ファンド、米でM&A活況

米国で投資ファンドによる企業のM&A(合併・買収)が急増している。今年2月中旬までのファンドによる買収額は前年同期の6倍強で推移。ブラジル系などファンド勢の顔ぶれが多彩になってきた。信用市場の落ち着きで買収資金の借り入れが容易になったことが主因で、異例の金融緩和がM&Aをかさ上げしている面もある。ファンドと組んで長期的に経営を立て直そうとする米企業は多く、株式非公開化も増える見通しだ。
(日本経済新聞2013年2月21日7ページ)

【CFOならこう読む】

「米国を中心にファンドのM&Aが増えているが、別世界なのが日本だ。今年だけで見ると、日本ではファンドによるM&Aが全体の3%にとどまる。経営者には民間のファンド資金の活用に抵抗も強く、政府系の官製ファンドの存在感が相対的に高まっている。」(前掲紙)

日本への対内直接投資は、米国3兆4514億ドル、フランス 1兆84億ドル、イギリス1兆 861億ドルに比し圧倒的に少なく2,149億ドルと主要国中最低の水準です(2010年、BBT総合研究所調べ)。

しかしこれからの日本は、経済の活性化、ひいては雇用の創出のために、世界からヒト・カネ・モノを呼び込むことが不可欠です。

「一部の経営不振企業を除き、日本企業は財務体質が良好で外部の資金に依存しない傾向がある。」(前掲紙)

財務体質が良好というのは、要するに新規投資を行わず、単にキャッシュが積み上がっている状況にあるということです。こういう会社は、株価が割安のまま放置されている場合が多く、買収の標的になりやすいと言えます。また、M&Aによる資本市場の規律の観点からは、このような会社が買収されることを阻害すべきでないとも考えられます。

しかし日本は外資による買収を国ぐるみで否定してきた歴史があります。世界からヒト・カネ・モノを呼び込むためには、すべての日本人が考え方を改め、ウェルカムの姿勢を示す必要があります。と同時に、法制度や雇用制度その他インフラを整備しなければなりません。

そんなことを考えながら、踏み切りで電車が通りすぎるのを待っているときに、何となく非常ボタンを眺めていると、そこには日本語による説明があるだけでEmergencyの一言もありません。変わるというのは大変なことです。

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