日本の財政、余命10年ー野口悠紀雄氏

日本国債は銀行が企業貸し出しを減らして購入しており安定消化されている。巨額の発行が許されてきたのは、経済の停滞で資金需要が減少していたためだ。消費税率を数%上げても、社会保障給付費の増加などを考えれば焼け石に水だ。このままでは日本財政の余命は10年少々となる。
(日経ヴェリタス2011年1月16日45面)

【CFOならこう読む】

今日は備忘記録です。

「これまで巨額の国債発行が問題を起こさなかったのは、日本経済が停滞を続けて資金需要が減少していたからである。つまり、きわめて逆説的な表現だが、不景気が続いたからこそ、日本経済は深刻な問題に直面しなかったのである。

(中略)

問題は「貸し出しを減少させて国際を購入する」という現在の方式は、永遠に続けることができず、どこかで行き詰まることだ。「幸いにして」景気が回復しないにしても、国債が国内では消化できない事態が、いつかは到来する。

問題は、それがいつ生じるかだ。民間金融機関の対企業貸出残高は、2009年末で544兆円である。仮に毎年50兆円の国債発行が続いてそのすべてを民間金融機関が購入しなければならないとすれば、Doomsdey(最後の審判の日)までに残された時間は、あと10年少々である」(前掲紙)