【TOB開示資料分析】日立化成・新神戸電機
日立化成は11月25日、議決権ベースで58.45%の新神戸の保有比率をTOBにより100%まで高めて完全子会社化すると発表し、12月1日からTOBを実施した。成長が見込める電池事業で新神戸の海外進出を加速するなど相乗効果を高めるのが狙いだ。
(日本経済新聞2011年12月2日15面)
【リンク】
2011年11月25日「上場子会社である新神戸電機株式会社株式に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ 」日立化成工業株式会社 [PDF]
日立化成は11月25日、議決権ベースで58.45%の新神戸の保有比率をTOBにより100%まで高めて完全子会社化すると発表し、12月1日からTOBを実施した。成長が見込める電池事業で新神戸の海外進出を加速するなど相乗効果を高めるのが狙いだ。
(日本経済新聞2011年12月2日15面)
2011年11月25日「上場子会社である新神戸電機株式会社株式に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ 」日立化成工業株式会社 [PDF]
三井住友フィナンシャルグループ(8316)は30日、消費者金融大手プロミス(8574)の完全子会社化に向けた基本契約を締結したと発表した。傘下の三井住友銀がTOBでプロミスの全株式を取得する。
(2011/9/30 16「三井住友FG、プロミスを完全子会社化 増資引き受けも」日本経済新聞 )
TOB価格は1株780円。さらにSMFGグループはプロミスが実施する第三者割当増資約1,200億円(1株当たり531円)を引き受ける。プロミスはこれにより、過払い返還に向けた引当金を積み増しし、財務体質を強化する。SMFGグループは、TOBと第三者割当増資と合わせて総額2,000億円を投資することになる。
2011年9月30日「三井住友銀行による当社株式等に対する 公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」プロミス株式会社 [PDF]
「三井住友銀行によるプロミスに対する公開買付けの開始及び三井住友フィナンシャルグループ又は三井住友銀行によるプロミスの第三者割当増資の引受けのお知らせ(11/35)」三井住友銀行
独立系投資ファンドのDRCキャピタルは16日、ジャスダック上場の登山用品販売、コージツに対するTOBが成立したと発表した。対象となる企業が反対意見を表明したまま、敵対的TOBが成立するのは、2007年にソリッドグループホールディングスが買収されて以来、2例目となる。
(日本経済新聞2011年9月17日15面)
本公開買付報告書によれば、本公開買付けに対し、当社の普通株式 17,478,721 株(議決権数:17,478 個、総株主等の議決権に対する割合:60.87%(小数点以下第三位四捨五入))の応募があり、応募株券等の総数 が買付予定数の下限(9,371,565 株)以上に達したため、本公開買付者らは応募株券等の全部の買付けを行 うとのことです。本公開買付けに係る買付け等を行った後における公開買付者らの株券等所有割合は 77.12%(小数点以下第三位四捨五入)となります。
株価低迷もあり、今後も日本企業を対象にした敵対的TOBは起きそうです。
2011年9月16日「投資事業有限責任組合 DRCKJ 及び投資事業有限責任組合 DRCIIによる 当社株券等に対する公開買付けの結果のお知らせ」株式会社コージツ [PDF]
雑貨店「フランフラン」を運営するバルスは2日、MBOを実施すると発表した。創業者の高島郁夫社長が設立したTMコーポレーション(東京・渋谷)が約160
億円で全株式を取得、完全子会社化を目指す。
(日本経済新聞2011年9月3日13面)
独立系投資ファンドのDRCキャピタルは19日、ジャスダック上場の登山用品販売コージツへのTOBについて、買い付け予定株数の下限を引き下げると発表
した。
(日本経済新聞2011年8月20日13面)
「従来は発行済み株式数の3分の2を下限としていたが、過半数にする。TOB成立の可能性を高める狙い」(前掲紙)
買付予定の株券等の数の下限をTOB開始後に増加させることは、応募株主にとって不利になるために禁止されていますが(例外あり)、減少させることは応募株主にとって不利にならないため可能とされています(アンダーソン・毛利・友常法律事務所編『ANALYSIS 公開買付け』商事法務 287頁)。
また、買付等の期間についても30営業日から40営業日に延長されています。
さらに、非公開後の経営体制について、「現時点では現在の経営陣が引き続き担当」としていた公開買付届出書の記載を、「本公開買付け成立後にも現在の経営陣が引き続き担当する予定でありますが、上記の経営方針を効率的に進めるために必要な経営体制の見直しを行う予定であり、経営陣を見直すことも考えられます」と改めている点が注目されます。
なし
登山用品コージツは16日、独立系投資ファンドのDRCキャピタルによるTOBに対し、反対意見を表明した。
(日本経済新聞2011年8月17日13面)
