株式の政策保有方針 − 三菱商事のケース

大手商社が、株安による業績への悪影響を避ける目的で保有上場株の圧縮を加速する。三井物産は9月末の時価で5000億円近い保有株(関連会社分を除く)の削減に動くほか、新規の政策保有も原則廃止する。三菱商事も上場株を管理する仕組みを導入、1兆円超に上る保有株を減らす方針。保有株削減は株式市場にも影響を与えそうだ。
(日本経済新聞2009年11月25日16面)

【CFOならこう読む】

「三菱商事が9月末に保有する上場株は連結対象先が時価で約3700億円、取引先など一般上場株が約1兆1000億円。三井物産は連結対象先が2200億円、一般上場株が約4600億円。今回はこうした営業政策上の理由で抱える一般上場株が圧縮対象だ。」
(前掲紙)

こうした方向性は商社に限られません。商社以外の事業会社においても政策投資の意思決定(新規投資、継続保有、売却)を客観的な数値に基づき行うことが求められるようになると思います。”兄弟の契り”的なウェットで説明不能な株式の政策保有を継続することは不可能になると考えるべきです。特にIFRS強制適用後には含み益に頼った経営は出来なくなるのでなおさらです。

「三菱商事は配当と取引上の利益の合計が資本コストを下回る場合などに売却を促す「上場株管理制度」を導入。今月から各営業部門と協議を始めており、その結果を待ち売却候補を選定する。「今後3年ほどかけて新制度を徹底したい」(上田良一常務)。明確な数値基準を示し、安易な新規取得にも歯止めをかける。」(前掲紙)

定量的な評価だけで判断出来ない部分はあるにしても、三菱商事のような定量的な基準を持つことは今後必須になっていくものとCFOは考える必要があるでしょう。

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