エルピーダ、中国・蘇州の工場稼動先送り

エルピーダ、中国の工場稼動先送り DRAM合弁で1年

エルピーダメモリは6日、中国で計画していた代表的な半導体メモリー、DRAMの合弁工場の稼働を1年程度先送りすると発表した。総額50億ドル(約 4900億円)を投じ、2010年1―3月期に稼働させる計画を8月に発表したばかり。わずか3カ月で計画の修正を迫られた。米国発の金融危機のあおりでDRAM市況の回復が想定より大きく遅れると判断し、供給過剰の回避を優先することにした。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081107AT1D0609I06112008.html

【CFOならこう読む】

坂本社長は、先送りの理由を、DRAM市況の一寸先が全く見えないため、と説明しました。同社は2009年前半には市況回復が期待できるとの従来の見方を転換、投資を厳しく選別する方針を鮮明にするとのことです。

前掲紙の同じ紙面に”相次ぐ投資凍結・撤回”という記事が掲載されています。電機や自動車部品、素材など幅広い分野で設備投資を撤回・凍結したり先送りしたりする動きが相次いでいるとして、いくつかの事例が紹介されています。

エフ・イー・テクノロジーズ(ソニー系表示装置開発会社)
パイオニアの鹿児島工場の買収を凍結

小糸製作所
タイの新工場建設を見送り

ティー・エステック
(ホンダ系のシートメーカー)
インドの増産投資を最大で半年間見送り

三井化学
中国・江蘇省の合成繊維原料の工場建設計画を撤回

三菱化学
北九州市の工場で合成樹脂の新設備稼働を先送り

帝人
合成樹脂の新ライン建設計画を凍結

市況下落又は需要低迷により、投資を回収するだけの十分な将来キャッシュフローを見込めないことから、投資を先送りする又は撤回するというケースが多く見られます。

実行するか、先送りするか、撤回するか、の判断が難しいところですが、リアルオプション的に言うと、延期オプションの価値をどう評価するか、ということによると思います。

CFOの力量が問われる局面です。

【リンク】

2008年11月6日「中国合弁工場の稼動延期について」エルピーダメモリ株式会社
http://www.elpida.com/ja/news/2008/11-06.html