会社は、第三者委員会による答申を踏まえた上で、本公開買付価格130円は低廉であり、かつ本公開買付けが会社の企業価値の向上に資 するとはいえないと判断し、平成 23 年8月 16 日開催の取締役会において、出席取締役全員の一致により、 本公開買付けに対して反対の意見を表明すること、並びに、当社の株主及び新株予約権の保有者の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨しないことを決議しました。
会社は、意見表明の参考とするために、アーンストアンドヤング・トランザクション・アドバイザリー・サービス(以下「EYTAS」)及び前田公認会計士事務所(以下「前田事務所」といいます。)から株式価値算定報告書を受領しています。
両者の算定結果は以下の通りです。
EYTAS による株式価値算定
市場株価法 106 円から 128 円
DCF 法 116 円から 173 円
類似会社比準法 119 円から 128 円
前田事務所による株式価値算定
市場株価法 92 円から 110 円
DCF 法(第1案) 154 円から 182 円
DCF 法(第2案) 96 円から 124 円
類似会社比準法 74 円から 93 円
(注)会社は2種類の事業計画(平成25年11月期まで3ヶ年計画)を両者に提出している(第2案は保守的な事業計画)
第三者委員会は、両者の算定過程に不合理な点はないとした上で、独自にDCF法により価格の算定を行い、その価値は147円を下回るものではないと判断し、8月10日に、公開買付者に対し価格の是正の申し入れを行ったところ、公開買付者はこれを拒否したとのことです。
第三者委員会の評価の下限147円は、EYTASの評価の下限116円を大きく上回るものとなっています。この点について、第三者委員会の答申書は、次のように説明しています。
(1) 新規出店店舗が正常収益に達するまで3期程度要するとのマネジメントに対するヒアリング結果を受け、正常収益に達する平成27年11月期まで事業計画を延長した(EYTASも同様の調整を行っている)
(2)追加リスクプレミアム(小規模リスクプレミアムと思われる)について、Ibbotson Association社のサイズリスクプレミアを、算定上採用されているベータと、対象となる企業が属する階級の平均ベータの相違に応じて調整したものを採用した
会社は、この答申を受けて、
「当社が「業績予想の修正に関するお知 らせ」を公表した平成 23 年6月 23 日の翌営業日である同月 24 日から本公開買付け公表直前の平成 23 年7月 21 日までの JASDAQ 市場における当社の株式の終値の単純平均値(113.4 円(小数点以下第二 位四捨五入)に対する本公開買付価格のプレミアムは 14.6%(小数点以下第二位四捨五入)となり、 第三者委員会の意見において当社の株式価値の下限とされている 147 円で算定されるプレミアム 29.6%(少数点以下第二位四捨五入)と比較しても十分でないことから、本公開買付価格は低廉である との結論に至りました。」
としています。
要するにプレミアムの水準が低過ぎるからもっと価格を上げなさい、と言っているわけです。
第三者委員会の評価147円もプレミアムの水準30%をサポートしたものと見るのは穿ち過ぎでしょうか?
いずれにしても、買収者の濫用性が問われた過去の敵対的TOBと異なり、価格の妥当性が焦点となっています。価格の妥当性は最終的に株主が判断すべきであり、コージツの経営陣が出来ることはホワイトナイトを探してくることしかないように思います
(ちなみにコージツは買収防衛策を導入していません)。
2011年8月16日「投資事業有限責任組合 DRCKJ 及び投資事業有限責任組合 DRCIIによる 当社株券等に対する公開買付けに関する反対の意見表明のお知らせ」株式会社コージツ [PDF]
ジャスダック上場の登山用品販売コージツは26日、独立系投資ファンドのDRCキャピタルによるTOBについて、賛否の意見を留保すると発表した。
(日本経済新聞2011年7月27日17面)
「同日設立した第三者委員会の答申を受けて、早ければ8月15日にも意見を表明する見通し」(前掲紙)
会社は、意見留保の理由をプレスリリースにおいて次のように説明しています。
1.本公開買付けの当社における検討過程におい て本公開買付者ら又はその関係者らの影響が十分に排除できておらず、公正性を担保するための措置及 び利益相反を回避するための措置がとられているとは言い難い、との指摘をリーガルアドバイザーより
受けたこと
2.他の提案者(当社役職員と当社の非公開化を伴う取引について提案を行っていた別のプライベート・エクイティ・ファンド)のアドバイザーから、本公開買付者らの関係者の意向により平成 23 年6月 14 日の当社代表取締役と他の提案者及びそのアドバイザーとの面談が中止された事実の有無等について、当社に調査・検証を行う旨の申入れを平成 23年7月 14 日付の書面により受けたこと。
公開買付けの検討過程の公正性を担保するため、独立の第三者による本公開買付けに関する評価を得た上で、本公開買付けの応募の是非に関し、意見を表明することとしています。
第三者委員会の答申を平成 23 年8月 13 日を目処に受領する予定で、その後、会社は本公開買付けに 対する最終的な意見の表明を行う予定です。
