【資本政策詳解】チムニー

チムニーの株式上場の概要は次の通りです。

チムニーは、居酒屋「はなの舞」など飲食店の運営およびフランチャイズチェーン展開をしている企業です。2010年にMBOに伴い上場廃止となり、米投資会社カーライル・グループ傘下で経営改革を進めていましたが、今般東証に再上場することになりました。

公募価格は1,000円、予想PER16.0倍という水準での株式公開となります。

2012年6月にその他資本剰余金を原資とした自己株取得(35億円)を行っています。投資家はIPO前に一部キャピタルゲインを稼得したということです。

上場後もファンドが45%相当の株式を保有しており、どのようにexitするか注目されます。従業員のインセンティブは従業員持株会とストックオプションによっています。

和泉社長は、MBOの際に持株207,100 株すべてを4億6千万円で売却しています。その後このうち3億円を新会社に投じています(表2 (注)3)。

和泉氏が上場時点で保有する現物株600,000株はこの時に取得したものです(他にストックオプション200,000株あり)。

600,000株ということは、公募価格で計算すると6億円になります。2年半で3億円が6億円、年間利回りは30%を超えます。MBO(LBO)が現代の錬金術と言われるゆえんです。

本件はMBOというより、買収資金の半分を借入により調達したファンドによるLBOです(2009年11月7日エントリー「チムニーMBO」)。

経営者である和泉社長は、このアレンジメントに参画したに過ぎず、経営者による買収などというものではないことに留意する必要があります。

【リンク】

チムニー株式会社