子会社化に伴い連結貸借対照表に計上される無形固定資産 – パナソニック・三洋電機

パナソニックは三洋電機の子会社化に伴い約4500億円の無形固定資産を計上し、約10年で償却する方針だ。企業年金に関する費用減を考慮しても、営業利益ベースで年350億円程度の利益押し下げ要因となる見通し。両社は2013年3月期に営業利益で800億円の増益効果を引き出す方針。無形固定資産の減益分を補うためにも、電池関連事業の拡大などを早期に実行する必要がありそうだ。
(日本経済新聞2010年2月23日15面)

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「2009年12月末時点でのパナソニックの総資産は8兆6750億円。昨年12月に三洋電機を子会社化したことに伴い、昨年3月末に比べて2兆2717億円拡大した。資産の増加分のうち、のれん代は約5000億円、三洋電機の特許権や商標権などの無形固定資産は4500億円だった」(前掲紙)

米国会計基準では、子会社化に伴い識別できる無形固定資産を取得日の公正価値で認識します。

資産が識別可能であるためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります(SFAS141R P3K)

「(a) 分離可能要件
企業の意図にかかわらず、企業から分離できる、分割でき、個々にまたは関連する契約、識別した思案、または負債とともに、売却、移転、ライセンス付与、貸付け、または交換できる能力がある資産
(b) 契約・法的要件
権利が移転できる、または企業から分離できるかどうかにかかわらず、契約上またはその他の法的権利から発生する資産」
(「M&Aの会計実務」長谷川茂男著 中央経済社)

具体例としては次のものがあげられます(SFAS141R PA31-56)

「マーケティング関連
・商標、商号、サービス・マーク、共同マーク、認可マーク
・トレードドレス(独自の色、形、パッケージ・デザイン)
・新聞名
・インターネット・ドメイン名
・競業避止契約
顧客関連
・顧客リスト
・受注残
・顧客との契約及び関連する顧客との関係
・契約によらない顧客の関係
芸術関連
・演劇、オペラ、バレエ
・書籍、雑誌、新聞、その他の著作物
・音楽(作曲、作詞、広告ソング)
・絵画、写真
・動画(映画、音楽ビデオ、テレビ番組)
契約関連
・ライセンス、ロイヤリティ
・広告、建設、管理、役務・商品購入契約
・リース契約
・建設許可
・フランチャイズ契約
・営業許可、放送権
・サービス契約(抵当回収契約)
・雇用契約
・利用権(採掘、水、空気、鉱物、伐採)
技術関連
・特許権を得た技術
・ソフトウェア、マスクワーク
・特許権が得られていない技術
・データベース
・企業秘密(秘密の製法、工程、レシピ)」(前掲著)

無形固定資産は、償却無形固定資産と非償却無形固定資産とに分離され、ともに減損テスト実施の対象となります。

【リンク】

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