2011年7月26日「投資事業有限責任組合 DRCKJ 及び投資事業有限責任組合 DRCIIによる 当社株券等に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」株式会社コージツ [PDF]
独立系投資ファンドのDRCキャピタルは21日、ジャスダック上場の登山用品販売、コージツをTOBで買収すると発表した。登山ブームを背景に業績改善が見込めると判断した。東日本大震災後、投資ファンドが上場企業へのTOBを表明したのは初めて。
(日本経済新聞2011年7月22日15面)
「DRCキャピタルによるとTOB期間は22日から9月1日まで。買い付け価格は130円と、21日終値を19円(17%)上回る水準に設定した。TOBはDRCキャピタルと年金基金など海外機関投資家が共同で手掛ける。買い付け株数には上限を設けず、取得額は最大30億円になる」(前掲紙)
意見表明報告書を見ていないので、何とも言えませんが敵対的TOBになる可能性も・・・。
サブプライム後動きを止めていたファンド勢も、金融緩和による金余りの追い風を受けてそろそろ活発な動きを見せるようになるかもしれませんね。
なし
ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で証券取引法違反罪に問われた村上ファンド元代表、村上世彰被告の上告審で、最高裁第1小法廷は7日までに、元代表側の上告を棄却する決定をした。懲役2年、執行猶予3年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円とした二審・東京高裁判決が確定する。
(日本経済新聞2011年6月8日35面)
最高裁決定の骨子は以下の通りです。
「・ライブドアの堀江元社長らは、会社並みの意思決定ができる「業務執行機関」に当たる
・株式買い付けの実現可能性が全くあるいはほとんどない場合を除き、買い付け決定があればインサイダー情報に当たる
・2004年11月8日に大量買い付け方針決定の伝達を受けたとの二審判断は正当」
(前掲紙)
今回の最高裁決定について、経営者が語る夢物語や志がインサイダー情報に当たるとの危惧の声も上がっているようですが、今回の決定は、業務執行機関がTOB等を行うことについて意思決定を行った場合に、その実現可能性が少しでもあればインサイダー情報にあたるとしたもので、「企業が実現を意図して内部で決定したことが重要情報にあたると認定しており、実現可能性を無視した判断とはいえない」(前掲紙)という太田弁護士の見解が正鵠を射ていると思います。
なし
企業の大型M&Aや事業再編の後押しを狙った改正産業活力法(産活法)が18日の参院本会議で可決、成立した。自社株を対価に使えるTOBを容易にするほか、合併審査で担当閣僚が公正取引委員会と協議して迅速な手続きを促すことなどが柱。日本企業の国際競争力の強化につなげる。経済産業省は7月上旬の施行に向けて準備を進める。
(日本経済新聞2011年5月19日4面)
「自社株対価TOBを実施するには、これまでは対価となる株価を決めるため、株主総会での特別決議などの手続きが必要だった。今回の法改正では株式交換比率を決めるだけで済むようになり、自社株対価TOBが使いやすくなる。これに加えて、TOBに90%以上の株主が応じた場合、株主総会を開かなくても、少数株主から残りの株式を買い取れるようにする」(前掲紙)
金商法上自社株対価のTOBは実行可能ですが、ほとんど利用がありません。その理由は、自社株対価のTOBには、会社法上の現物出資規制と有利発行の問題( 西村あさひ法律事務所 弁護士・NY州弁護士 太田 洋「自社株を対価とする他社買収の規制緩和、産業活力再生法改正への期待」asahi.com 2011年1月11日)、及び応募株主に課税繰延措置が認められていないという課税上の問題(『公開買付けの理論と実務』長島・大野・常松法律事務所編 344頁)があるからです。
現物出資規制の問題とは、新株発行決議の日から払込日までの間に対象会社の株価が値下がりした場合に、価額填補責任が応募株主と買収会社の取締役に課せられる、というもので、対象会社の株式が上場会社の株式である場合には、これが自社株TOBを実行する上での大きな障害となっていた。
また有利発行の問題とは、プレミアムを付してTOBを行うと、買収会社の株価を有利発行することになり(買収会社の株価が100円で、対象会社の株価が300円のとき、33.3%のプレミアムを付し、対象会社の株式1株につき買収会社の株式を4株発行するなら、300円の対象会社の株式と買収会社の株式4株が等価であることになり、買収会社の1株当たりの発行価額は75円となるので、有利発行となる)、株主総会の特別決議を要する、というものです。
産業活力再生法改正により、会社法上の問題は解決されたということです。
自社株対価TOBを利用することにより、完全子会社ではない子会社化が現金を使わずに実行することが可能となります。また、三角合併が認められていない国の企業を、自社株式を対価に買収することが可能になります。
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