HOYA、2011年3月期よりよりIFRSで開示へ

HOYAは2011年3月期の有価証券報告書をIFRSで開示する方針だ。海外投資家の持株比率が高い同社は、社内で会計処理などの体制整備を進めていた。金融庁は日本の上場企業にIFRSを義務付けるかどうかを決めていないが、任意適用は認めている。
(日本経済新聞2011年1月26日15面)

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「同社はこのほど、2010年3月期の連結財務諸表をIFRSで作成し、ウェブサイトに掲載した。前期の純利益は日本基準で378億円だが、IFRSを適用した場合の包括利益は海外子会社の資産換算の影響で約475億円になった」(前掲紙)

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差異の内訳のうち、相対的に影響が大きい減価償却費と法人所得税の調整の内容を以下に転載します。

「K. 減価償却費及び償却費、その他の費用
・表示科目:日本基準において区分掲記しておりました固定資産売却損、固定資産除却損、環境対策費、独禁法関連損失、その他の営業外費用、為替差損、外国源泉税、その他の特別損失をその他の費用として表示しております。また、日本基準における売上原価の一部47,678百万円、販売費及び一般管理費の一部31,500百万円をその他の費用として表示しております。
・認識・測定:リース料415百万円(リース取引開始日が2008年3月31日以前)を減価償却費及び償却費等として表示しております。日本基準におけるのれんの償却費を戻したことに伴い、その他の費用が477百万円減少しております。また、固定資産の帳簿価額の調整を行ったことに伴い、その他の費用(固定資産除却損等)が872百万円減少しております。また、海外子会社の一部の売却・清算に伴う累積換算差額の調整及びのれん・在外支店の財務諸表項目の換算により発生した累積換算差額の調整により、その他の費用が1,200百万円減少しております。さらに、日本基準においては、カスタマー・ロイヤルティ・プログラムにより、翌期以降にそのポイントを充当することによる物品の販売による原価を販売費及び一般管理費として計上しておりますが、IFRSにおいては、当該カスタマー・ロイヤルティ・プログラムについて、個別に認識可能な収益の構成要素として認識するため、その他の費用が420百万円増加しております。なお、日本基準においては2011年3月期に認識するその他の無形資産の除却損1,997百万円を、IFRSでは修正後発事象として2010年3月期のその他の費用に計上しております。

M. 法人所得税
・表示科目:日本基準において販売費及び一般管理費に含めておりました事業税の一部251百万円を、法人所得税として表示しております。
・認識・測定:未実現利益消去に伴う税効果調整額について、日本基準において用いられる税率で計算された金額とIFRSにおいて用いられる税率で計算された金額が異なることにより、法人所得税が164百万円減少し、また、繰延税金資産の回収可能性の見直し額の増減により1,037百万円法人所得税が減少しております。さらに、日本基準においては2011年3月期に法人所得税の減額として認識する599百万円を、IFRSにおいては修正後発事象として2010年3月期に計上しております。」

【リンク】

「国際財務報告基準(IFRS)に基づく 連結財務諸表及び独立監査人の監査報告書」HOYA株式会社 [PDF]