち株比率を引き上げ、JCOMの筆頭株主の地位を目指す。住商とKDDIの間でJCOMの経営権の争奪戦に発展する可能性もある。
NIKKEI NET2010年2月10日

【CFOならこう読む】

「住商は現在、JCOM株を実質27.7%保有する第2位株主。KDDIの出資でJCOMの経営への影響力が弱まることを防ぐためにTOBに乗り出す。金融庁など当局の認可を取得でき次第、すみやかにTOBを実施する可能性が高い」(前掲紙)

先日、KDDIは金融庁の指摘を受けて取得比率を3分の1以下に引き下げる調整を進めていると明らかにしています。

しかし、3分の1を超える部分(約4.5%分)の引受先について、取引金融機関などと協議を始めているとの報道もあり、「筆頭株主にはこだわらない」(前掲紙)というのが本音とは思えません。

ところで、KDDIが主導で株式の引受先を探しているということであるなら、その引受先は特別関係者として公開買付規制の対象となる可能性があるように思います。

「特別関係者とは、株券等買付者以外の第三者に株券等買付者と同視するための概念であり、株券等所有割合の計算において算定対象となる」(ANALYSIS 公開買付 商事法務 アンダーソン・毛利・友常法律事務所編)

特別関係者には資本関係や血縁関係などの形式的な関係に基づく形式的基準による特別関係者(金商法27条の2第7項1号)と、株券等の譲渡に関する合意や対象者の議決権の行使について合意等があることに基づく実質的基準による特別関係者(法27条の2第7項2号)がありますが、JCOM株の引受先が実質基準による特別関係者に該当する可能性があると思うのです。

「(a)(ア)、(a)(イ)、または(b)のいずれかに該当する場合、実質的基準による特別関係者に該当する。なお、(a)または(b)の合意が成立した時点で、株券等買付者との間で(a)または(b)の合意を行なった者は、株券等買付者の実質的基準による特別関係者となる。
(a) 株券等買付者との間で、(ア)共同して当該株券等を取得しもしくは譲渡すること、または(イ)共同して当該株券等の発行者の株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者(b) 株券等買付者との間で、当該株券等の買付け等の後に相互に当該株券等を譲渡もしくは譲り受けることを合意している者」(前掲書)

引受先が特別関係者であるということになれば、TOBを実施しないことが引き続き問題となると思います。住商との主導権争いも勃発し、KDDIは非常に難しい局面に立たされたと言えます。

【リンク】

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吉永 M&A ,

KDDIのJCOM株取得はTOB必要?

2010年 1月 28日

KDDIが予定しているジュピターテレコム(JCOM)への資本参加を巡り、一部の株式市場関係者の間でTOBが必要ではないかとの声が上がっている。議決権の3分の1以上を得るにあたってJCOMの実質的な大株主である米リバティー・グローバルから相対で取得すると発表したためだ。
(日本経済新聞2010年1月28日16面)

【CFOならこう読む】

「焦点は金融商品取引法で定める株式のTOBに関する規定。60日間で10人以内から議決権ベースで3分の1以上の株式を取得する場合にはTOBが必要と定めている。外見上この規定に当てはまるようにみえるからだ。
KDDIが取得するのはJCOM株を保有するリバティグループ傘下の3つの中間持株会社。直接、JCOM株の3分の1以上を取得しないため、TOBルールには抵触しないとの解釈だ」(前掲紙)

スキームの概要は次の通りです。

現状 (議決権比率ベース)

SM合弁解消後 (議決権比率ベース)

KDDIの資本参加後 (議決権比率ベース)

KDDIは、SMの上位会社であるLiberty Japan, Inc. 及びLiberty Jupiter, Inc. 並びにJ:COM株の3.7%を直接保有するLiberty Global Japan II, LLCの3社の持分100%を取得し、LGIグループのJ:COMに対する出資関係 (37.8%を出資) を承継します。

(注)SMは、LGIグループと住友商事株式会社 (以下「住友商事」) の合弁であり、J:COMの株式の58.1%を保有していますが、GIと住友商事で締結している出資者間契約上、SMを通じた合弁関係は、2010年 2月18日をもって終了し、LGIと住友商事は合弁関係を解消することになっています。

そもそもTOBは趣旨というのは次のようなところにあります。

「発行者の支配権または経営権に重大な影響を与え、また発行者の株式その他の有価証券の価格形成に重大な影響を与える株券の買い付け等について、取引当事者間の自由な合意に基づく取引を無制限に許容すると、(1) 株主・投資者間の情報の偏在、(2) 発行者の支配権または経営権を取得することにより生じる上乗せ価値(いわゆる支配権プレミアム)の分配の不公正、さらに(3) 株主・投資者間に対して付与される売却機会の不平等により、公正な価格形成、円滑な流通、および株主・投資者間の平等が確保されないという問題が生じうる」(「ANALYSIS 公開買付け」アンダーソン・毛利・友常法律事務所編 商事法務)

だとすると、このディールはTOBがかからないとおかしいと感じます。
現行法上TOBを必要とする要件を充足しないということなら、現行法自体に問題があると思います。

【リンク】

2010年1月25日「株式会社ジュピターテレコムへの資本参加について」KDDI株式会社

吉永 TOB ,

優先株式を対象にしたTOBーパナソニック・三洋電機のケース

2009年 11月 5日

パナソニックは4日、三洋電機の子会社化を前提としたTOB(株式公開買い付け)を5日から始めると発表した。TOB期間は12月7日までの22営業日。三洋の大株主である米ゴールドマン・サックスグループなど金融3社が合計50.13%分の応募契約を結んでいるため成立は確実。12月中旬には子会社化が完了し、売上高で日立製作所と並ぶ国内最大級の総合電機メーカーとなる。
三洋電機も4日取締役会を開き、TOBへの賛同を決めた。買い付け価格は1株あたり131円で、パナソニックが金融3社分を取得する場合の投資金額は4033億円。全株をTOB対象とするが、現時点での三洋の株価(216円=4日終値)を下回っているため、主要3社を除く一般株主は応募しない可能性が高い。

