エルピーダメモリが更正計画案、坂本社長退任へ

会社更生手続きを進めているエルピーダメモリの坂本幸雄社長が退任する意向を固めたことが21日、明らかになった。同社は2013年春に米半導体大手マイクロン・テクノロジーの完全子会社化となる予定。東京地裁に同日提出した更正計画案が承認されたマイクロンの出資が完了した後に退任し、経営責任を明確にする。
(日本経済新聞2012年8月22日1面)

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更正計画の概要は以下の通りです。

マイクロンとのスポンサー契約にしたい総額2000億円の支援金を前提に、一定の手続費用等を 控除して、更生担保権者・更生債権者への支払いが行われることになります。具体的に は、スポンサー契約の実行時に、マイクロンは600億円の現金をもって、エルピーダへの100%出資を行います。その後、エルピーダは、マイク ロンの子会社として、マイクロンに対して行うファンダリ(製造受託)事業等を通じて、 2019年までにキャッシュフロー1400億円をマイクロンの支払いにより得ます。これらの 支払いを原資とする更生計画に基づく債権者への弁済により、残りのエルピーダに対す る更生債権の支払い義務は、更生手続に基づき免除されます。

エルピーダは2009年に改正産業活力再生法(産活法)の認定を受け、業績不振に陥った事業会社を公的資金を使って支援する枠組みの適用第1号となりました。このとき私は、このブログで、政府が個別の民間企業を公的に支援するのは止めるべきだと言いました(2012年6月30日「エルピーダ、公的支援本日決定」)。公的支援は単なる一時しのぎである、というに止まらず、へたに公的支援をしたばかりに抜本的な再建策が講じられず余計に事態が悪化する、ということもあるのです。

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