日産中国合弁会社を比例連結から持分法に変更

日産自動車が現地企業と合弁で営む中国事業の収益の計上方法の変更を検討する。連結売上高や営業利益に反映させる従来方式に替え、営業外の「持分法投資損益」に計上する案が有力だ。国際的な会計基準の見直しに対応する。年間の営業利益を見かけ上1000億円超押し下げる要因となる見通しだ。
(日本経済新聞2012年10月18日13面)

【CFOならこう読む】

「日産自動車はこれまで、3社の中で唯一「比例連結」と呼ぶ計上方法を採用していた。現地合弁への出資比率が50%であるため、中国収益の半分をグループ業績に連結している。」(前掲紙)

日産の2012年3月期の有報の関係会社の状況に以下の記載があります。

「東風汽車有限公司は合弁企業であるが、提出会社の連結子会社である日産(中国)投資有限公司に現地会計基準に基づき比例連結されていることから、連結会社としている。」
比例連結とは合弁会社の資産、負債、収益、費用すべてについて、持分比率に応じ、連結上取り込む方法で、従来IFRSでは適用が認められていました(IAS31号)。

 

日本基準では、合弁会社については持分法を適用することとしており、比例連結は認められていません。
(企業結合に関する会計基準117項)

 

東風汽車有限公司の株式は100%子会社である日産(中国)投資有限公司によって保有されており、現地会計基準が、ジョイント・ベンチャー投資に比例連結が適用されることとされていたため、東風汽車有限公司の資産、負債、収益、費用の各項目の50%が日産(中国)投資有腿公司の各項目と合算され、この100%子会社を連結することにより、結果として東風汽車有限公司の50%を比例連結することになっています。
(大雄智「ジョイント・ベンチャーの投資」横浜経営研究第27巻1号(2006))

日産は、2012年3月期の有報の「未適用の会計基準等」に以下の記載を行っています。

IFRS第11号「共同支配の取決め」
平成23年5月12日に公表されたIFRS第11号は、IAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」及びSIC第13号「共同支配企業-共同支配投資企業による非貨幣性資産の拠出」に置き換わる ものである。
IFRS第11号は、共同支配の取決めを従前の3つの分類から新たに共同支配事業と共同支配企業の 2つに分類、定義している。共同支配企業に対して比例連結を用いる会計処理の選択肢は廃止され ており、被共同支配企業に対する投資については、持分法を適用しなければならない。

適用予定日は2013年4月1日としており、これに合わせて東風汽車有限公司を比例連結から持分法適用対象に変更するものと思われます。

【リンク】

なし