TOBルール 改正から2年

実務面で課題多く 透明性向上 議論積み上げ必要

ライブドアによるニッポン放送株の大量取得などを契機にTOBルールが見直され、近く2年を迎える。株式の取得価格が市場に明示され、株主にとって透明性の高いM&A手法だが、実務面では細かな障害が多く、使い勝手が悪いとの声が根強くある。さらなる改正に向け問題点も浮上している。
(日本経済新聞 2008年9月20日 16面)

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記事の中に次の記述があります。

「敵対的買収をするならTOBは利用しない方がいい」と日興シティグループ証券の藤田勉マネジングディレクターはファンドなどに助言している。いったんTOBを始めると価格変更や撤回は買収企業の防衛策など例外を除き事実上困難で「買収側の負担が重すぎる」(藤田氏)。

TOB開始後、買付価格の引き上げは自由にできますが、引下げは原則として禁止されています(金商法27条の6 1項1号)。これは投資家保護及び相場操縦に悪用されないようにするための規定であると解されています。

この原則の例外として、買収防衛策の発動により、株価の希薄化が生じる場合、買付価格の引下げが容認されるという規定が、平成18年改正により新たに設けられています。引下げが容認されるのは、株式分割と新株又は新株予約権の無償割当の場合に限定されています。したがって、第三者割当増資により大きな希薄化が生じても、買付価格の引下げは認められません。

また、新株予約権の無償割当等により買付価格の引下げが認められるのは、TOB期間中にその決定があった場合ではなく、TOB期間中に実行された場合に限られます。相場操縦に悪用される懸念から、買付価格の引下げについて非常に厳しい要件が課されているわけですが、それにより行われるべきTOBがなかなか行えない、という弊害が生じているのも事実です。

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