無議決権株の価格

普通株より割安に評価 日本市場の未熟さ反映?

「日本の株式市場のために、議決権のない優先株は必要だ。我々が実験台になる」。伊藤園の本庄八郎社長は他社に先駆け、昨年9月に同株を上場させた意義をこう強調する。「議決権の拡散を恐れ、資金調達に踏み切れない企業にとって成長の一助になる」と同社長。だが高い理想と裏腹に、伊藤園の無議決権優先株の株価は上場来、低空飛行が続いている。
配当が普通株に連動し25%上乗せされるにもかかわらず、株価は上場来ずっと、普通株より3-4割程度安いまま。伊藤園に続く企業が出ないのは「今、上場させても市場で割安に評価される」(大手食品企業)との警戒感もある。

(日本経済新聞 2008年7月19日 14面 無議決権株を追う㊦)

【CFOならこう読む】

このコラム、日経にしては珍しく(?)面白い記事です。

なぜ伊藤園の種類株の株価は普通株より3割以上も安いのか。記事ではその理由を2つ挙げています。

①無議決権優先株が東証株価指数に採用されていないため流動性が低い
②普通株にあって優先株にない議決権の価値が大きいから、価格差が拡大している

さらに記事は、イタリア、韓国の事例を引いて、

「国の法制度や市場のルールが未整備で、企業経営に対する規律付けが弱いと、株主は自ら議決権を握り、株主の利害に背かないよう経営を監視する必要性が増す。その場合、議決権の価値は増大し、結果として無議決権株と普通株の価格差が広がる。」

という仮説を立てています。

確かに、安定株主作りに勤しむ日本の上場企業を見ると、議決権の価値は思っている以上に大きいのかもしれませんね。

【リンク】

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