NIKKEI NET 2009年11月4日

【CFOならこう読む】

「買い付け価格は1株あたり131円で、パナソニックが金融3社分を取得する場合の投資金額は4033億円。全株をTOB対象とするが、現時点での三洋の株価(216円=4日終値)を下回っているため、主要3社を除く一般株主は応募しない可能性が高い。」(前掲紙)

TOBの対象となる株式の内訳は次の通りです。

普通株式  1,872,338,099株
A種優先株式 182,542,200株 1株につき普通株式10株に転換可能
B種優先株式 246,029,300株 1株につき普通株式10株に転換可能

普通株式に発行済のA種 優先株式及びB種優先株式が全て普通株式に転換された場合の当該 普通株式の総数(4,285,715,000株)を加え、対象者が平成21年6月29日に提出した第85期有価証券報 告書に記載された平成21年3月31日現在の対象者が保有する自己株式数(16,084,021株)を控除した株式数は6,141,969,078株に相当し、買付予定数の下限である3,070,985,000株は、完全希薄化後総株式数 の過半数に相当します。

買付価格の根拠は次の通りです。

「当社は、本公開買付けにおける普通株式、A種優先株式及びB種優先株式の買付価格を平成21年9月30日に再決定するに際し買付価格の決定の参考資料として、メリルリンチに対し、対象者の株式価値算定書の提出を依頼しました。当社がメリルリンチから平成21年9月30日に提出を受けた株式価値算定書によりますと、メリルリンチは、当社が提供した財務情報、財務予測その他の一定の前提及び条件の下で、市場株価平均法、類似会社比較法及びディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の各手法を用いて対象者の株式価値の算定を行っており、市場株価平均法では、基準日の株価終値、基準日から1ヶ月前、3ヶ月前及び6ヶ月前までのそれぞれの期間の株価終値の平均値を使用し、本公開買付けに関する新聞報道がなされた平成20年11月1日の前営業日の平成20年10月31日を基準日とした場合、145円から227円、類似会社比較法では21円から98円、DCF法では126円から246円のレンジが対象者普通株式1株当たりの算定結果として示されておりました。
なお、当該DCF法の算定結果は当社が見込んでいるシナジー効果を含んでおります。また、この算定結果は、A種優先株式及びB種優先株式はいずれも1株当たり10株の割合で普通株式に転換することが前提とされております。なお、メリルリンチから、その株式価値算定の前提条件・免責事項等に関して補足説明を受けております。

当社は、本公開買付けにおける買付価格の検討にあたっては、市場株価平均法による評価結果が、対象者のA種優先株式及びB種優先株式の転換による希薄化を十分に反映していない可能性がある点、た類似会社比較法による評価結果が、対象者の将来の収益力及び成長性を十分に反映していない点、一方で、DCF法による評価結果が、対象者のA種優先株式及びB種優先株式の転換による希薄化を考慮している点、対象者の将来の収益力及び成長性を反映している点並びにシナジー効果を考慮している点等を勘案し、DCF法による算定結果を最も重視し、当該算定結果の範囲内で検討を行いました。当社は、メリルリンチによる算定結果に加え、平成20年12月19日以降の状況を検証するために実施した追加デュー・ディリジェンスの結果等を総合的に勘案し、平成21年9月30日に開催された取締役会において、本公開買付けにおける買付価格を普通株式1株当たり131円、A種優先株式1株当たり1,310円、B種優先株式1株当たり1,310円と決定いたしました。また、当社は、メリルリンチより、一定の前提条件の下、本公開買付けにおける買付価格が財務的見地から当社にとって公正である旨の意見書を平成21年9月30日に受領しています。 」(2009年11月4日 三洋電機株式会社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ )

通常上場会社のバリュエーションでは市場株価が最も重視されますが、優先株式のダイリューション効果が市場株価には十分に反映されていないという理由でDCF法による算定結果を最も重視してTOB価格を決定しています。

そうするとTOB対象会社である三洋電機の取締役会がこの価格をサポートするかどうかが注目されます。

「当社取締役会において本公開買付けに対して賛同の意見を表明すること を決議しました。しかしながら、本公開買付けの買付価格は、最終的には公開買付者とエボリューション・インベストメンツ有限会社、オーシャンズ・ホールディングス有限会社、及び株式会社三井住友銀行との間での交渉により決定されたものであり、また、上記の通り、平成21年11月2日の東京証券取引所市場第一部における当社株式の普通取引終値、平成21年11月2日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値及び平成21年11月2日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値のいずれに対してもディスカウントを行った金額となります。そのため、当社取締役会は、本公開買付けの買付価格の妥当性については意見を留保し、また、普通株式の応募については株主の皆様の判断に委ねることを、併せて決議いたしました。」(2009年11月4日 パナソニック株式会社による当社株式に対する公開買付け に関する意見表明のお知らせ)

結論としては、価格については意見を留保するということです。ただし、三洋電機は、第三者算定機関より株式価値算定書と市場株価法に基づく株式価値算定の観点を除いた財務的見地からは不合理な価格ではない旨の意見書を入手しています。

【リンク】

2009年11月4日「三洋電機株式会社に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」パナソニック株式会社【PDF】
2009年11月4日「パナソニック株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」三洋電機株式会社【PDF】

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