日本株のPER低下が意味するもの

かつて外国株を大幅に下回っていた日本株のPERが低水準に張り付いたままだ。主要12市場中の順位も5月に首位から落ち、直近では米国、南アフリカ、インド、オーストラリアに続いて5番目になった。意味するところは2つ。第1に日本企業に対する成長期待が薄れた可能性がある。第2に今月下旬から発表が本格化する4~9月期決算で通期の業績見通しの下方修正が相次ぐ懸念がある。
(日経ヴェリタス2012年10月7日67面)

【CFOならこう読む】

「PERの低下は足元の業績見通しの大幅下方修正を見越した動きかもしれない。実はバブル崩壊後のPERの最低値はリーマン・ショック後の2008年10月27日に記録した10.08倍だ。上場企業が業績見通しを下方修正するまでの時間的なズレで生じた異常値だった。その後は実際に下方修正が相次いでPERが月を追って上昇し、最終的には2009年3月期の上場企業の合計損益が赤字になって計算不能になった。」(前掲紙)

PERとは、株価が一株当たり利益(EPS)の何倍かを示す指標です。将来の利益の成長期待が薄れるとPERの合理的な水準が下がります。また、短期的な一株当たり利益の低下を市場が織り込めばPERは下がります。但しこの場合は、業績見通しが下方修正されればPERは合理的な水準に戻ります。

今の日本は、経済のみならず政治についても将来の見通しが立たず、成長期待が大きく減じていることからPERの合理的水準そのものが低下している(つまり前者の見方が正しい)、と考えられます。

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