公的資金の企業出資に4条件

政府は21日、経営不振に陥っているAV(音響・映像)機器大手パイオニアを資本支援する検討に入った。30日にも創設される公的資金を使った一般企業への資本注入制度を活用し、300億円出資する案が軸。国内だけで1万人規模の雇用を抱える同社が破綻すれば経済に大きな打撃を与えかねないためだ。半導体大手エルピーダメモリも早期に500億円規模の出資を申請し政府との支援協議を本格化する。経済底割れ回避へ異例の危機対応策が動き出すが、民間企業の政府依存が強まる懸念なども残る。
NIKKEI NET 2009年4月22日

【CFOならこう読む】

出資対象となる企業を選定する4つの要件は次の通りです。

1.売上高が4半期20%か半期15%減。資本が25%減
2.国内従業員5000人以上か、それらの企業への代替困難な部品供給3割以上
3.政策投資銀と民間金融機関が出融資を協調的に実施する
4.企業価値向上に向けた事業計画の策定

政府に企業価値向上策の実現可能性を判断できるのか、という点が私の最大の疑問です。その場しのぎの投融資でパイオニアが再生できるとはとても思えません。投融資の一部でも回収不能となった場合、誰がその責任を負うのでしょうか?

GMやクライスラーも「法的整理に移行する」という観測が高まる中、日本政府が右へならえする必要性がどこにあるのでしょうか?

いやむしろ政府出資企業が破綻することにより、あるべき資本主義の姿に向かう一つの通過点と見るべきなのでしょうか?

いずれにしてもROE2%向上をもって企業価値向上の是非を判断するなどと言うのは笑止千万的外れも甚だしいと、私は思います。

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なし