ファンド、幻冬舎株を買い増し 議決権ベースで34.23%に

投資ファンドのイザベル・リミテッド(ケイマン諸島)による幻冬舎株の持株比率が26.10%に上昇したことが21日提出の大量保有報告書で明らかになった。議決権ベースでは34.23%に相当する。
(日本経済新聞2010年12月22日15面)

【CFOならこう読む】

11月16日「【TOB開示資料抜粋】TKホールディングス・幻冬舎」12月8日「TOB中の幻冬舎株、投資ファンドが30.6%取得」及び12月14日「幻冬舎、TOB価格引き上げ」のポストの続報です。

今日の記事によると、ファンドの持分が議決権ベースで1/3を超えたということで、TOBによらずに1/3超の株式を取得することができるのかと疑問に思った方もいらっしゃると思いますが、市場内取引のみによる取得であるならTOBは不要です。

ただし、金商法27条の2第1項5号は、他者の公開買付期間中に、株券等所有割合(議決権ベース)が3分の1を超える者が5%超の買付けを行うときは公開買付けによらなければならないとしています。
しかし、

「この規制の適用を受けるのは当初の公開買付届出書に記載された公開買付期間だけであり、当該公開付期間が延長された場合、延長後の公開買付期間は規制の対象とはされていない」
(「公開買付けの理論と実務」長島・大野・常松法律事務所編)

との除外規定が存在するとのことです。

幻冬舎の場合、当初の公開買付期間は平成22年11月1日(月曜日)から平成22年12月14日(火曜日)まででしたが、12月28日(火曜日)まで延長されています。

この辺りの立法趣旨はよくわかりませんが、TOBにはTOBで対抗させるというのがあるべき姿であると私は思います。

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