M&Aの適正価格

円高を背景に海外企業へのM&Aを加速させる日本 企業。 ソフトバンクの米スプリント社買収も大きな話題 となった。 しかし歴史をひもとけば、大型M&Aが「高値づか み」に終わることも多い。 買収が妥当な水準かを測る物差しを紹介しよう。
(日経ヴェリタス2012年10月28日54面)

【 CFOならこう読む 】

「割高買収のサインをどのようにしてつかむの かー。
M&Aの専門家に重視している 「物差し」を聞いたところ「EV/EBITDA倍率を見る」という声が最も多かった。
企業価値(EV)が買収対象会社の年間キャッシュフロー(EBITDA)の何年分にあたるか を示す指標だ。M&Aでは、株式取得額に純有利子 負債を足した額がEVとほぼ同じ 意味になる。価格妥当性の診断では、この倍率を見ることが最初のステップとなる」 (前掲紙)

EVとは、Enterprise Valueの略で、会社総価値す なわち株主に帰属する株主価値と 債権者に帰属する価値の和のことを言います。 EQV(Equity Value)すなわち株主価値と間違えない ようにする必要があります。

EBITDAとは、Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation&Amortizationの略で、 金利、税金、償却費を差し引く前の利益を差し引 く前の利益を言います。事業活動が 生み出すキャッシュフローの概念に近いとされています。

一般的に、 EV=株式時価総額+純有利子負債(有利子負債- 余剰現金) EV/EBITDA倍率=EV/EBITDA →買収時の企業価値が、買収対象会社の年間 キャッシュフローの何倍で評価されて いるかを示す指標です。

「M&A巧者として知られる日本電産の永守重信社 長は「シナジーが十分見込めないのに、 EV/EBITDA倍率が10倍を超える案件は、買収を見 送ってきた」(前掲紙)

もとよりEV/EBITDA倍率の基準は、業種やライフ ステージによって異なるので、10倍が絶対的な基準とはなり得ないことに留意が必要です。

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